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みんなが特別な気持ちになれる賞

先日、息子が「Best Student Award」をもらったので受賞の様子を見に行ってきました。
お?息子自慢が始まった?と思いましたか?そうではないのです。
実はこの賞、おそらくいつかは全員がもらえる賞なのです。
でも、その演出がとても素晴らしいのです。

2学年が集まる集会での受賞式。賞をもらう子供の名前と授賞理由が順番に発表されます。
呼ばれた子供は前に出て、賞状をもらって、校長先生が言葉をかけながら握手してくれます。
受賞者と先生がクラスごとに写真を撮って、後にFacebookで紹介。
集会を終えて教室に戻ったら、プライズとしてIn-N-Outというハンバーガー屋さんのギフトカードがもらえます。

親には、受賞が決まった時点で保護者向けのアプリを通して連絡が入ります。
「子供にはサプライズにしたいので内緒にしてね」と。
ですから、当日親が登場すると、子供たちは「お前のお母さん来てるから、お前の名前呼ばれるぞ」といったようにそわそわするのです。
自分の親を見つけたら、「あ!」っとなるのです。
家庭によっては、両親はもちろん、両方のおじいちゃん、おばあちゃん総出でやってきたりして、子供の名前が呼ばれるとフーフー!と大きく声をかけたりして盛り上げるのです。


ここには、いろいろな方向からいいことがつまっているなと感じます。

何といっても一番は、子供が誇らしい気持ちになれるということです。
同じタイミングで賞をもらう子が何人もいるのだとしても、いつかはみんながもらえる賞だとわかっていても、やっぱり名前が呼ばれてみんなから拍手されるというのはうれしいことなのではないでしょうか。
しかも、親たちや先生たち、大人がみんなで喜んで祝福してくれたら、やっぱり特別な気持ちになれるだろうと思います。

私が小学生の頃は、何らかの賞をもらう子というのはだいたい決まっていたように思います。いつもお馴染みの顔ぶれが、いつもスポットライトを浴びていたような記憶があります。

でも息子の学校では、全員がスポットライトを浴びる機会があるのです。
例えば、日本の学校でいったら「生徒会」的なものにあたるものも、選挙で選ばれるとか先生に指名されるとかいうことではなく、やりたいと手を挙げた子がみんな参加することができます。
やりたいと手を挙げる子も、いわゆる優等生タイプだけではなく、普段やんちゃ放題な子もいたりして、メンバーを見るとほっこりします。

「Best Student Award」だって、受賞の理由は様々です。
「課題をいつもきちんとこなしました」「人に親切にしました」といったものから、「いい友達がいます」「いつも笑顔で過ごしています」など、何でもありなのです。
どんな子にだってよい所は必ずあるはずです。そこにスポットをあてて、めちゃくちゃほめていい気分にさせちゃう。とっても素敵なのです。

こうして誰もがスポットライトを浴びる機会があれば、「どうせ私なんて」なんて気持ち、生まれないだろうなと思います。


もうひとつ、まったく別の方向からのいいこと。
こういう時、学校に駆け付けられる親がたくさんいるということ。
これも素晴らしいと思います。

学校生活でたった一度の貴重な賞というわけではないのに、「子供の受賞を見に行くのです!」という理由で仕事を抜けることができる人たちがたくさんいるのです。
もちろんみんなではありません。職場や人にもよります。
でも、休んで見に来る人もたくさんいるのです。

以前から思っていたのですが、「家族が最優先」という考え方。これ、日本の職場にもそういう空気が生まれるようになるといいなと。

随分前だったと思いますが、子供の卒業式のために自分の生徒の卒業式を欠席した先生の話がニュースになっていたかと思います。こちらでは、むしろ、子供の卒業式に行かずに自分の生徒の卒業式に出ていたら「ちょ、何やってるの?」ということになります。
子供や配偶者が病気、発表会、遠足の付き添いなどなど、緊急事態でなくても、家族の理由で仕事を抜けるのは当たり前のことなのです。

こちらの親は、「学校」がどれだけ重要なところであるかを子供に理解させるためにも、自分たちが積極的に学校の行事に参加するのだという話を聞いたことがあります。
実際、毎日の送り迎えももちろんのことですが、学校にはいつも必ず「親」の姿があるように感じます。日頃のボランティアもそう。行事に様々な形で参加するのもそう。

子供の教育を学校任せにしない。
家族を大切にする。

子供の健全な発育のために、とても大切なことだと感じています。


そしてまたひとつ、まったく違った方向からのいいこと。
それはIn-N-Outのプロモーションです。

我が家はチェーンのハンバーガー屋さんに行くことはめったにないのですが、年に1回、このプライズをもらった時には、「お祝いだから行こうか」となります。
もらうのは子供のハンバーガー1つがフリーになるギフトカードですが、当然のことながら親の分も注文するわけで。もちろん、大人のハンバーガーの方が高いのです。
普段から利用する家だって、「お祝いだからいつもと違うものを1つ多く頼んでいいよ」とかなるかもしれません。
ギフトカードは使われなければそれまでのこと。
学校に貢献してくれて、しかもお祝い。なんだか好印象。
この作戦、費用対効果がいいぞと思うのです。

いいことづくしの賞ではないですか。
みんなもらえるとわかってはいても、やっぱり見に行った私もうれしくなって。
たくさんの人たちに祝福されてくすぐったそうな顔をしている子供たちを見ていたら、ここには子供たちへの温かい愛がたくさんあるな~と、なんだか涙が出そうになってしまいました。

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