2018年3月30日 膵臓がんの終末


まずい傾向だな って感じている。
葬儀や、家の片付けのため体が疲れているせいで
ぐったり起きられないのか、
思考がマイナスに引っ張られているから
体が動かないのか。

自分自身の状況判断がつかないあたり、
やっぱり今の私は混乱している。



母の最期の2週間の病状の凄まじさが
寝ても覚めても頭から離れない。


「だんだん枯れて行くように弱っていきます」
と、介護者の心の準備のためのレクチャーがあったが
そんな生易しいものではなく
生きながらにして腐っていくのが
誰の目にも明らかだった。



血糊の におい。
それでも母は、麻痺して他の人間が全く聞き取れない呻き声で ウウ……ウウ……
と発した。

私はすぐ、
「うん、じゃ おくち 拭こうか」。
母は 意思が伝わった喜びであろう、目尻が細くなり口角がわずかに上がった。



湧き出るどす黒い血液、そして
口蓋に貼り付いた血糊。
いや貼り付いたのではなかった、
口蓋そのものが腐敗しているのだった。


歯の表にも裏にも、歯の間にも、鼻腔にも
こびりついた血液。
綿棒やノンアルコールのウエットティッシュで
丹念に、そっと拭く。
しかし歯でさえ弛んでおり、抜けそうだ。


使い捨てのガーゼを水で湿らせ
頬袋の血溜まりを吸い取って除去する。
しかし水分を与えられた口蓋の粘膜からは
続々と出血が続くのであった。



「水分補給をすると 痰の原因になります、
積極的な水分補給は控えて」

とのレクチャーは正しかった。


一滴の水分も、母が弱る原因になるのだ。
この矛盾。



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