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テレビドラマ感想文 「下剋上球児」 実験的朝ドラ型日曜劇場

VIVANTの後で予算都合で手を抜いてくるかと期待してなかったが、
舞台やキャラクター設定、シナリオのバランス、実験的映像技法など
日曜劇場らしくなく斬新で、すごくスキ

計算高い女性制作陣

VIVANTは制作サイドの「これいいでしょ」風な押し付け感がどうも合わず、
4回目ぐらいで脱落した

本作は真逆
どこか静かに計算高く、寄り添うように制作している感がある

制作陣は「Nのために」チーム
プロデューサー:新井順子
脚本:奥寺左渡子
監督:塚原あゆ子
「N」が深夜再放送されているのは、
日曜劇場のプロモーションらしい

バランスの良いシナリオ

廃部寸前の高校野球チームを再興するお話
高校生の演技がなーと、期待していなかった

実のところ、子役中心のパートが最近全く合わない
例えば、「最高の教師」
高校生同士が会話するシーンの演技が単調で暑苦しく、セリフに頼りすぎる演出で、こちらも脱落した

本作は、大人たちと子供たちの演技のバランスが非常によい
野球のお話なので、子供たちのセリフを極力短めに抑えて、ちょっとした一言に現実感があるし、
説明情景を細かくカット入れ視覚でフォローし、テンポもあがる

実写とアニメの融合

野球の演技を無理せず、
それでいてスピード感を出すために、
アニメーションパートをいれている
ほんの数秒、ポップで明るいが、
アニメへの場面切り替えで、緊迫感が一気に上がり、効果的

例えば、あまちゃんの鉄拳紙芝居説明


そうそう、これこれ!
大河ドラマの合戦パートをCGにしてみたら、ダレた映像になってしまい不評を買っていた
いっそ短い尺でアニメーションで、
表現するほうが効果的だろうと思っていたら、まさに、やってみせてくれている

アニメ監督は「SPY FAMILY」石浜真史

塚原監督曰く、アニメパートの狙いは「エモさ」らしい
作品の全体感とあっていてスキ
今後もアニメをどう組み込み、融合するのか期待して注目したい

既に映画の世界ではCG技術発達で境界線が曖昧になりはじめているが、
ドラマ作品で「実写とアニメ」の融合はあまり見かけないし、
日本発の新しい映像トレンドになるかもしれない

ポカポカするキャラクター設定

みんな善人すぎるぐらい善人で
優しさが溢れかえっている
さらに、三重県の伊勢付近と、
絶妙にのんびりとした感じが、
ギスギスすることもあるはずの
地方の高校野球というテーマを
丸く収めてしまっている

伊勢といえば、独特のしめ縄
思わず笑ってしまう


いずれ様々な葛藤が描かれるだろうが、
キャラ性格設定に対立構造を作らず、
まるで朝ドラのような雰囲気で
ポカポカと暖かい

特に、黒木華さんは
お仕事系になると、人の良さからか、
俄然威力を発揮するが、
「女性教師野球部顧問をやってみた」
どうやら舞台回しの役は彼女が担うのだろう

鈴木亮平は泣かせ役


女性中心の制作陣が作る
驚きの日曜劇場な高校野球ドラマ
これは毎週楽しみになりそうです

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