昔入院してた時に白血病で抗がん剤治療している子供達をみていたし、テレビなどでも抗がん剤の副作用はかなり辛いものだとは知っていたが、どこか遠いものだった。大変なんだろうなとぐらいにしか感じていなかった。

母が肺ガンのステージ4と診断されてすぐに抗がん剤治療のために入院した。

母は、抗がん剤治療が始まってすぐに吐き気などの副作用に襲われ寝込んだ。
少し前まで元気だった母。ステージ4のガンだと言うことを気づいてもなかったから普通に生活していた母が抗がん剤治療が始まった途端に病人になった。
私はみるみるうちに弱っていく母を見て、一気に現実を突きつけられた。

あぁ…本当にガンなんだ。

心のどこかで病気ということを信じられていなかった自分がいたのだ。

だってこの間まで元気だったじゃん。

抗がん剤の副作用で、髪も少しづつ抜けていく母。私が小さい頃からずっとロングヘアがトレードマークだった。
そんな母の長い髪か私は大好きだったから、少しづつ抜けていく姿を見ているのが本当に辛かった。
でも、本当に辛いのは私じゃなくて母だ。
私に出来る事は、母が食べたいと言ったものや、食べれそうだから買ってきてほしいと言ったものを届ける事くらいしかない。
もっと早く私が、気づいていればこんな事にはならなかったんじゃないかと何度も何度も自分を責めた。
責めたところで何も変わらないのだけど。

治療が進むに連れて、ふくよかな体型だった母がどんどんやせ細っていった。
本当にこの人はもうダメなのかもしれないって思ってしまっている自分がいた。
でも母は諦めてなかった。絶対にまだまだ生きるんだって意気込みがあった。

その母の生命力が強く、余命3か月は超えてもまだ生きようとしていた。
この人は奇跡が起こるかもしれない。大丈夫かもしれないと思った。