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土下座ならいくらでもします親分(vsサガン鳥栖)

 塩谷司親分の蹴ったボールが、ピエロスさんにむかって、まるで相手選手をかたっぱしからおしのけてくようにしてつきすすむ。ロングフィードで相手サイドバックの領地を荒らす、っていうチームの基本方針をフリにした、つよくてしたたかな”親分らしい”、長距離パスだった。

 それにしても、どんな景色見てあんなもん通してんですかね、親分は。オフサイドになっちゃったけど13分25秒のとかとくに。ヒトとヒトが重なり合うあのピッチの雑踏のなかから、ピエロスさんの動き出しだけをつまみあげ、コースこじあけて。見方がもうカミサマのやりくちなのよ。マドリーで活躍したグティとか、"リトル・ブッダ"デ・ラ・ペーニャとか。往年のパスのカミサマたちの。

 じつは去年から塩谷親分のパスにはすこしだけ不満があった。いいパスもあるんだけど、一方であんま勝手なパス出さないでよと。だれも反応できないのとか、せっまいコースに通すんだけど、そのあとどうすんの?みたいなのとか。とくに去年の夏こえたあたりから、そういうのがちらほらと。

 でもサガン鳥栖戦観て、ああもうこれはだめだ、これはもう土下座だ、とぼくはぼく自身に宣告してやった。おまえはまちがえたと。味方へのリクエストって部分もあったんだろうなぁ。こう動けよ、みたいな。くそう。己の見る目のなさにはうんざりしてくる。

 かくしてサガン鳥栖戦は、親分のかっこいいパスのあったゲームとしてぼくの心にきざみこまれた。鮎川峻さんや加藤陸次樹さんへのアシストよりもこっちのほうが好みです。かっこいいパスだった。で、パスだせなきゃだせないでボール運んだり、なんならちょい内側入ってボランチのフリだってできちゃうワケでしょ彼。まだまだ手札残してるっていうね。おそるべき塩谷司。水戸からきたときはまだまだもうちょいバタバタしててかわいげあったのに。すっかりかっこよくなっちゃってまぁ……。

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