今からGT-Rに乗り始める君へ

もはやクラシックカーとなってしまった第2世代GT-R。これから乗り始めるのであれば、乗り越えなければならない困難は確実に訪れるでしょう。それでも所有する歓びや、走らせることで得られる高揚感はそれを上回ってくれることと思います。

そして、レストアしながらもチューンアップしたいくことでしょう。これまでもチューニングの最短ルートは示してきましたが、決して立ち寄ってはいけない脇道だけは、しっかりと伝えておきたいと思います。

点火系は気のせいレベル。イグニッションコイルやプラグコード、アーシングワイヤー、バッテリーのプラスとマイナスを繋ぐヤツ、火花を大きくする系、そういった類のパーツは全く体感できない。装着した直後にプラセボで効いた気がするだけ。そして、これらのパーツは純正品より高性能を謳っているが総じて寿命が短い。仮に0.1%通電効率が良くなったとして寿命が10%短かったら意味がないのだ。何が困るって、通電が1%下がっても問題は起きないが、断線したら最低でも1気筒が即死するということだ。もっと悪ければエンジンが停止して掛からなくなってしまう。気のせいレベルの性能向上のために事故にも繋がるリスクを負ってはいけない。

実は吸排気もやらなくていいレベル。お手軽なのでついやってしまう。ターボだと排気効率だけでもパワーやブーストが上がることは上がるが価格とは見合わない。音と見た目の雰囲気が上がるだけだ。だったら、マフラーもフロントパイプもノーマルのままタービン交換した方が速くなる。実際ノーマルマフラーでも全然ふん詰まりにはならないので、ノーマル風で速いクルマが出来上がる。自分も500馬力オーバーに仕上げ終わった後で「静かなマフラーノーマルに戻したいなあ」と思っていた。だがしかし程度のいいノーマルマフラーなんて転がっていないのである。吸気もエンジンルームの熱気を吸うだけなので、純正交換タイプで充分。毒キノコだろうがジャバラだろうが、音が違うだけでパワーにはほとんど影響がない。

チューニングに社外の強化品を使うことが多くなると思うが、何でも「強化」ということは、良いことだと勘違いしないで欲しい。ブッシュであれば硬くなることで乗り心地は悪化し、路面からの衝撃を和らげる効果が落ちてボディ各部へのダメージが増える。アームなども当て板や太くすることで必要以上に強化したところで重くなるだけだ。サーキットでタイムを削るのでなければ乗員にもクルマにも優しいチューニングを心がけて欲しい。



かつて自分の血を沸騰させたスポーツカーと界隈の人間。その思い出を共有していただきたい、知らない方に伝えたいと、頑張って書いております。ご支援いただければ幸いです。