Ver23 第二世代GT-Rとは何だったのか。俺たちを熱くさせた至高の相棒。

 RB26を搭載しているGT-R、いわゆる第二世代が発売を終えて、もう16年が経とうとしている。アラフォーの自分としては、最新(笑)のBNR34でも18年落ちと聞くと、なんだかピンと来ないくらい。なにせ自分が買ったBNR32が10年落ちで「すげぇボロいなあ…」と感じていたのだから。今思えば「たった10年落ち」だったんだなと。GT-Rを降りてから買った普通の4ドアセダンには今も乗っているのだが、それが19年落ち(笑)。

 今回のタイトルに関してネタあかしをしてしまうと、なぜ第三世代GT-Rは俺たちを熱くさせてくれないのか?という疑問から来たもの。

 アメリカから来た友人の息子がクルマ好きで、どこか面白い所に連れて行ってくれ…というので、横浜の有名チューニングショップ「オートギャラリー横浜」を訪問。富士スピードウェイのタイムアタックで名を轟かせているBNR34が置いてあり、その隣には筑波を突き詰めたBNR32が。共にもの凄く綺麗な仕上がりで驚かされる。そんなガレージに35GT-Rも置いてあり、「どうなんですか?」と聞くと…

 「初期モデルが300万円台だから34とさほど差が無いんだよね。で、カリカリにチューニングした34よりブーストアップした35の方が速いんだから嫌になっちゃう」と言うのだ。(価格は取材時2018年当時の相場です)

 確かに馬力は最初から470馬力、ブーストアップで500馬力は軽く越すだろう。とはいえRB26だって600馬力くらいは朝飯前。重量差200kgあれば34の方が…なんて思ってしまうのだが、そうはいかないのが最近のクルマだそうで。ブレーキもトラクションも電子制御で各タイヤに最適配分されるのでしょう。

 ブレーキを床まで踏むシチュエーションだとドライバー的にはやることは同じだけれど、ABSが進化していると制動距離が縮まるのだろう。(ここで人間ABSの方が…という老害的な意見はさすがに出さない(笑))さらにトラクションコントロールが優秀であれば、アクセルの開けすぎに対してのフォローが大きく作用する。つまり35は、誰でもドカン!と床までブレーキを踏んで、ガツンとアクセルを開けてハンドルを出口方向に切っておけばタイムが出ると。

 34にもABSや機械式LSDが備わっているが、35のそれには到底およばないので人間のコントロールを要求する。特にコーナー出口での加速時は、アクセル操作がラフだと後輪の滑り出しがFR的にズルッと行くので、その後で前輪がフォローしてくれるとはいえロスが大きい。滑らないようにアクセルを開けるのと、滑った際に踏みっぱなしで逆ハンドルを(FRと比べると半分くらい)切る(戻す)というフォローが必要になってくる。この部分が面白かったのかなあ…。個人的には、それだけじゃない気がするんだけれど。

35って内装も高級感があって、1000万のクルマだなあ…という感じはあるんですが「だったら350万の34に500~600万ぶっこんで600馬力にしたい」そう思う自分がいます。その方が「タイムが出て欲しい(笑)」 と思う、未だに現実を直視出来ていない自分もいます。

メーカーが作ったスポーツカーより速くしたい。同じパワーだとしたら、チューニングにより絞り出したい。そんな少しグレーゾーンな、二昔前ならアンダーグランドな世界に近い方がワクワクするのでしょうか。メーカーが300キロ出ます、ってマシンで300キロ出すのと、メーターが180キロまでしか刻まれてないマシンで300キロ出すのでは、気持ちが全然違うわけで。

より安全で、より速く、そしてコストも低い…「そんな馬鹿な」 そういうものが登場してしまうと、なぜでしょう夢から覚めたかのように、熱さが消えてしまったのです。

第二世代GT-R…あれは平成時代のロマンだったのかも知れない。




かつて自分の血を沸騰させたスポーツカーと界隈の人間。その思い出を共有していただきたい、知らない方に伝えたいと、頑張って書いております。ご支援いただければ幸いです。