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人工知能で仕事がなくなるの? 現役AIエンジニアが語る真実

こんにちは!
都内で人工知能の開発をやっているハルです!

近年、人工知能の話題がよく出るようになってきましたが、

人工知能によって仕事が奪われるという恐怖感を持っている方も多いと思います。
テレビでは人工知能VS人間という訳の分からない対立で煽られているのを見て、こういう間違った先入観で脅しにかかるのは良くないとつくづく感じてしまいます。

皆さんには、人工知能に対して正しい理解をしてこれからのキャリアプランに役立ててほしいという思いでこの記事を書いています。

この記事で書くことは、

・人工知能によって仕事はなくなるの?
・そもそも人工知能って何!?
・人工知能ってこんなことまでできるの!?
・人工知能によってなくなる仕事、なくならない仕事
・これからのAI時代を生き抜く為に本当に必要な事とは!?

を書いていきます。

今回は、開発者側の目線に立ってどういう仕事が代用しやすいのか書いていこうと思います。

なお、当記事の対象者は、

・人工知能に仕事取られるんじゃないかと不安。。。
・AIってよくわらないけど、興味がある!
・数学とかプログラミングとか全く分からんけど、人工知能についてなんとなく知りたい方。
・そんな専門的な事はいらないから、ザックリと人工知能について知りたい!
・どんな仕事が生き残っていくか知りたい!
・自分の仕事ってなくならないか心配。。
・人工知能時代に必要とされる力って何か知りたい!

という方。

少しでも該当する方は是非読んでみてください。これからのAI時代を生き抜く基礎になるはずです。

●人工知能によって仕事はなくなるの?
A.なくなる仕事もあります。ですが、人工知能はあくまでもツールなので、めんどくさい作業を省き、人をサポートするのがメインです。

そもそも仕事がなくなるという表現の仕方が良くないですね。面倒な作業を肩代わりしてくれると言ったほうがいいでしょう。
AIといえども、所詮はツールなのです。あるパターンに基づいて作業をこなせる便利ツールなのです。

では、どんな作業をAIがやってくれるのでしょうか?
それを説明するには、AIの仕組みをザックリとでも理解する必要があります。

人工知能がやってくれる仕事については次のトピックで詳しくお話しします。

●人工知能って何?
A.超ザックリとまとめると、データから「あるパターン」を見つけだして、そのパターンに基づいてアクションを行うシステムのことです。

一言に人工知能といっても色々あります!正直たくさんありすぎて一言でまとめるのは難しいのですが、本当にザックリとしたイメージで定義すると上記のような表現になってしまいました。
超絶大まかに定義してしまうとAIは3ステップ。

1データを集める。
2データからパターンを見つける。
3そのパターンに基づいてアクションを起こす。ということです。

いくつか事例を挙げましょう。
例えば、


過去に自社で購入してくれたお客さんのデータから次にリリースする商品が売れそうな見込み客を抽出するAIを作るとします。
この場合、
1過去のお客さんのデータ(買った商品や数、住所、年齢、性別など)を使って、
2自社の商品を買ってくれた人のパターンを見つけます。例えば20代男性の人が買う傾向にあるとか、この地域に住んでいる人には売れやすいとか、そういった買ってくれた人の特徴的なところを見つけ出します。
3ある一定のパターンが見つかったら、この20代男性はうちの商品を買いそうだ!とAIが判断するというアクションを起こすわけです。

株価を予測して自動売買するAIの場合だと、
1過去の株価のデータを蓄える。
2過去の株価の変動から、株価が上下するの波のパターンを見つける。
3過去の株価の波から判断して、次に株価はこのぐらいになると予想。今が買い時だから株を買おう!
工場の食品の品質管理をする(不良品を検知する)AIだと、
1不良品と判断する食品の画像と不良品じゃない食品の画像を集める。
2不良品とそれ以外の画像から、不良品のバターンを見つける。
3不良品の食品が工場のラインから流れてくると不良品を検知する。
内視鏡で胃ガンを判断するAIの時は、
1内視鏡で胃の内部を撮った画像を集める。
2画像からガンのパターンを見つけ出す。
3ガンの画像のバターンから判断して、内視鏡で胃の中を見たときに、胃癌があれば知らせる。
手書きの書類を自動でデータベースへ入力するAIなら
1手書きの文字の画像をたくさん集める。
2 1の文字画像から、この曲線や形の文字は「あ」だな!と文字ごとに特徴的な部分をパターン化する。
3手書きの書類がお客さんから送られてきたときに、写真を撮るだけで何の文字が書かれているのか出力する。

いかがでしょうか?なんとなくイメージが掴めてきたのではないでしょうか?

人工知能も人間と同じように勉強をしないといけません。いきなりなんでもできるわけではないのです。


1のデータが勉強材料です。株価のデータや、不良品の食品画像などがそれに当たります。

2では1で集めた勉強材料を使って、データに共通するパターンを見つけ出しています。この工程のことを「学習」と言います。1はパターンを勉強するために必要なデータなので、「学習データ」と言います。

3では学習データを使って、ある一定の特徴やパターンを学習したAIが、そのパターンに基づいて次の行動を取っています。株価を予測するとかガンを見つけるとか。

既にお気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、

人工知能は基本的に学習データがないと使い物になりません。

何も勉強していない人が試験問題を解けないのと同様にAIもデータを元にして学習をしないと次に進めないのです!

つまり、データがないことに関しては人工知能は参入できないということです!!

金融機関のフィンテックに関しては過去のデータが豊富なので人工知能が代用しやすいのです。個人への資産運用アドバイスや、投資信託、保険などの金融商品販売は過去のデータを使えば、AIがパターンを学習できて、代用が可能なのです。

書類の受付も手書き文字を認識するAIを使えば人は必要ありません。だからこそ大手銀行がこぞってAIを導入することで人件費を削減しようとしているのです。

逆に、看護師など、人によって対応を変えたりデータがなかったりする仕事は人工知能で代用しようがないのです。

先ほどの、人工知能によって仕事がなくなるのかという質問の答えは、
学習データがあったり、パターン化できる仕事は人工知能によって肩代わりしやすい!!ということになります。

※因みに人工知能とロボットは全くの別物です。ロボットはハードの分野なので完全に別の技術です。どれくらい違いのかと言うと、野球と水泳ぐらい違います笑

●人工知能はこんなことまでできてしまう!!

これまでは、学習データからパターンを見つけ出して、次のアクションを起こすことがAIの基本だとお伝えしてきました。
じゃあ、クリエイティブな仕事なら無理っしょwwwwと思ったそこのあなた!大きな間違いです。

・デザインをするAI
家のデザインをしたり、二次元のキャラクターを描いたりするなど、デザインをするAIが実は登場しているのです。
専門用語で言うと、敵対的生成ネットワーク(GAN)と言うのですが、2017年にAIの画像処理分野において革命をもたらした技術です。

例えば、以下のベッドルームの画像。これは全てAIが作った画像です。


さらにこの画像では普通の馬の画像をシマウマに画像を作り変えてしまっています。


・文章を書くAI

恐ろしいことにAIは文章を書けます。AIはなんと小説も書きやがります。

広告の文章とその広告で過去に売れた商品を学習データとしてAIに渡すと、特定の商品が売れるキャッチコピーとか考えてくれそう。。コピーライティングは奥が深いのでそんなに簡単に効果が出るとは思いませんが、単純に面白そうですよね。

という感じで、意外なことにクリエイティブな分野にまで人工知能はその手を広げています。


●人工知能によってなくなる仕事、なくならない仕事は?
A. なくなる仕事は、 学習データがある&パターンに基づいて判断できる仕事。
なくならない仕事は、 学習データが用意できない、用意するのが難しい&一定のパターンに基づいて判断するのが難しい仕事。

人工知能とは何かで述べたように

学習データがない、もしくは学習データを用意するのが難しいことは代用しづらいです。
また、仕事をパターン化するのが難しい事も人工知能を導入しにくいです。


例えば、ゴミを拾うという単純作業をAIでやるとします。

まず何をゴミと認識するか定義しないといけません。紙が落ちてたらゴミ?食べ物は?ガムは?

さらに言うと、そのゴミを物体認識しないといけません。紙が落ちていた時にちゃんとそこに紙があると認識できるのか判定しなければいけません。そうしないとゴミを見つけられませんから。

物体認識は背景や道路の色など周囲の情報によっても左右されますし、紙でも綺麗なA4で落ちているのかクシャクシャ丸められて落ちているのか。
あと紙の色が白なのかピンクなのか青っぽいのか、色が違うと認識しない可能性が高いです。
さらに太陽光の反射する光によっても物体認識できなかったりします。光沢のある紙だと光って反射しますよね?反射されると認識しにくいです。夕方だとオレンジっぽく変化するのでこれもまた影響があるかもしれません。
このように、ゴミひとつ認識するのにめっちゃ手間かかります笑

これらを全て定義していって、1つ1つのケースに対応する学習データを用意するなんて至難の業です。
意外と単純作業って難しいんですよ。判断しているファクターが多すぎてデータとして用意しきれないのです。


あと人工知能で代用しにくいのはパターンに基づいて判断しにくいこと

看護師とか人によって対応を変えて、その人に寄り添う仕事は代用できません。
コンサルや営業のようにお客さんに合わせて変えていく仕事もパターン化できないので難しいです。

マッサージ店などの店舗予約とかなら、名前とか時間とかコースとか聞くことが決まっているのでパターン化しやすいです。


因みに、先ほどのデザインするAIや文章を書くAIですが、デザイナーや作家の仕事がなくなるのかというとそういうわけではないと思います。

デザイナーはお客さんから要望を聞いて形にしないといけませんし、作家も伝えたいメッセージがあるからこそ本を書いています。
判断するデータ量や経験量が多すぎるので、AIごときには奪えません笑

むしろ、AIをデザインするときの参考ツールとして使っていくとよりクリエイティブな仕事ができると思います。何かをデザインするにしても自分だけで考えるよりも、AIが考えた案をポンポン出してきてくれた方がアイデアの幅を少し広げられそうじゃないですか?

ブレインストーミング的な感じで、自分が思いつかないデザインを出してきてくれる人が1人増えたみたいな感じでAIを使うとものすごく役立つと思います。

それでは、今までのことを踏まえて、具体的になくなる仕事を挙げてみましょう。
ネットで、オックスフォード大学がなくなる仕事をあげていますが、その中で僕もなくなると思う仕事を一部ピックアップしてみました。

銀行の融資担当者、スポーツの審判、保険の審査担当、ホテルの受付係、データ入力作業員、クレジットアナリスト、レジ係、簿記・監査の事務員、給与福利厚生担当者

これらを選んだ理由ですが、まずある程度仕事をこなす型が決まっていること。つまりマニュアル化できるかどうかということをメインに考えました。

あとは、学習データを用意しやすそうなものだったり、画像認識技術で対応できるかどうかなどなどです。


ポイントは仕事をパターン化できるかどうかです。


スポーツの審判とかどうやんの!?と疑問に思うかもしれませんが、Openposeという人間の骨格の動きを認識できるAIがあるのでそれを使えば十分審判は可能です。
⬇︎がOpenposeです。


レジ係はすでに大宮駅がAIを使ってレジ会計やってますね。客が商品を棚からとると画像認識をするAIが「商品が棚から1個減った」と認識して、商品を手に取るたびに金額を合計して会計をするようです。


逆に、オックスフォード大学はなくなるって言ってるけど、僕はなくならないと思う仕事もピックアップしました!


レストランの案内係、電話オペレーター、娯楽施設の案内人、調査担当者、測定を行う作業員、訪問販売員、ネイリスト、時計修理工


レストランや施設の案内係ですが、一見AIで代用できそうに見えがちですが、お客さんがわからないことをAIが全て網羅できるとは限りません。ある程度チャットbotを使えば対応可能ですが、そこでわからなかったことは結局人に頼らざるを得ません。

案内所で待機する人は無くなりそうですが、案内係は別の仕事ができる人は他の仕事もやりつつ案内も兼任することになりそうです。

電話のオペレーターも問い合わせを自動化して、オペレーターへの問い合わせ率を減らせますが、それでも対応しきれないことはあるのでオペレーターは必要ですが、数は減ると思います。

時計の修理工は見て触ってわかる事もあると思うので、データだけで対応するのは難しいと思います。今の技術では電池交換すらも厳しいと思います。

なくなると言われている仕事の中でも、なんでこれが入っているのかわからないのが4つ。

調査担当者、測定の作業員、訪問販売員、ネイリスト。

これはAIがめっちゃ苦手にしている分野です。
AIが苦手なことの1つに一次データの収集があります。電話をかけたりとか現地に行って収集できる情報とか、この類のデータを集めるのがAIにはできません。

因みに余談ですが、人工知能を作るときに一番大変なのがデータ取集だったりします。地味な作業なのに質と量を求められるのでこれをいかにして集めてどうやって加工しようかと奮闘するのが人工知能エンジニアの仕事の大半です。

話が逸れてしまいましたが、訪問販売員やネイリストも人にしかできない仕事ですね。レジや案内係と違って、仕事の型が作りにくく、相手によって対応を変えないといけないので、これは人がやるべきところでしょう。


最後に、僕個人的にこれからなくなっていくと考える仕事があります。
それは、データサイエンティストです。
なぜなら、データ分析こそAIが得意としている分野だからです。

これまでは学習データを用意するときには、データサイエンスを学んだ人が、集めたデータから人工知能が学習するのに必要なデータだけをピックアップすることが必要でした。

しかし「ディープラーニング」と呼ばれる新技術が現れてから、今までデータサイエンティストがどのデータが学習に必要か選んでいましたが、それを人工知能が勝手に選んでくれるようになりました。人の手ではデータ分析の限界がありましたが、人工知能がやってくれることでデータ分析の幅を大きく広げ、ディープラーニングは人工知能ブームの火付け役となりました。

これからディープラーニングがどんどん発展して、データ分析を全部やれるAIが論文で発表されたとしたら、データサイエンティストという職の立場は危うくなるでしょう。人が物凄い時間をかけて分析したものが、人工知能のボタン1つでできるようになる可能性があります。

ここで興味深いのが、
データサイエンティストは非常に専門性が高い仕事だということです。
とてつもない勉強量が必要です。それにもかかわらず、人工知能に代用される可能性があります。


つまり、いくら専門性が高い仕事でも、
AIが得意としていることなら仕事を取られる可能性が高いということです。



ネットでは、専門性が高い仕事は奪われないと書いてありますが、そんなことはありません。
AIが得意としている仕事から参入していきます。



●これからのAI時代を生き抜く為に必要な事は?
A. 人工知能をツールとして使いこなす。もしくは、リスクを冒してでも新しいことに挑戦し続ける。


これに尽きると思います。テレビでもAI VS人間みたいな感じで取り上げられたり、人工知能は悪魔か!?と取り上げられることが多いですが、これは大きな間違いです。なぜなら、人工知能はツールだからです!!

僕は一貫して人工知能は便利なツールだとお伝えしてきました。確かにツールが便利になりすぎて人の仕事が代用されることもありますが、

だからこそ別の仕事内容に打ち込めるのです。ある分野はAIがやって、その負担が軽くなった分だけ別のもっとクリエイティブなことに労力を費やせるのです。

人工知能使うのって会社でしょ?個人である自分たちの場合はどうすりゃいいの!?
という方には、
少々きつい言い方かもしれませんが、
マニュアルや決められた手順をこなすだけの仕事をやめる事が一番だと思います。


仕事に決まった手順や型があるのであれば、後は学習データさえ揃えば、人工知能による代用対象になりうる可能性が高いです。


今の時代データを作ろうと思えばいくらでも数値化できます。ニオイでさえ、分子の重さを測ればデータ化できます。

とはいえ、データ化できても人工知能に使えるだけの質の高いデータを用意するのがかなり難しいです。それができずに挫折するプロジェクトも珍しくありません。

しかし、世界的に人工知能を使うのが当たり前になった時、各社は学習データ確保に躍起になるでしょう。そして、必要なデータが揃った時、あなたの仕事の一部もしくは全てが代用されてしまいます。


そんな時代で、本当に必要なことは何か!?

それは、先の見えない闇の中をリスクを取ってでも進める人こそ、これからのAI時代に一番必要です。


なぜなら人工知能はリスクを冒すことは絶対にしないからです。


もしAIが上手くいく確率が低いことにリスクを取って挑戦したら、明らかに設計に問題ありです。そんなものを納品できません。


人工知能は仕事を確実にこなすこと、与えられた仕事を精度高くこなすを求められています。間違うことがないよう、着実に正確にできれば上出来なのです。

技術の進歩も目覚ましく、人工知能の新しい論文も毎日アップされています。
自動運転など今までできなかったことがドンドンできるようになっています。
このスピードで進むと安定を求め、楽にこなせる仕事をやっている以上、いつ取って代わられてもおかしくありません。

だからこそ、
リスクを取ってでも前に進むことこそ、人間にしかできないことなのです!!


こんな偉そうなことを言ってしまっている僕ですが、僕もこれからの時代をどう生きていくか悩んだ時期がありました。
実は新卒の時は、自動車メーカーの国内営業の仕事をしていました。
入社してからは、ルーティンをこなすだけの仕事に疑問を感じていました。誰でもできる仕事じゃないかと。。。
そこから会社を辞めて、毎日勉強して、今の仕事に就くことができました。
会社を辞めて勉強しても、この仕事に就ける保証は全くありませんでしたが、それでも進み続けて良かったと思っています。

私的なことを長々と話してしまいましたが、
もしみなさんが、AIで仕事が奪われるかも、今の仕事があるのか心配と思った方は、是非新しい道へ飛び込んでみて欲しいと思います!未経験でもやって欲しいです!

闇の中を突き進める人こそ明るい未来が待っていると、そう思うのです。


そして、道中でAIを使う機会があったら、是非使ってやってほしいです。きっとあなたの力になってくれるはずです。

この記事が人工知能への不安を少しでも和らげ、誰かの新しい一歩への手助けになれば、幸いです。

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