わいせつって何? 日本社会における性について考える。社会学者の宮台真司さんの「2016年9月9日デイ・キャッチャーズボイス」


DMMが18歳未満出演イメージビデオを販売停止。改めて考える、日本の子どもと性|TBSラジオAM954+FM90.5~聞けば、見えてくる~

http://www.tbsradio.jp/72033

2016年9月9日に放送したTBSラジオのデイ・キャッチの「宮台さんのデイ・キャッチャーズ・ボイス」を、理解したくて、書き起こしました。

あなたが、日本社会の「性」に関することを考えていく上で、参考になるかもので、書き起こしを公開します。

デイ・キャッチは、毎週月から金曜日に、TBSラジオで、15時30分から17時46分まで放送している番組です。

詳しい内容は以下のサイトでご確認ください。

荒川強啓 デイ・キャッチ! | TBSラジオ AM954 + FM90.5~聞けば、見えてくる~

http://www.tbsradio.jp/dc/

社会学者の宮台真司さんや荒川強啓さんやTBSの女子アナウンサーの江藤愛さんが、出演なさっています。

ここから、番組内容を書き起こします。読みやすいように助詞を補足したりなど、編集してますので、ご了承ください。

敬称略します。

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荒川「社会学者の宮台真司さんのデイ・キャッチャーズ・ボイス。今日のテーマは、こちらです」

江藤「DMMが十八歳未満出演するイメージビデオの販売を自粛。あらためて考える日本の子供と性」

荒川「どういうことなのかちょっとまとめみましょう」

江藤「DVD販売や動画事業を展開するDMM.COMは一昨日、アイドルやタレントが出演するイメージビデオの内十八歳未満が出演する作品の取り扱いを全て停止したと発表しました。これにさきだつ月曜日。NPO法人ヒューマン・ライツ・ナウが児童ポルノに関する調査報告書を発表。イメージビデオの中に児童ポルノ疑いのある作品があり、DMMでも販売しているなどと指摘していました」

荒川「今回の十八歳未満のイメージビデオの販売自粛の決定について、宮台さんはどういう考えを持っていますか?」

宮台「これもですね。さっきの二重国籍の問題とよく似ていて、言葉に自動機械的に劣化的に反応を示すのは良くないんですね。やはり構造の問題をよく見極める必要があります。僕のゼミは元々外国人がすごく多いんですね。昔欧米人が多かった頃にね。欧米人の多くは、こう言っていた。日本の性に関する規制。特にわいせつ規制というものは、二つの意味でおかしい。一つはですね。まるでわいせつな行為や物があるように実体化しているということ。その意味はね。結局そういうわいせつな物や行為があるのではなくてね。TPOがあるだけ。例えばね。産婦人科で、触診したりするのはわいせつな行為ではないし、夫婦やカップルがね。ホテルなどでAVを見ること別にもわいせつでもなんでもないですよね」

荒川「うん」

宮台「もう一つ。ニ番目で大事なことなんですが、これは今回関係するんだけど、児童が性的嗜好の対象になっていることです。それは例えば、中学高校生がね。歌謡アイドルやグラビアアイドルが存在することに明らかですね。性的な行為をしているかどうか関係なく、明らかに性的な魅力をある種ネタにしてね。人々を消費させているということですね。まず、これが、とっかがりです。日本にはわいせつに関する法律がありますが、その中には二種類の違う問題が含まれてます。一つは人権問題。もう一つはわいせつ問題。これは狭い意味でのわいせつ問題と僕は呼んでいます。人権問題はね。刑法百七十六条のいわゆる強制わいせつ。強姦等の問題です。今日も少し話題になりましたね。狭い意味でのわいせつ問題は、刑法百七十四条公然わいせつ。百七十五条わいせつ物の頒布等ですね。前者は百七十六条強姦問題。これは人権問題で、個人的な法益の問題なんですね。後者は、狭義のわいせつ問題は、人権問題ではなくて、社会的法益の問題です。

※参考サイト

刑法第2編第22章 わいせつ、姦淫及び重婚の罪(法令データ提供システム|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html#1002000000022000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000

しかしですね。日本では頭の悪い人が多いせいかですね。社会的な法益の問題をね。道徳や感情を傷つけるからっていう風に理解する人が多い。そうではないです。全く。これから説明しますね。人類学をさかのぼると、法律があるかどうか関係なく、どの社会も必ずわいせつという範疇があります。その意味は、性的な空間と非性的な空間を分けろという分離の要求であり、性的な対象と非性的な対象を分けろという分離の要求なんですね。どうしてこういう要求がありますかいうと、人間は動物と違って、過剰な存在だからなんですね。発情期がありません。猿の中では人間だけですね。多形倒錯的です。つまり一定の育ち上がりのプロセスでインストールがないと、動物にも欲情したりとか、消しゴムにも欲情したりする可能性があるんですね。簡単に言うと、動的でありうる人間を社会の中に上手くですね落としこむためには、性的であって良い空間といけない空間性的に接して良い対象と良くない対象とを分離した上で、習得的プログラムとしてインストールしていく必要があるんです。そうしないと社会は、いつも性的な引力によってまみれて、ぐちゃぐちゃになってしまうんわけなんですね。意味わかります? これが基本ですね」

荒川「そうすると、どうするといいんですか? すみ分けと言いますでしょうか……」

宮台「基本的には、性的な空間を分離しなければいけない。性的なものとそうでない空間。TPOの問題です。わいせつ問題は、僕に言わせると、わいせつな表現があるのではなくて、TPOの問題だから、ゾーニングがあるだけの問題。つまり表現規制でなくて、ゾーニング規制に一元化しろ! と言うのが、僕に言わせると、刑法百七十四条、百七十五条に関する見解です。もう一つ重要なことなんですけど、いわゆる分離っていう問題をどう考えたらいいのかってことなんですよ。対象の分離をどう考えたらいいかって問題なんだけれど、例えばね、皆さんご存知のように、日本では刑法で十三歳以下の性交渉をすると、自由意志と関係なく強姦になるでしょう。これは何故なのかと言うと、人類史上第二次性徴を達すると、性交をしたり結婚したりするのが当たり前だったんです。十五歳ぐらい結婚するのは、農村では普通にあったし、最近話題のアマゾンの先住民を見てみると、十三歳、十四歳ぐらいで出産するのは当たり前に存在します。だから、要するに、僕達が中学生高校生ぐらいと思っているのと、セックスするのを、人類普遍的に全くアブノーマルじゃないんですね。じゃあ、なんで僕達が中学生高校生スクールガールを相手にしてはいけないってなっているのか? そうなったのは近代化が進んだからです。なんでそうなったかというと、要は、昔は第二次性徴頃にね。だいたい数週間の通過儀礼があったことを、中学生高校生の学校教育に置き換えた。性的な引力から彼らを隔離をした上で、適材適所を図るべく、資質を見極める。あるいは動機付けし選別し、動機づけし選別し、前途有為な存在へと人材育成のために、性的な引力から彼らを隔離をするというのが、人類史上ずっと長い間存してきた、十三・四歳ぐらいで結婚してセックスしていいよというのが、日本の刑法でも刻印されていますけど、ダメです! というなった理由なんです。道徳や感情の問題では全くなくて、基本的にどういう社会を自分たちが営んでいるのか?  社会の全体性に関するイメージとの、簡単に言うと、マッチングの問題なんですね。昨今非常に難しいのは、自分たちがどういう社会を営んでいるのかとか、営むべきなのかってことに関する冷静な理解を欠いてるから、尚更ですね、気に食う気に食わないっていう感情の問題に、狭い意味でのわいせつ規制の問題が押し込まれてしまいがちなんですね

荒川「そうなりますと、今回のDMMが、十八歳未満が出演するイメージビデオの販売自粛というのは、これはどういう風に見ておいでなんですか?」

宮台「皆さんがそれをどういう理屈で理解するかによって、良い施策だと言えますし、悪い施策だと言えます。一私企業なんですけれどね」

荒川「はあ」

宮台「例えば先ほど申し上げましたように、日本人は欧米人と違うところがあるんですね。性教育を禁圧したり、青少年の性行為を禁止する。欧米人と比べたら、非常に厳格です。異様に突出してます。小中学生アイドルごとき児童に対する性的消費に対しては、欧米人と比べては、異様に寛容で野放図です。これ基本的にアンバランスでしょう? 性的な消費は野放図なのに、やたらに性教育を禁圧するというのは、この非一貫性をどう解消するか。本気じゃないということです」

荒川「うん」

宮台「つまり全体的ににこっそりやればいいんだというメッセージを、内外に発してしまうんです。これ整合するようにしなきゃいけないんですね。だから神経質になるだけじゃダメなんです。どのみち子供たちは性的な世界に入っていきます。免疫も必要ですし、知恵も必要ですし、そのための伝承も必要だから、むしろオープンにする必要があるんだけど、しかし、先ほど申し上げたように、性的なものとそうでないもの、分化と対象を、それぞれ分離されなければいけませんからね。そのために何が必要なのかって議論をした上で、その施策、なぜイメージビデオを問題にするのかって議論しなくちゃいけない。日本は何度も言いますが、特に欧米人に見れば、野放図に児童を性的に消費してます。それは、日本人が考えるわいせつとは何の関係もありません

荒川「なるほど。野放図にほったらかしていることですね。この問題は」

宮台「そうです。その上で、性的教育についてはやたら神経質。まるでちぐはぐデタラメがありますね」

荒川「宮台さんのボイスでした」

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感想

書き起こしをして、より理解できました。日本の「性」に関することは、一貫してないし、海外にそういうメッセージを発してしまうのは、良くないな。

性教育をもっとしっかりやった方がいいかも。

子供がいたら、以下の宮台真司さんの本を読んでもらって、試行錯誤して欲しいなと、尚更書き起こしして思いました。

中学生からの愛の授業 学校が教えてくれない「愛と性」の話をしよう (コア新書) 宮台真司 

https://www.amazon.co.jp/dp/4864368244/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_8EB1xbPPTKBRZ


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