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芸術の秋 私の小さな展覧会

芸術の秋。

私の周りには、小さな芸術家たちがいる。
甥っ子や姪っ子が作ってくれる作品に、私はいつも驚いてしまう。

今日は、今までの作品を集めて、小さな展覧会。
私には、宝物がいっぱいある。
載せたい写真はいっぱいあるのだが、モザイクだらけになる物もあるので、一部のみ。


ビーズ ~姪っ子作~
イースターにはうさぎを、お誕生日にはお花を。
姪っ子はデザインを変えて、プレゼントしてくれる。

松ぼっくり ~3人の共同作品~
こちらは、クリスマスプレゼントだ。
松ぼっくりに色を塗り、板に貼り付けたもの。

お誕生日
お誕生日には、こんなカードを作ってくれた。

サッカー選手 ~甥っ子作~
サッカーが一番の趣味になった甥っ子。
日本人選手をたくさん描いてくれた。
原口元気選手の名前を、どうやら間違って書いたようだが、それもご愛敬。

以前、キャプテン翼の漫画をプレゼントしたところ、かなり気に入ってくれた。
お誕生日には、キャプテン翼のフィギュアが欲しいとリクエストがあったほどだ。

甥っ子は、日本に関係するようなTシャツやトレーナーを見つけると、必ず欲しいとねだるそうで、いつも日本に関係する洋服を着てやってきて私を驚かす。
そして、何が書いてあるか教えて欲しいと言う。
時々は、私も読めないような漢字デザインの物もあるのだが、分かる所は教えてあげる。
私はこういう時の、甥っ子の興味津々な目が、とっても大好きだ。

そして私は、甥っ子からポケモンの講義を受ける。
ポケモンの存在はもちろん知っているのだが、キャラクターについては、ほとんど知らない。
甥っ子は、一個一個のキャラクターについて、どんな性格でどんな事をするのか教えてくれる。
その時の、甥っ子の得意そうな顔が、私はとっても大好きだ。
私は、真剣に、そしてありがたくその講義を拝聴する。

そういえば、アルプスの少女ハイジは、スイス人作家の原作だが、アニメ自体は日本で製作された事を知らないドイツ人は結構多かった。

私はドイツで何度かこのハイジを、テレビで見た事がある。
日本語では、「クララなんて知らない!(意気地なし!)」とでもいうような台詞のところを、
「Ich hasse dich!(あなたの事が嫌いよ)」とハイジが言って、驚いたことがあった。
ドイツ語になると、感情表現が一気にストレートになるところが面白い。

子供向けの番組で、鉄腕アトムが放送されていたこともある。

日本のアニメや漫画がきっかけで、日本語を勉強したい、日本の事をもっと知りたいと思うかたは、本当に多い。
こうして、日本に興味を持って下さるきっかけがあることは、素直に嬉しい。
良いアニメというのは、時代も国も越えて、人々を魅了するのだろう。


アンパンマン
そして、子供たちはアンパンマンが大好きだ。


パートナーが日本に来た時に、アンパンマンミュージアムの近くを通った。
あれは何かと聞かれ、アンパンマンの説明をした。

余談ながら、パートナーは、餡子が大好きだ。
だから、アンパンマンが子供たちのヒーローで、元気がない時や力が出ない時は、自分の頭を分けてくれるというお話を、すっかり気に入ってしまった。
姪っ子へのお土産はアンパンマンにすると言って、小さなぬいぐるみを買ったのだった。

ドイツに戻り、姪っ子にアンパンマンのぬいぐるみを渡すと、姪っ子はアンパンマンを知らないのに、ぬいぐるみを抱きしめて、可愛い!と言った。
私は、すっかり驚いてしまった。

パートナーは、私が説明した通りに、アンパンマンがヒーローであることを姪っ子に丁寧に説明していた。
それを隣で聞いていた甥っ子も、アンパンマンを見てみたいという。
そこで、YouTubeで検索し、みんなで一緒に動画を見ることになった。

日本語しか見つからず、子供たちに理解できるのか不安だったけれど、子供たちは真剣に動画を見て、笑う時には笑い、怒る時には怒っている。
アニメってすごいなと、また驚いてしまった。

子供たちは、その後もアンパンマンの動画を見るようになったらしい。
この作品は、アンパンマンをすっかり気に入った甥っ子の作品だ。
すでに数年前の作品だが、自宅で描いて、次に私に会う時にプレゼントしてくれたのだ。

私は、アンパンマンがまだ絵本でしか読めなかった時からのファン。
一番最初に絵本に出会ったのは、病院の待合室で、子供用絵本の中にアンパンマンがあった。

私はすっかり気に入って本を読み続けていたのだが、診察の時間になってしまった。
私は診察室に絵本を持って行き、担当のおじいちゃん先生に聞いた。
小さい頃からずっと、この医師に診察をお願いしており、ずっと『おじいちゃん先生』と呼んでいた。
おじいちゃん先生は、白衣を着て黒縁の眼鏡をかけた、ふくよかな方だった。

「この本は絶対に返すので、今日おうちに持って帰って読んでもいいですか?」
おじいちゃん先生は、私の頭をポンポンと軽く叩いてから、
「そんなに気に入ったのなら、持って帰りなさい」と言ってくれた。

初期の頃のアンパンマンは、今よりもずっとスリムで、顔だちも少し違う。
初めてアンパンマンをアニメとしてテレビで見た時には、かなり違和感があったのだけれど、今はすっかり、この真ん丸な顔に慣れてしまった。

作者のやなせたかしさんは、本当にすごいかただと思う。
いつだったかインタビューで、空腹で辛かった思い出からアンパンマンを作ったのだ、とおっしゃっていたのが、とても印象的だった。

戦隊モノのヒーローはたくさんいたけれど、悪いヤツを叩きのめす少し暴力的なシーンがあまり好きではなかった。
もちろん、私が女の子だったからという理由もあるだろう。

そんな中、自分の頭を差し出すという、そんなヒーローはどこにもいなかった。
しかも、いつも強いわけではなくて、顔がしぼむと力が出ないとか、そんなどこか弱いところが何故か私の心を惹き付けた。

強くなくても、誰かを守れる。
やなせたかしさんが伝えたかった事の中には、『何が正義か』という問いも含まれていると思うのだ。
暴力では、決して解決などしない。

アンパンマンのマーチも、傑作だと思う。
あの歌詞も、やなせたかしさんが書かれている。
子供向けのように聞こえるが、ドキッとさせられるほど、意味が深い。
特に冒頭部分は、自分が少し弱い気持ちの時には、涙が浮かんでしまうことすらある。
元気な時も、悲しい時も、私はこの歌を口ずさんでしまう。

歌詞と言えば、『手のひらを太陽に』もやなせたかしさんが書かれている。
私は、幼い頃まだ『おけら』を知らなくて、この歌から教わった。
昆虫図鑑で、おけらを調べた日の事を覚えている。

そして、必ず『手~のひらを~太陽に~』の部分では、一緒に歌う友達と、何度も何度も太陽に手を透かして見たものだ。

本当に血管が見えるね!

私達は、何度もそうやって、自分達の手がまるで透明になったかのように、血管が見える現象を、何度も楽しんだ。


やなせたかしさんは、とても温和なかたに思える。
しかし、この歌詞の通り、熱い血潮が流れた、情熱的なかたでもあるのだと思う。

そしてその情熱は、日本語が全く分からないドイツの子供たちをも、夢中にさせていている。
私がアニメの内容を説明しようとしても、Ditoが言わなくても、全部分かったよ!と言ってくれるのだ。

私はアンパンマンが好きだし、そしてそのアンパンマンを姪っ子や甥っ子が好きになってくれたことが、純粋に嬉しくてたまらない。
私が、あの病院の待合室で続きが読みたくて仕方なかったように、子供たちはアンパンマンを食い入るように見ている。

そして、そんな姪っ子と甥っ子を見て、私まで嬉しくなる。

そんな私達を、やなせたかしさんは、あの柔和な目で、天国から見守ってくださっていることだろう。

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