今回の読書感想はコチラ 『悪い夏』 染井為人 初読みの作家さん 見事なまでに転落していく主人公? いや、この物語の主人公は誰だったのか 登場人物、それぞれの視点で章別に書かれていることもあり、全員の本音の部分が分かるのも面白かった ただ、全員がクソ 本人たちは悲劇の主人公なのだろうけど、誰一人まともじゃない 誰一人として同情できないが、自分は大丈夫だと鷹を括るほど楽観視できない怖さも伝わってきました 胸糞悪い読後感でしたが、嫌じゃない… 作者の他の作品も読んでみたいで
今回の読書感想はコチラ! 『映 アムリタ』 野崎まど 読み始めの序盤と読了後の印象がガラッと変わる一冊 序盤は天才と噂される最原と二見のラブコメディの要素が強かったけど、登場人物の軽妙なやりとりはそのままに、後半につれてちょっとテイストが変わっていき、ラストで… 読んでいて何が本当で何が冗談なのかわからなくなりました 天才は能力を人のために使えば神様となり、自己都合で使えば悪魔となる 最原はどっちだったんでしょうか… 初読みの作家さんでしたが、面白かったです!
今回の読書感想はコチラ! 『地雷グリコ』 青崎有吾 昔からあり馴染みのある遊びをアレンジして対戦する 主人公は一見、軽そうな女子高生 めちゃくちゃ面白かった! 昔やったな〜と言う遊びを、ちょっと改良してよくこんなに複雑にしたなぁと思ったけど、それに対しての解も見事で、作者の頭の良さにも驚きでした あのグリコが?ダルマさんが転んだが?こんなにハラハラする展開になるの?? この感覚は読んで体感できてホント良かった 主人公の真兎はまだ一年生、シリーズ化してくれたら嬉しいなぁ
今回の読書感想はコチラ! 『コンビニ兄弟3』 町田そのこ 今回は大人の恋が中心な3編 店長は最初と最後だけの登場でした笑 3話目の「華に嵐」が良かった 前作にあった話しの回収にもなる話でしたが、ツギと華、それぞれの人生を少し垣間見れ切なかったですね 何も失わなかった人と、大事なものを失った人 ただ周りは誰も何かを失った事を知らない ズルいと思ってしまうのもホンネですよね ここでの華のセリフが響きました シリーズの続きがあるなら、次は怪談なのかなぁ笑
今回の読書感想らコチラ 『事件は終わった』 降田天 地下鉄で起こった殺傷事件 その事件によって日常が人生が少しズレてしまった人たちのアナザーストリート 犯人についてはほとんど書かれてません。 明確にこの本の書きたいところはそこではないんだなと。むしろそこが良かったのかもしれません。許されざる犯罪者に焦点を当ててしまうと、思わず犯人に肩入れしてしまい、事件の被害者達への見方がブレてしまう気がしたから。 そしてちょっとファンタジーさを強く感じました。ここは少し違和感を覚え
今回の読書感想はコチラ 『花束は毒』 織守きょうや 読後のこの気持ち… すべてがわかった上で、このモヤモヤする気持ち。すごい作品でした。 物語りはスラスラと進んでいきます。『彼はきっと冤罪だ』と。 だけど、ずっとなんか引っ掛かりは感じるんです。そしてまさかの真相。 その結果を受けて、真実を明かすべきか否かの選択を主人公が迫られます。 それが今まで冤罪で苦しんできた人物に対しての想いなどが交差して複雑な思いにさせられます。 読む前から期待していた作品でした。 想像してい
今回の読書感想はコチラ! 『寄居虫女』 櫛木理宇 かなり精神的にしんどかった… フィクションではあるけれど、実際に起こった事件も参考にしてるって知り、余計に読んでいて辛かったです 他人の家庭に寄生する山口葉月 なんで?どうして従っちゃうの??って思うくらい洗脳の巧さ、そして怖さを感じました ターゲットにされて家族が壊れていくのを見るのは何度も言いますが辛かった… ラストは衝撃というか、かなりひっくり返されましたが、だからと言って気持ちが晴れるわけでもなかったです 寄生す
今回の読書感想はコチラ 「俺ではない炎上」 浅倉秋成 前に読んだ「六人の嘘つきな大学生」が面白かったので今作も期待してました SNS、なりすまし、根拠のない情報の氾濫、無責任で傲慢な正義、炎上… 題材は興味深く、身に覚えのない犯罪に巻き込まれる主人公・泰介の逃走劇には緊迫感もありました。 なにより一番は、自分の思っている「他者からの評価」と実際の他者からの評価の隔たりの大きさを知ってしまった時の恐ろしさ。 SNSでのデマよりも心をえぐられる状況ですね。 これらを踏まえ
今回の読書感想はコチラ 『暗いところで待ち合わせ』 乙一 これはすごい… 物語りは盲目のミチルの部屋に、同僚を駅のホームから突き落とし殺害したアキヒロが身を隠し生活をするという、何とも気味の悪い設定で進みます 読み始めた時は思いもよらなかった、読後のこの感情 感動という簡単な一言では表せない感情でした 境遇は違えど、1人でいることが幸せなんだ、傷付かない唯一の方法なんだと自分自身に言い聞かせている2人 でも、本当は自分に嘘をついていることを分かっている…分かっているけど
今回の読書感想はコチラ 『罪の余白』 芦沢央 娘・加奈を亡くした父親、その娘を死に追いやったであろう娘の同級生・咲を軸にした物語 物語は転落していく加奈の心情から始まります 加奈は死にたくないと思っているし、父親に対してもこんな事になってゴメンと思っている この加奈の気持ちを先に知らされているため、余計にこの後に書かれる父親の苦悩が心をえぐってきます 父親の苦悩と対比で同じく悩んではいるが、それは自身の保身のためである咲の軽薄さ身勝手さが不快さを煽ってきます 父親の同
今回の読書感想はコチラ 『復讐は合法的に』 三日市雫 端的に言えば期待通りに面白かった! そして、主人公エリスがオネエ設定だったことにも驚きでした笑 でも、このオネエなのも男女使い分けられるのが絶妙な設定だったし、復讐屋としての自分の二面性、表裏の顔を持つ相手側の二面性、これらを現す象徴的なものとして男女の顔を持つ二面性の主人公というのもハマってました 四つの短編のためテンポよく、リーガル系ではあるものの読みやすかったです エリスの優秀さカッコよさと、助手のメープルと
今回の読書感想はコチラ 『鴨川ホルモー』 万城目学 こんな面白い小説を今まで読まずにいたんだ… ホルモーってなによ?って思って敬遠してましたが、作者が直木賞を受賞したのをきっかけにミーハー気分で手に取りました 万城目ワールドなのか、この作品だけなのかは分からないですが、私はこのテイストが大好きでした。なんか大学生の時の軽いノリにピッタリだったと思うんだよなぁ、それぞれのキャラクターの個性的な所も最高でした。 自分の大学時代を思い出しながら読めて、素晴らしい青春小説だと思
今回の読書感想はコチラ 『追憶の夜想曲』 中山七里 どうやらシリーズの2作目だったみたいですが、知らずに読み始めてしまいました 恐らく、1作目を読んでいた方がより楽しめたんだろうとは思いましたが、独立作品としての面白さも充分にありました 犯人やその動機的なものは、途中で分かりましたが、その上で一気に読み進めさせる作品の力は凄いですね 主人のである御子柴のダークヒーローの要素が、弁護士という職業と相俟って魅力的でした この御子柴シリーズ、追いかけたいですね
今回の読書感想はコチラ 『運気を磨く〜心を浄化する三つの技法』 田坂広志 引き寄せの法則など、スピリチュアル系の本や動画などは好きで色々と見聞きしてきたが、一番腑に落ちた一冊 むしろ、ここに答えがあるんじゃないかなと思えました よく言われるアファメーションに対しても、私の中で感じていた違和感の答えが明確に書かれていて、スゴく納得できました 物事に対しての解釈の仕方や、心の在り方 感謝する気持ち、受け入れる覚悟や委ねる覚悟 すべてに納得できた一冊でした
今回の読書感想はコチラ 『羆嵐』 吉村昭 人間を6人殺害した羆 対峙する人間の無力さ、自然の猛威 唯一の対抗手段として現れる猟師・銀四郎の存在感 とにかく緊張感が凄かった 羆が人を襲っている描写をリアルに描いているわけではなく、残酷さを表すのは残骸 生ある者の描写がパニックを起こすまでに至る限界の緊張感を表している 読んでいて本当に怖かった… 遠い昔の話でも寓話としてのファンタジーでもない、今も隣にある話だと思って読後に振り返ると、より一層この作品の重さが増しました
今回の読書感想はコチラ! 『特殊清掃人』 中山七里 孤独な最期を遂げた家主の部屋を清掃する特殊清掃人 部屋にはすでに遺体すらない。ただそこにあった遺体から流れ出た体液など処理をし、遺品整理も受け持つ仕事内容 こういう仕事もあるんだと、ちょっと衝撃でした。 誰もいない部屋、そこから生前の様子・想いを察していく主人公たちの姿はまさに「究極のヒューマン・ミステリー」 死者の声なき声をここまで拾ってくれるなら、死者も残された者も嬉しくもあり、怖くもあるだろうな [読了短歌]