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大迫のロングフィードのこと

 もうだれも大迫敬介のロングフィードのことを気にもとめなくなったとおもう。

 かつて蹴るたびにタッチラインをわっては、ファン・サポーターのためいきを一身にあつめていた大迫。でもこの連勝した3試合をおもいかえしてみてほしい。彼のキックでためいきをついたことがあっただろうか。というかそもそも大迫のゴールキックとかのフィードの印象、のこっているだろうか。おそらくないはずだ。なぜなら、ミスをしていないから。

 もしかすると1、2本ミスはあったかもしれない。でも試合の雰囲気をこわすほどのものではなかったとおもう。ほとんどはあたりまえのようにタッチラインをわらず、とおくまで飛んでいた。

 おもいだされるのはぼくが観にいった湘南ベルマーレ戦。試合まえのウォーミングアップで、コーチがおとしたボールをダイレでロングフィードする練習をしていた大迫。タッチラインわらないようにカーブをかけて、ハーフウェーライン付近にいるスタッフめがけて何度も蹴っとばしていた。

 で、これがけっこううまくとんでいた。おぉきれいにとぶようになったもんだ、とこの日のウォーミングアップでいちばん目にとまった。じっさいの試合でも、DFのくるしまぎれのパスをそのままきれいに相手の自陣におくりかえしていた。

 ちなみに。おなじレモンガススタジアムで去年もぼくはゴールキーパーのキックが気になっていた。あのときは大迫ではなくて卓人だったが。

 ただ、大迫のロングフィードがよくなったのはつい最近のことではない。アンテナのにぶい自分の話で恐縮だが、ぼくが気がついたのは去年の最終節・徳島ヴォルティス戦だ。あの日はボールを蹴るたび蹴るたびあまりにもつごうよくとぶものだからおろどいたのをおぼえている。

 そしてそこから時をへて、ベルマーレ戦、横浜Fマリノス戦、アビスパ福岡戦と、もはや大迫のロングフィードのことをだれも気にとめなくなった。すっかり当然のものになったのだ。でもその当然のウラには、彼のたくさんの練習時間と工夫の山がつみあがっている。それなのに気にとめられないというのもまたさびしい話ではないか。

 だからせめてぼくくらいは、大迫のロングフィードのことを気にとめよう、ありがたがろう、そうおもってnoteにしたためてみたのである。

 

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