梁木みのり

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    東京都内を中心に、好きな場所を紹介します。

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このnoteについて

大事なものを手元に残していくため、そして一人でも多くの方に伝えるために、このnoteを始めます。 中心は「本」。そして本のある「場所」、本を作り・売り・読む「人」の話をします。 たまーに好きなアイドルの話もします。 大切にしたい考え方は、「人を人として生かす」こと。単に面白いだけではなく、人を生かし、人の人らしさをはばたかせてくれるような本・場所・人を取り上げていきます。 こんな時代の中で、たくさんの人々とともに生きていくための考え方です。 人がまるでモノのように扱われ

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    • 東京の真ん中、ここだけ時間がゆっくり流れる。三軒茶屋「twililight」〈レポート〉

      好きな「場所」を紹介するにあたって、最初は絶対にここだった。東京都世田谷区三軒茶屋の「twililight」。トワイライライト、と読む店名は、間違っているのが、正しい。 本屋(新刊+古本)とギャラリーとカフェを兼ねたお店だ。私にとってはこういう空間がとてもありがたい。本屋が好きだけれど、本屋だけだと立ちっぱなしになるし、何か買わないと申し訳なくなるから。何も買わなくても、本が売られている空間にコーヒー1杯でずっといられるのはすごく落ち着く。(会計前の本は席では読めない。)

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      • 震災、戦争、コロナ……“語り”がきっと人をつなぐ。あなたも話していいんだよ 『声の地層』〈レビュー〉

        三鷹にある書店UNITÉ(ユニテ)で行われたイベントで、登壇された生きのびるブックスの編集者・篠田里香さんにご挨拶した際、私は生きのびるブックスがずっと気になってはいたもののまだ読めていなかったので、失礼ながら「1冊勧めるならどれですか」と伺った。篠田さんが差し出したのは、『声の地層』だった。 著者の瀬尾さんは、大学を卒業したばかりだった東日本大震災直後、ボランティアとして訪ねた先で人々の被災経験を聞いた。被災者たちは、あまり役に立てず所在無げにしていた瀬尾さんと友人に声を

        • 著者の息遣いが聞こえる。私のお守りの1冊。『聞くこと、話すこと。』〈レビュー〉

          私にとっての本当に好きな本、本当に大事な本は、実は少ない。その中でもこれは、今の私がお守りの一つに数える本だ。 尹さんの肩書きはインタビュアーと作家。執筆業のかたわら、生きづらさを抱える人の話をひたすら聞くことで解決の糸口を探る「インタビューセッション」という試みをおこなっている。著名人から一般の依頼者まで、これまでに1000人以上の話を聞いてきたそうだ。 この本では、『ドライブ・マイ・カー』で知られる映画監督の濱口竜介さん、沖縄で非行少女たちの調査をしている上間陽子さん

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          わたしを解放しよう。ボノボとヒトの、無敵シスターフッド小説『猿の戴冠式』〈レビュー〉

          小砂川チトさんのデビュー作『家庭内安心坑夫』が芥川賞候補になった時、試し読みになっている冒頭だけを読んで、「ヤバイ」と思った。特別な言葉は使っていないのに、切れ味がヤバイ。鮮烈すぎる。怖い……と思って、まだ読んでいない。おい、読めよ。 第二作『猿の戴冠式』も芥川賞候補となった。また冒頭を読み、やっぱりヤバかった。字面を追うだけで脳汁が出る文章が、私は大好き。 こういう、一見論理的な口調なんだけど詩的な文章が、私は大〜好き。 この小説は簡単に言えば「ボノボとヒトの、種族を

          わたしを解放しよう。ボノボとヒトの、無敵シスターフッド小説『猿の戴冠式』〈レビュー〉

          Twitter民は絶対に好きなやつ。新宿に建つ「塔」、あなたは賛成?反対?『東京都同情塔』〈レビュー〉

          第170回芥川賞受賞作。授賞式で九段さんが「執筆にAIを使った」と明かし、話題になった。私はそれよりもこの小説に公式プレイリストが存在し、そこにラッパーのKOHHさんの曲が入っているという話に耳がピンと立った。ヒップホップには詳しくないが、KOHHさんの音楽は好んでよく聴いている。あれは文学だと思う。 え、読まなきゃ。ということで読んだ。プレイリストはSpotifyで作成・公開されていて、私はSpotifyを使っておらずApple Musicユーザーなので、横着してまだ聴い

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          絶対ダメ、だけどどうしようもなく愛おしい僕らの居場所『みどりいせき』〈レビュー〉

          すばる文学賞、通称すば文の授賞式の動画がバズりにバズっていて、絶対に読むと決めていた。先日会った友人は、「あの人気になってる、歓なんとか……ラッパーみたいな人」と言っていた。 大田ステファニー歓人さん、通称ファニーちゃんは、手製のラップでパートナーのかおりんさんへの愛を歌い、世界平和を願う。最強ギャルだけど決してなまやさしくない言葉選びの端々から、勝手な印象かもしれないけれど、これまでぶつけて滲ませてきたであろう血のにおいが立ちのぼる。 『みどりいせき』。純文学のデビュー

          絶対ダメ、だけどどうしようもなく愛おしい僕らの居場所『みどりいせき』〈レビュー〉