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【考察】きゅうくらりん / いよわ feat.可不

気づいたら、3時間聞いていた。
その理由を解き明かすために、我々はアマゾンの奥地へと向かった。
脳内再生できないからもう一度聞くしかないという側面と、
歌詞がイカしているから聞きたくなるという側面があると思う。

私は、多面的で多義的なものが好きなようです。

以下は、人生のネタバレを含みます。
ドキドキ文芸部には直接言及しません。

歌詞の解釈と私の脳内風景を書き留めておきます。
サムネの画像はあったかもしれない日常をイメージしています。

うるさく鳴いた 文字盤を見てた
きっときっと鏡越し 8時過ぎのにおい
しらけた顔 変わってなくてよかった
ピンクの植木鉢の ぐちょぐちょした心のそばに大きく育ったもの 
結ばれたつぼみが こんなにも愚かしい
ああ 化石になっちまうよ
ああ 取り繕っていたいな

きゅうくらりん / いよわ feat.可不

※文字盤を見てた
 ずっと起きていたのかもしれない。なぜ、ずっと起きていたのかというと単純に寝れなかったのだろう。まさか、遠足が楽しみで寝れなかったわけではないと思う。

※うるさく鳴いた
 時計なのかもしれないし、自分が大声で”鳴いた”のかもしれない。その場合、前日の深夜に泣いて今まで起きていると考えるのが自然である。イントロが時計が鳴る音なので解釈違いである可能性も高い。

※きっときっと鏡越し
 鏡は二面性を意味している。私はこの曲は主人公の二面性を表した曲だと考えており、鏡は一般的に二面性の象徴である。では何が鏡なのかというと、自室の窓かもしれないし、時計のガラスかもしれないし、部屋に置いてある鏡かもしれない。部屋の中が主人公自身で部屋の外が取り繕った主人公とするならば、窓が二面性の象徴ということになる。

※8時過ぎのにおい
 ”におい”という表現なのでなんとなく時間が分かるが、確定はしないものを鏡と解釈する必要がある。すなわち、自室の窓もしくは部屋の鏡ということになる。

※しらけた顔 変わってなくてよかった
 しらけた顔をしているのは主人公が恋している少年かもしれないし、主人公自身かもしれない。ただ、少年にネガティブな表現をするとは考え辛いので主人公がしらけた顔していると考えるのがよいだろう。
 主人公が昨日の夜特別”鳴いた”のであれば、いつもと変わらない”しらけた顔”であることに対して安堵するだろう。その顔であれば取り繕うことができるから。

※ピンクの植木鉢のぐちょぐちょした心のそばに
 ”ピンクの植木鉢”は主人公そのものと解釈できる。植木鉢は壊れやすいが現状体裁は保てているように見える。今回は、部屋にピンクの植木鉢が置いてありそれを見ていると仮定する。

※大きく育ったもの 結ばれたつぼみが こんなにも愚かしい
 分不相応な恋愛感情を抱いていることに嫌悪感がある。つぼみが花開くのは、通常ポジティブであるが”愚かしい”と表現している。
 主人公は自身の恋が燃え上がることをむしろ悪いことだと考えている。

※ああ 化石になっちまうよ ああ 取り繕っていたいな
 主人公に会って言葉が出てこないのが恋愛漫画的発想となる。ただ、主人公は神経衰弱なので恐らく違うだろう。寝れなくて頭が回っていないことを示しているという説もある。
 化石は圧力をかけることで完成する。圧力って何だろうと思うと主人公にかかる圧力(=外界からの圧力)となる。鬱病患者は部屋に押しつぶされそうになるという発言をすることがある。
 従って、この歌詞からは主人公に会っているかどうかは断定できず、まだベッドの上で転がっている可能性がある。

ここまでの情景(解釈)

 昨日の夜、大声で泣いた私は一睡もすることができなかった。ベッドの上で目を閉じているが朝日は昇りだし小鳥が鳴いている音が窓の外から聞こえてくる。仕方ないので、目を開けるとやはり朝になっていることが分かる。窓に反射した自分の顔はこの世の終わりみたいな表情だが、なんとか取り繕うことができそうだ。 
 少年は元気な私だから一緒にいてくれるのだろう。自分を取り繕うことに精一杯だ。もし、私が辛いということに気付いてくれたらどうだろう。本当の私に気付いてくれて嬉しい気もするし、絶対に離れてしまう気もする。もし、私が辛いということに気付いてくれなかったらどうだろう。本当の私に気付いてくれなくて悲しい気もするし、このままの日常を送れる気もする。
 どちらにせよ辛いことには変わりないのだから、この日常を続ける意味はあるのだろうか。優しい少年を信じ切ることもできないのが悲しい。
 部屋に飾った花はつぼみになって成長している。私は毎日意味のないことの繰り返しで進展がないが、植物は前向きに成長している。植物は花を開くことが成長と決定されているから羨ましいし、妬ましい。植物にそんな感情を持つ自分が愚かしい。バカみたいに鮮やかなショッキングピンクの植木鉢はこの部屋には不釣り合いだ。

例えば今夜眠って
目覚めたときに 起きる理由が
ひとつも見つからない
朝が来たら わたしはどうする?

きゅうくらりん / いよわ feat.可不

 一般的人にとってみれば、そんなことを考える必要がない。そんな仮定を置く必要がない。一方で、主人公はすでに生き続ける理由が見つからない状況になっている。倫理的でないということが分かっているために、仮定法を用いているだけで、結論はある程度決まっている。

これ以降の情景(解釈)

 ある程度土台ができたので情景を書いていく。歌詞に対応させていたら日が暮れてしまうことが分かった。

 今日は学校に行けなかった。少年に鬱であることがばれてしまうかもしれない。事態は少しずつ悪くなっている。明日は会えるだろうという喜びよりも、バレなくてよかったという気持ちの方が勝ってしまったこと気付いてしまった。じゃあずっと家にいればいいよね。
 窓の外では下校時のにぎやかな声が聞こえてくる。日が落ちてきて部屋は赤くなってきた。ふと、窓を見るとヒビが入っている。いつか、物に当たったからだろうか。
 少年の中の偶像である私を壊さないために日々を頑張り続けるのは辛い。辛いと吐き出したいがそれをすることでこれまでの日々が壊れてしまう。もうどうすることもできないくらいに孤独だ。
 窓の外には虹がかかっていた。ひどく鮮やかに見えた。この部屋はこんなにも淀んでいるのに。死者は天に昇るというがそれもありかもしれない。
 なんとなくロープを手に取るために部屋を移動していると、例のつぼみが目に入った。カーテンの隙間からちょうど光が指していて、茎から落ちたつぼみを照らしていた。この数日間、水をあげていなかったのかもしれない。
 花になれずに落ちたつぼみはダサくてどうしようもないが、分かりやすくて等身大で可愛かった。羨ましいと思った。


参考となる動画
ドキドキ文芸部のネタバレを含みます。



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