Ver1 RB26DETT:GT-Rというジャジャ馬に乗る覚悟はあるか?

「はりぼーさん!80万で1台出てますけど、どうします?」

オークション会場からの電話だった。

「じゃ、それ落としてください!」と即答した。

色も年式も聞かず、不見転(みずてん)で買ってしまったのが、後の愛車BNR32型GT-Rだ。この愛情のない買い方は、その後の乗り方というか、クルマの作り方を決めていたからこそだった。この価格は当時としては破格。200万が相場だが、事故歴あり、過走行ということでジャンク扱いにも近い値段が付けられていたのだ。

それでも10年落ちで10万キロオーバーで、事故歴ありのクルマに80万って、普通に考えたら法外だが。

不見転で買ったとはいえ、32を買うことは決めていた。このクルマのデビュー当時高校生だった自分はスペックを暗記するほど調べ上げ、レースの結果やチューニングの進化などを全て追っていた。「将来、絶対に買う」そう心に誓っていたのだ。

いざ買えるとなった時、既にベースは古くなり傷んでいるだろうが、安いベースとなる車両を購入して、全ての不具合箇所を直してしまえば、コンディションが良くて高い中古車よりいいものが出来上がるのではないか?というのが自分の考えだった。

実際、この後、あらゆる箇所に手を入れ直していく、レストアしていくことなるのだが、その道はイバラなんて生やさしいものではなかった…

まず、ナンバーを取得し運ばれてきた車両に初めて乗り、このGT-Rを点検&チューニングしてくれるショップへと向かう道中、大きなトラブルが発生したのだから、今後が思いやられるというもの。

「@@さん!今、そちらに向かっていたのですが、タイヤが外れまして!道の真ん中で往生してます。至急レッカー出動お願いします。ホントすいません…」

たった15分の道のりすら、まともに走らせてくれない…これがGT-Rなのだ。


つづく



かつて自分の血を沸騰させたスポーツカーと界隈の人間。その思い出を共有していただきたい、知らない方に伝えたいと、頑張って書いております。ご支援いただければ幸いです。