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にじみ出る原作へのリスペクトが最高

NHKドラマ『岸辺露伴は動かない』観ました。

最初は観る気がなかったんです。高橋一生さんの公開ビジュアルがどれだけ良かろうと、私はあの4部を忘れない。ジョジョの実写は無理。ドラゴンボールの次に無理。そう思ってたので。でも、そんなことを言っていたツイッターの仲間たちがどんどん陥落していくから、観るしかねぇと、そう思って録画しました。

いやー。良かったー。ジョジョって、ファンタジーでリアルじゃないのに、なんとも言えない「そこに居る」感が素晴らしいと思っていて。キャラクターがちゃんと息をしているというか。実写化することでキャラクターの呼吸が止まっちゃう感じが怖かったんですけど、岸辺露伴が実在しました。

他のメンバーも良かった。飯豊まりえさんの岸辺露伴を凌駕する逞しい心臓と、サイコパスか?ってくらいの押しの強さがめちゃめちゃハマってて。一歩間違えればウザいのに、なんか可愛い。中村倫也さんも、謎の人物然とした姿が似合う。

もちろんゲスト陣も素晴らしく、特に第2話『くしゃがら』の森山未來さんは、身体能力を活かした常人離れした動きと台詞回しが、完全にジョジョでありながらホラーでもあり、素晴らしいの一言。世界観を完全に構築していました。高橋一生さんもしっかり渡り合っていて、作品としての完成度が高い。

ジョジョには滑稽なシリアスがあると思っています。第1話『富豪村』では、マナー違反が死ないしは大きな罰に直結するシーンがあります。マナー違反という小さな罪に、大きな代償とリアクションが伴う、このアンバランスな滑稽さ。そして緊張感。これって、簡単には表現できないと思うのだけど、さすがアニメも手掛けた小林さんの脚本。そして、役者陣。完璧に、ジョジョだった。第1話目で、ああ、もう、これちゃんとジョジョで、面白いやつじゃん!ってなりました。 ヘヴンズドアーの再現も完璧。岸辺露伴の字も完璧。

あと、美術が良かったですよね。岸辺露伴の部屋、それぞれのシーンに置かれる小物。そこにぴったりとくる光の加減。映像って、どれだけ「らしく」できるかだと思うんですけど、小物一つ間違うと、途端に「らしさ」が消えたりするんです。例えば、岸辺露伴の部屋にはエアコンがないんです。森山未來さんが演じた志士十五の部屋には扇風機がある。この些細なところが、画面を最高にしているんです。

でも、個人的にすごい良かったのが、衣装です。ジョジョの衣装をそのまま再現しようとすると、現実の背景からガチガチに浮きます。色使いも、モチーフも、荒木飛呂彦先生の絵だから美しいというか。実際にやっちゃうと、そればかりが気になって、結果はご存知の通りです。ところが、今回は!ジョジョぽいモードさを残しながら、現実的なエレガンスが突き詰められた完璧な衣装でした。ヘアーバンドも完璧な厚み、存在感。これが初めてのジョジョって人もいると思うんですけど、すんなり馴染める立ち姿になりましたよね。第3話『D・N・A』なんかも、現実からちょっと離れた、だけど違和感が強すぎない完璧なバランスの衣装で。画面を壊さないで世界観を作っていて、観てる側に変なストレスを与えない素晴らしい仕上がりになっていました。

アニメファンとしては、アニメ版岸辺露伴を演じた櫻井孝宏さんがカメオ出演されていたのも嬉しかったです。出演されていることは知らなかったのですが、すぐに気付きました。

役者さんだけでなく、あらゆるところに原作へのリスペクトがあり、それでいてドラマだからできる表現に挑んでいて、最高のドラマでした。12話とかだと、このクオリティは保てないんでしょう。全3話では物足りない!けど、また続きがあったら嬉しいしいなぁ、と思いました。

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