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Blackish House sideA→ 姫崎藤吾√ 感想


お久しぶりです、はるきちです。

先日、noteを始めて1年が経ちました。

自分の感想を残しておきたいな〜という緩いノリから始まり、
気付けば1年。
三日坊主にならなかったことは個人的には凄いことなんです。

文字を綴るって難しいなと書く度に感じています。
でも、それ以上に楽しい。

これからも、上手くなくてもはるきちなりに、
色んな作品との対話を感想という形で紡いでいこうと思っています。

さて。
そんなはるきち、実はとある乙女ゲームを進めております。

それは『Blackish House sideA→』

すでに剛と円√ はクリアしており、今回は3人目である姫崎藤吾√ の感想になります。

『感情が分からない』が欠点である藤吾。
そんな彼の√ がどんな物語だったのかと聞かれたら、私はこう答える。

これぞカウンセリング恋愛ADVの真骨頂。

それも雛だけでなく、幼なじみである澪と乃亜も巻き込んでのかなり大掛かりなカウンセリング。

藤吾の欠点を解消していくことと並行して恋愛過程も丁寧に描ききっているのも見事。

ここからはネタバレなしでは語れないので、
早速本題に入っていきましょう!

↪︎以下ネタバレあり(個人の感想です)




✼••┈┈┈┈┈┈┈┈••✼





共通を見ていても分かるように、藤吾はアパートメンバーの中では雛に対してもプログラムに対しても反抗的な態度は見せず、むしろ物腰も柔らかくとっつきやすい人物である。

“感情が分からない”という欠点を感じさせないお芝居や仕事に打ち込む姿に、カウンセリング必要なくない?などと余裕をかましていた。
まあ、その余裕は個別√ に入りしばらくして粉々に打ち砕かれるのだが。

共通時点では『完璧すぎて逆に怖い』という印象を持ったりもしたが、藤吾と過ごす時間はいたって平和。
それどころか、パジャマで夜のアパートをうろうろする雛をからかってみたり、五十里では「わっ」と典型的な驚かせ方をしてきたりとこれまで見せなかった茶目っ気まで披露しており、こんな愉快な先輩だったのかとにこにこしながら見守っていた。

お茶目?愉快?
とんでもない。

藤吾の欠点は私と雛が思う以上に彼を縛り、その心を蝕んでいたのだ。

これまでの剛や円は自身の欠点を自覚していたり、このままではいけないと感じている様子も見受けられた。
一方でお芝居に対しては真摯に向き合い打ち込んでいたりと向上心や前に進もうと足掻く意思もあった。

しかし、藤吾にはそれらはもちろん、自主性も役者として邁進したいという思いも、自分や自分の未来に関する前向きな気持ちが一切ないのだ。

彼にあるのは異様な執着と想像を絶するほどの歪んだ依存心。

思い返してみても、(澪や乃亜の力添えも不可欠でありつつ)雛だったから救えたんだろうな…

そんな奇跡とも必然とも呼べる物語を振り返っていきましょうぞ。

余談ですが、今回の感想は推し候補の活躍にテンションが上がってしまったため乃亜オタクの声がかなり多く綴られてます。
はるきちのことは、ヒロインちゃんの周りを喋りながらふよふよ飛びまわるミニマムオタクとでも思ってくれ(?)

scene01 庶民夏祭り

開幕、藤吾ではなく乃亜との触れ合いに小躍りしてしまった。

雛のほっぺを楽しそうにつまむのなに??
天使??五十里に舞い降りた天使なのか??

もちろん藤吾のことだって忘れていません。
忘れて!いません!

その藤吾だが、ちくっと毒を吐く場面が多々描かれている。
でもそこに悪意は感じられず、思ったことを淡々と口にしただけ、みたいな。
雛は『ひと言多い』と表現してたけど、これも感情が分からないゆえの言動なのかもしれない。

さて。
今回は流れで藤吾だけでなく乃亜も一緒にお祭をまわることになりうっきうきのはるきち。
しかし、ここで先輩達と庶民の価値観の違いが浮き彫りになる。

お祭の定番、金魚すくいに興味を示す先輩達。

「きんぎょすくい……。
これが噂の、わざわざ取りにくい器具を使って金魚をすくうだけの遊びか〜」

「そう言われると、とっても無益な遊びだよね。面白いのかな?」

金魚すくいに対してのこんな評価初めて見たよ( ˙-˙ )

無益とか言ってる割には興味津々のお2人。
カードしか持っておらず、それでもどうしても金魚すくいデビューがしたかった乃亜のおねだりに完全ノックアウト白旗ですわ🏳

この後、乃亜とはぐれてしまい合流するまでの間藤吾とりんご飴をかじる場面。

澪の演技が1番だと語る姿に『ああ、自慢の幼なじみなんだろうな〜』なんて思っていましたよ、ええ。
藤吾の澪へ抱く感情はそんなひと言では表せないものだと知るのはもう少し先のお話。

りんご飴をひとくちかじるスチル。
いつもより幼く見える雛の横顔の可愛らしさとりんご飴に口を付ける藤吾のちょっと色香が漂う雰囲気が、不思議と良いコントラストになっていてとっても素敵なスチルでした。

それにしても。
迷子になるなんてだめだよ〜!って頬を膨らしながら合流した乃亜、可愛すぎる。

scene03 学年混合演劇

皆さん、覚えているだろうか。
雛の学園では文化祭で学年問わず有志を集めた『学年混合演劇』というものがあったことを。
そう、円√ ではbeautiful monster があったので断る展開だったが今回の藤吾√ では引き受けることになる。

この混合演劇メンバーに選ばれた生徒は『才能にあふれた未来有望な役者』という称号を得るらしい。

名誉ある選抜に半ば放心状態の雛へ杏が贈った激励が個人的にすっごく良かった。

「雛が選ばれたのは、間違いなんかじゃない。
あんたのこれまでの頑張りを、学校が認めてくれたって事よ」
「私達のクラス代表として、胸張って頑張ってきなさい!」

学校よりも誰よりも雛の努力を見守ってくれていたからこその言葉にほろり。

選抜メンバーにはもちろん、先輩トリオも選ばれているんだろうという予想は少しばかり外れ、乃亜と澪が参加することを知る。

藤吾√ なのに彼が選ばれてない…?と誰もが思ったはず。
当然、私も。
実は、この選抜にもちゃんと意味があり重要な伏線だったのだ。

scene04 選抜メンバーとの対面

混合演劇の顔合わせでは、初めましてのサブキャラが2人登場。

澪を慕っている舞台女優の卵である『北大路リカ』と、
今回の演劇で舞台監督を務める『佐伯和泉』。

重要な役割かと思いきや、混合演劇でしか出番がほとんどなかった…
ほら、千羽くんが結構良い仕事してたからさ!

混合演劇の演目は『アルセーヌ・ルパン カリオストロ伯爵夫人』
主演はもちろん宇賀神澪。
そして2人いるヒロインのひとりジョセフィーヌ役がリカ、クラリス役が雛だと発表され、早くもひと波乱の予感。

scene05 ヒロインという重圧


演技してる乃亜めっっっっちゃ格好良い

…こほん。失礼しました。
お芝居してる乃亜を初めてきちんと見た気がして盛り上がってしまいました。
場面は稽古。
ここでラウールとボーマニャンのシーンから、クラリスとのシーンの稽古へ移るんだけど…

有村先輩と掌を合わせ、私は宇賀神先輩の前に立つ。

??????

有村先輩と掌を合わせ………?
有村先輩と…掌を……合わせ………🤔
それって、ハイタッチ…………

仲良しじゃん〜〜〜〜!!

突然の乃亜雛の仲良しっぷりに藤吾√ だということを忘れそうになってしまう。

タイトル通り、周りは実力も経験もある先輩達ばかり。
相手役はその中でもトップに君臨する澪ということもあり、雛はプレッシャーと緊張で思うようにお芝居が出来ない。

一方で、この辺りからちょくちょく澪に疲れの色が見える描写が入り始める。
もしかしなくても、フラグですねえ…

scene07 ジョセフィーヌの想い

稽古を重ねるほど痛感する周りとの差。
芸歴を考えたら当たり前ではあるんだけど、同じ舞台に立つ以上はその差を言い訳にはできない。
日々、全体稽古の後に居残りをする雛。
またこの子は頑張り過ぎておるぞ。

とある日、いつもの様にひとり居残りをしていると”舞台の質の向上のため役を降りろ“とリカが詰め寄っているではないか。

「諦めるか、このまま迷惑を掛け続けるか。どちらが賢い選択か、さすがのあなたでもわかるわよね?」

わかるか〜〜〜〜!!!!🔥🔥(秘技 ちゃぶ台返し炸裂)

北大路さんとは仲良くなれる気がしないんだけど、分かり合える日が来るのだろうか。
まあ、正直な話をすると、こういう序盤バチバチの子と最後に友情が芽生える展開は凄く好きです。

その晩、リカからの言葉も焦りに拍車をかけたのか真夜中になっていることにも気付かず稽古に励んでしまう。

当然、中々帰らない雛を事情を知らないアパートメンバーは心配する。

遅くなった雛の様子を見に来てくれたのは藤吾……ではなく澪だった。

ここ、藤吾√ だよね?それにしては藤吾の出番少ない上に、雛の悩みを軽くするという好感度アップイベントに名乗り出たのが澪で、うっかり澪√ に来ているのでは?と思ったのは私だけではないはず。

しかも悩みを聞いて助言をくれるだけではなく、稽古を見てやるとまで言ってくれている。どうした宇賀神先輩。
いつも「フン」しか反応してくれないのに……もしやツンデレってやつ?!(たぶん違う)
超激レアSSRな微笑みまで見せられちゃ、さすがの私も雛を託すしかない。

そんな2人の様子を雨の中見守る藤吾の姿。
何度も確認するけど、藤吾√ でお間違いないですか、姫崎藤吾さん。

翌日、宇賀神澪の特別レッスンの効果が早速表れる。
見違えた雛の芝居に佐伯さんも喜びの拍手。

稽古の後、急に演技が上手くなった理由をリカに問われ、澪から指導を受けたことを正直に話してしまう。
え、これ話して大丈夫なやつ…?
サブキャラはさ、ほら、すぐに信用しないほうが、もごもご。

「Wヒロインとして、私もあなたに負けないように努力を惜しまないわ。……お互い、頑張りましょう」

リカ、もう君は友達だ。

手のひらクルー?違います。
前述したとおり、ライバル間に友情が芽生える展開が!好きなんです!

scene08 感情がわからない男

文化祭目前、講堂での通し稽古も終わりに差し掛かったところで、とうとう澪が倒れてしまった。
稽古にドラマの撮影にと無理をし過ぎた感が否めなかったもんな…
ここで、テキパキと周りに指示を出す乃亜がいつになく頼もしくて惚れ直したよね。

澪は過労で命に別状はないが、回復は文化祭には間に合わない。
舞台は中止かと思われたその時。

「……藤吾を呼べ」

乃亜はそのひと言で全てを察したらしいが、佐伯先輩やリカ、雛は状況が飲み込めない。
ひとつ分かるのは、さっきのフラグは綺麗に回収されたことだけ…

暫くして現れた藤吾は開口1番、『体調管理が出来ていないなんて無様だ』と言い放つ。

これまで、澪の演技が1番だと誇らしげに語っていた藤吾。
そんな風に思っている幼馴染に対して、どこか見下しているような態度を取るのはなぜなのか。

「だって澪には不幸が似合うから。
孤独、悲しみ、絶望……」

「そういう苦しみにもがく澪は、とても人間らしい。
感情に溢れた澪を見てると、安心するんだよ」

こ、拗らせクソデカ感情だ──!

普段完璧で自信があり堂々としていて誰より眩しいと思っている澪が負の感情を抱いていると人間くさくて『こいつも人間なんだな〜』って安心するということ?
それって見方によっては大分神格化してる気もするけど…先ほどの見下してるという印象とは真逆なのかも。

などと考え込んでいると、佐伯先輩とリカは舞台には真剣に取り組んでくれるのかと声を掛けており、今の拗らせ発言はまさかの総スルー。
2人とも気にならないの?!特にリカは澪に惹かれてるんだよね?!

共演者からはスルースキルの高さを見せつけられるわ、藤吾からは出番になった途端待ってましたとばかりに予想の斜め上のクソデカ感情をお出しされるわで早くもHPが黄色に差し掛かってしまった。久世兄弟に癒されたい。

続いて追い討ちをかけるように紡がれる乃亜の補足。

「藤吾が会話や表情で見せる喜怒哀楽は、全部藤吾が他人に合わせて表現しているだけの、作りものなんだよ」

「藤吾は毎日毎日、周りのみんなが求める『姫崎藤吾』っていう役を演じながら生きているだけに過ぎない」

皆の求める自分自身を演じて生きる。
本当の自分はどこにいるんだろう。
いつから、そんな風に生きることを覚えてしまったのか。
雛が彼に感情を教えたとき、本当の『姫崎藤吾』に会えるのだろうか。

なんてね、色んな疑問が次々湧き上がるわけですよ。
でも、個別√ が終わる頃にはこれらをまるっと華麗に解決しちゃうんだよな〜!

疑問といえば、澪の頼みは必ず聞き届けるという2人の間の『契約』
こんな言葉が飛び出すあたり、ただの幼なじみではない香りがぷんぷんしますね。

scene09 欠落感

翌日、澪の願いを叶えるかのようにラウールを完璧に演じる藤吾。
皆が公演成功を確信し喜び合う中、雛だけは澪の荒々しく豪胆なラウールでないとしっくりこないと悶々とする。
ここで少し前の場面で藤吾出演の映画を観てた悠翔が“姫崎先輩の演技は器用すぎる”と評してた言葉に繋がっていく。

突然ですが、亜麻乃雛といえば?
そう、ここぞという時の行動力です。

アパートに帰ると、藤吾の演技には何かが足りないと直接伝えるというストレートな行動に出た。

「確かに姫崎先輩の演技は無駄がなく、完璧なものでした」

「でも、完璧すぎるというか……
精密機械のようで、心が感じられない。
見ていて、とても不安になるんです」

「宇賀神先輩のラウールと姫崎先輩のラウールは、仕草も言葉も全て同じだけど……熱量が違う。
そんな感じがするんです……」

そ れ だ!!

精密機械のようで熱量が感じられない。
まさしく、それ。
雛がきちんと言語化してくれて、私もすっきり。

対する藤吾の答えは、「心がない代わりに、『他人がどういう俺を求めているか』を察する力に長けていた」というもの。
登場人物達の気持ちに同調はできなくとも、監督などが自分にどんな芝居を求めているかは分かる。
それに沿って演じるだけ…前回の円√ での彼の演技への姿勢とは逆だなあ…

そしてこれが“器用すぎる”、“完璧すぎる”と評される藤吾のお芝居の真相。
求められている役の姿を、それこそ完璧に演じる。

そこに演じる楽しさややりがいはあるのか。
浮かび上がったのは根本的な疑問。

「心を持たない姫崎先輩は……
なぜ、わざわざ役者の道を選んだんですか?」

「…………」

姫崎先輩は一瞬目を細め、そして私の耳元で囁く。

「それが、澪との『契約』だから」

出ました藤吾と澪の謎の『契約』
2人はいったい何を目的として契約を交わしたんだ…?

scene10 『姫崎藤吾』という役

本番で、ラウールの気持ちを理解していない藤吾が口にするクラリスへの愛の言葉へ(……嘘つき)と心の中で紡ぐ雛になぜか凄くやるせない気持ちになってしまった。
空っぽの告白。そんな風に感じたからかもしれない。

大成功で幕を閉じた混合演劇。
(個人的には澪の欠けた舞台を素直に喜べない気持ちも僅かにあったりする。もごもご。)
やったー!成功おめでとう!と喜んでいる暇があると思った?とにやりと笑うブラハくんは、またも拗らせ発言を見せてきたのである。

しっかりと『心』を持って苦悩する人間の美しさを澪に見出しているらしい藤吾。
その歪んだ想いにも彼なりの理由があった。

子どもの頃、澪の演技に『心』がないはずの藤吾は生まれて初めていたく感動を覚えたというのだ。

「澪の演技は、俺も『心』を持っている可能性がある事を教えてくれた……」
「鼓動が大きく高鳴って、落ち着かなくなる感覚。
あの感覚は、今でも忘れられない」

だから、自分自身の『心』を見つけるまで澪には最高の演技をして貰い続ける必要がある。
そのために彼を苦しませるのだ、とどこか恍惚とした表情で語る姿からは異様な執着が嫌でも感じ取れてしまう。

何度も言うけどさ。

『心』とは、なんぞ。

これに尽きる。
澪の演技に感動したなら、それはもう可能性というより心がある証なのでは。
でも、藤吾からしたら可能性のひとつでしかなかった。

さらに言えば自分の『心』を見つけたいと思っているということは、感情も知りたがっているとも解釈できる。
……藤吾が本心ではなにがしたいのか、なにを目指しているのかが見えてこない。

『無感動のサディスト』
言い得て妙とはこのことよ。

雛は憧れである澪が傷つかないために、これ以上藤吾が暴走しないようクリスマス公演までに彼を澪から引き離すことを宣言。

「このままあなたを放っておくわけにはいきませんから。
私があなたから、宇賀神先輩を守ります」

かっっっっこいい〜〜〜〜!!!!

聞いた?!
聞きました?!

『宇賀神先輩を守ります』だよ?!

藤吾√ の雛、いつになく男前過ぎて格好良い。

攻略対象ではない男を守るため、攻略対象を引き離す√ だなんて予想の斜め上もいいとこよ。

現時点での雛の中の好感度がどこから見ても、澪>>>>藤吾 なんだわ。
その上、藤吾√ の柱となる行動の動機が“宇賀神先輩を守るため”ときた。
このままだと藤吾と恋愛するどころか、彼はヒール役になってしまう。

澪も自分の知らないところで、雛が他でもない澪を守るために立ち上がってるとは夢にも思わないんだろうな( ˘ω˘ )

ちなみにこの後、藤吾が一連の会話を澪にしっかり報告してて、
ほんとこういうとこちゃっかりしてるぜ…

scene12 勝負の提案

それでは聴いてください。

『藤吾√ なのに澪がいつになく優しくて調子が狂っちゃうぜの唄』
(キャッチーなイントロに合わせて手拍子をしながら現れるはるきち)

特待生の雛は中間考査でも上位を死守しなければならない。
テスト勉強に励む彼女に乃亜が、『澪から教われば良いんじゃない〜?』と提案するも、私も雛も断られるに決まってる…!と予想する中。

「俺は人に勉学を教えることは得意じゃない。
だから、藤吾が代わりに教えてやれ」

ほーーーーーー!(フクロウじゃないよ)
そう来ましたか!なるほど!

自分は教えられないけど、それは雛を見捨てる訳ではない、この塩梅。
澪なりに雛を気にかけていることが伝わってきて、こちらを見もせずあしらわれていた共通とのギャップに戸惑ってしまう。
知ってるか、澪。オタクはギャップに弱い。

先生役を頼まれた藤吾は一瞬驚くも、快諾。
ところがどっこい、教える代わりに交換条件があるというじゃないの。
その気になる条件は『まだ秘密』らしい。
もったいぶらないでほしいし、秘密ってことは乃亜や澪の前では言えないってことよね?
なに?悠翔呼んどく?(ことあるごとに悠翔を呼びたがる)

その後、気になる交換条件が分からないまま、背に腹はかえられないと藤吾の部屋へ勉強道具を持って訪れる雛の姿が。
しかも。

(すごい……。すごくわかりやすい……!)

この高評価である。

気付かない間に藤吾沼にはまってる気がしてならないよ。
あんな歪んだ執着をあらわにした顔を見ても、なぜか惹かれつつある気がしてならないよ。

私が藤吾の不思議な魅力に気付きつつあることを自覚している間に2人の勉強はひと段落。

ご褒美に美味しい紅茶までご馳走してくれて雛も言うように至れり尽くせりである。
知ってるか、藤吾。はるきちは“ご褒美”という言葉に弱い。(知らん)

ここで、忘れちゃならない交換条件がようやく明かされる。
それは、とある勝負の提案。

「君の手で、俺に『感情』を教えて欲しいんだ」

「え……?」

「クリスマス公演までに、君が見事俺の『心』を見つけてくれたら君の勝ち、それが出来なかったら俺の勝ち。どう?」

ねえねえ、これさ。
心を“見つけたら”じゃなくて“見つけてくれたら”なんだよ。
それって見つけたいじゃなくて、“見つけてほしい”と思ってるってことだよね…?
初めて『感動』を与えてくれた澪ではなく、新たに現れた心を揺るがす存在になりつつある雛に、見つけて貰いたい。
藤吾の中に、まだ本人も出会ったことのない本来の感情を持った藤吾がいて、ずっと誰かが手を差し伸べてくれるのを待ってるように思えた。

藤吾が更に語るのは澪の変化。
雛の舞台を初めて観た日の辺りから、彼女に心を許し始めている。

「誰にも心を許さない孤独な王様であるあの澪が、俺や乃亜以外の人間に心を許す……
これって、すごいことなんだよ」

「それを見ていて思ったんだ。
澪を変えることが出来た君と関わり合えば、俺も何か変わるかもしれないって」

ようするに、澪に変化をもたらした雛の秘めたる未知の可能性に賭けてみたくなった、と。
なるほど、それは分かる。

具体的には何をすればいいのよ、藤吾さん。

「ううん、そうだね……」

少し考えた後、姫崎先輩は思いついたように言った。

「俺と恋人になってみるのはどう?」

なんて????

え?なぜそうなる?ほわい?
ワケガワカラナイヨ。

恋が出来たら、『心』を見つけられたということ、というのが藤吾の言い分。
真似事でもいいから恋することを疑似体験させてほしいという提案に、「無理です!」と雛は部屋を飛び出してしまう。
そりゃ、ねえ…初恋もまだの乙女に急に恋人の真似事しろってそれはこうなるよねえ…

藤吾の「できる?」とか「だめ?」って聞き方もずるいよな〜!
雛だから無理って言えたけど、先輩トリオのファンなら頷いちゃうやつよ。

飛び出した雛を不思議に思った乃亜と澪と、いつも通りな藤吾の会話での乃亜による「藤吾のばかちん」がめちゃめちゃとてつもなく可愛かったです。飴ちゃんあげるね🍭

scene14 零れた愚痴

すっかり藤吾を警戒してしまった雛は、なるべく彼を避けて生活しようと決意。

もちろん、勉強の誘いもお断りし自力で足掻くが、何をしてても藤吾の『俺の恋人になってよ』発言が頭を離れず集中できない。

あるよね〜〜!
そんな風に思ってなかった人からのひと言を浴びてから、急激に意識してそのまま恋しちゃう展開ってやつ!

ある日、澪が彼女の元を訪れる。
またまた来ました。
宇賀神澪好感度爆上がりイベントが。

『藤吾の演技をどう思う』かを問われ、雛は正直な印象を告げると驚きの新事実が飛び出してきた。

「だが、藤吾だって昔から感情を持たなかったわけじゃない。
うんと小さな頃には、あいつにも感情があったんだ」

「え……そうだったんですか?」

「ああ。あいつは、様々な経験を経たことで、自分の感情を忘れてしまっているだけなんだ……」

藤吾は元々感情をしっかり持っていたのだ。
それを何かのきっかけで“忘れて”しまっただけ。
そのきっかけについては語らず、聞くなら藤吾から直接聞けということなのだろう。

さらに、澪は藤吾が自身に最高の演技をさせたがっていることにも気付いていた。

確かに、俳優としてばりばりに活躍してるような人が、これだけずっと近くにいる幼なじみの思惑に気付かない訳がないな…

藤吾を自分自身から解放したい。
語られる澪の本音と望み。

「俺はあいつに、俺のためでも、監督や演出家のためでもなく、自分のための演技をするようになって欲しいんだ」

誰だ?澪のこと孤独の王様って言ったのは。

こんなにも、友を想う温かい気持ちを持った人が孤独に追いやられて良い訳がない。

気になるのは、この話をした理由。

それは、始めこそ藤吾に似ていると感じていた雛が、堂々と演技を楽しむ役者に変化したから。

雛の成長を素直に認めてくれている上に優しい笑顔まで見せてくれてさ。
これで澪√ じゃないっていうんだから、びっくりだよね。

「周りに流されるしかない者の想いと、演技を楽しめる者の想い。
お前はそのどちらも兼ね備えている」

憧れの澪からそう言葉を掛けて貰い、彼のためにも、そして何より藤吾のためにも自分にできることはないかと更に集中できない日々が続くこととなるのであった。

……中間考査、大丈夫かな?!

scene15 『姫崎藤吾』の恋人

ついにきましたよ、超重要ターニングポイント
このsceneから物語が大きく動き出します。

(もしかして、もしかしなくても、これって……告白シーン……!?)

初々しい雛の反応ににっこりしながら、うっかり女生徒が藤吾に想いを伝える場面にエンカウントしてしまった。
藤吾のことだから…きっとしれっと悪気なく毒を吐いて断るんだ……

(あ、あれって、ラブレター……!?)

その都度驚く雛がほんと可愛いな!笑

そのラブレターを無表情で破り捨てる藤吾さん。
やるだろうなとは思ってたけど、マジで予想を裏切らないテンプレ行動をする完璧さ。
もしや藤吾は次元を越えて読み手であるはるきちの思考も察しているのでは?!(それはないよ)

『想いが綴られたものをどうして捨てたりするんですか!?』と盗み見してたことを指摘されるのも気にせず食ってかかる雛ちゃん。
優しいもんね、この子…🥲

いくら恋を知らなくても、ラブレターに女の子がどんな想いを込めて文字を綴り、どれほどの勇気を出して渡したかは想像がつくのだろう。
その子に本物の恋を教えて貰えば良いという言葉にも、藤吾はあくまでも雛から教わりたいと、どこ吹く風。

雛の中でもとうとう“どうしようもない人”認定。
円も剛も話し合いとか気持ちのぶつけ合いは出来てたから、何を言っても通じないパターンは藤吾が初めてでは…?

藤吾のこの先のことや、澪から託された想い。
様々な感情が渦巻く中、もう一度囁かれる『俺の恋人になってくれない?』

先ほど、恋い慕う気持ちを女の子から受け取ったばかり。
にも関わらず、その想いを破り捨て直ぐ様紡がれている言葉だと考えると本当に感情が分からないんだなあって思うよね。
なんというか、何度も言うように悪気がないのは分かってても冷酷だとすら感じてしまう。

もし、変わるきっかけを今後も得られなかった藤吾がいずれ人間としてダメになることは想像に易い。

そこまで分かってて、かつ澪の藤吾への想いも知っている今、このまま彼を突き放せるような子ではない。

雛の心の中で鳴り響く警鐘を振り切り、出した答えは。

「……分かりました。
あなたの恋人になります」

踏み入れてしまった。
姫崎藤吾という男の深い深い心の闇に。

おそらく、この√ で1番大きな決心だったと思う。

スチルの藤吾を見上げる雛の瞳には悔しいような、切ないような、哀れむような、それでいて挑むような葛藤の色が宿っている気がした。
対する藤吾の姿は、やはり感情が感じられない。
けど、これが2人のスタート地点。
ここから、ようやく藤吾√ が本格的に幕を開ける。

「今日から、改めてよろしく。
俺のたった1人の恋人、……雛」

あれま。
恋人になった途端、雛呼びになりましたわよ。結構距離縮めてくるスタイルなんですのね。

“たった1人の”ってさ、心を見つけても見つけられなくても、勝負を受けた雛以外に恋人を作るつもりは藤吾の人生において全くないって意味なのかもしれない。

それと、あの、姫崎先輩ってキスの時目を瞑らないんですね(雰囲気の読めないオタク)

『姫崎藤吾の恋人』役。
いくら雛にとっては役でも、普段は恋人のように振る舞わなければならない。
…ということは、アパートメンバーにも話はしておいた方が良いと考えたのか、まさに藤吾が皆に明かそうとしている場面に出くわす。

付き合うことになったって聞いた時の剛の反応に盛大に笑った。
ハレンチだなって🤣
剛√ 以来のあたふた椎葉さんであの時のピュアな2人を思い出しちゃったよね!

澪と乃亜もぽかんとしてたのは意外な反応だった。
2人は感情のない藤吾が恋人を作るだなんて夢にも思ってなかったんだろうな。
…というより、めちゃめちゃ聡いこの2人を騙しきるのは無理だと思うよ!

文章の随所から伝わってくる恋人役への雛の乗り気のなさがすごい。
“『姫崎先輩の恋人』だとみんなに認知されてしまった悲しさ”なんて表現、ちょっぴり藤吾ドンマイと思ってしまった。

それにしても、円…お前は今、どんな気持ちで…………おっとここは藤吾√ でしたね。

藤吾の部屋で2人過ごす場面。
普通の恋人らしい会話として、今日どんなことがあったのか教えてほしいと言われると。

「え……?
そんなこと気にならないくせに、どうして聞くんですか?」

こんな辛辣な雛、初めて見たよ?!

いつだって攻略対象に寄り添い続けていた雛がこんな態度を取るなんて相当だぞ、藤吾!

藤吾から贈られる恋人らしいスキンシップも不快らしいし、こんなに好感度超マイナスからの始まりだと思ってなくてびっくりである。
ここから、本当の恋なんてできるのか…?

scene16 虚しい関係

登校する車の雰囲気が、き、気まずい!!!!気まず過ぎる!!!!
しかもこのまま学校でも藤吾がくっついてきて俺達恋人ですアピールしたら先輩トリオファンのモブ女子達の反応がどうなるかなんて火を見るより明らかだよ。

恋人同士を演じる2人の仲睦まじい(振りをする)様子に乃亜から「らぶらぶだね〜」とか言われてしまってはるきちは心を擦りむいた。責任を持って絆創膏を貼ってくれ。(乃亜さん「自分で貼ってくれる〜?」)
違うんだ乃亜、私は乃亜が推し候補で…………ウッ🩹

案の定モブ女子達は阿鼻叫喚。
行く手を阻むリカ。
でも、大丈夫。リカが好きなのは澪だから…ミニキャラ乃亜も可愛いな〜〜!(難しいことを考えるのをやめたはるきち)

空気を読まない藤吾。
雰囲気に圧される雛。
凄い剣幕で詰め寄る雛強火担(だと個人的に思ってる)杏。
これぞカオス。しっちゃかめっちゃか。

乃亜は気付いてるからなのか、いつも通り話してくれるけど、澪は口数が少ない。
とりあえずさ、腹が減ってはなんとやらだし…ごはん、食べよっか…🍱

可愛いと言ってみたり、スキンシップしてくる時、藤吾はどんな気持ちなんだろう。
演技をする時みたいに世間一般が求めてる恋人像を演じてるだけなのかな。
でも、2人きりの時間は雛しかいなくて、その雛も藤吾に恋人らしい態度は本心では求めてない。だから、いつもの相手が求める理想を演じる必要はないはず。
分からなくなってきた。
藤吾の心を見つける前に雛の心が疲弊して壊れないことを願うばかり。

scene17 ご褒美

中間考査を頑張った雛へ、ご褒美にデートを提案する乃亜。
その発想はなかったという藤吾に久々に澪が口を開く…!

「……お前は恋人だ何だと言う癖に、
そういうことは思い浮かばないのか」

それまで黙っていた宇賀神先輩が、静かに口を開く。

「恋人の努力を目の前で見て来た割には、あっさりしたものだな」

いいぞ澪!!言ったれ!!

澪もこれだけ2人の様子を見てれば何となく違和感に気付いたのかもしれない。

scene18 遊園地デート

さて。
ここで、初デートにお洒落をした雛を褒めてくれたお返事で早くも分岐です。
まずはひとつ目のバッドであるED3を回収します。

デート先は遊園地。
はしゃぐ雛がめちゃんこ可愛い。
なんだかんだ楽しんでる雛がこれまた可愛い。

肝心のデートですが。
こりゃ、恋人役だということを忘れて恋人だって錯覚してしまうかもしれん。
それくらい、藤吾のエスコートも会話も何もかもがスマートで上手い。
彼の相手の求めることに応える能力を考えたら楽しませることなんて朝飯前なんだろうけど、それが分かってても、恋人とのデートってこんな感じなんだろうなあって2人を見てて思ったり。

家族連れを眺めつつ交わす会話の中、藤吾の過去に触れた雛。
仕事で家に帰らない父。
家政婦に一切の世話をして貰い両親の愛情を知らぬまま育った藤吾。
父以外の男性に寂しさを埋めて貰う母。
他にも想像を絶する子ども時代が語られ、これは感情を忘れても仕方ない気がする。
きっと多くの乙女ゲーマー達がそう感じた場面なのではないだろうか。

でも、それで簡単に絆される雛ではない。
藤吾の抱える心の傷に触れ、彼の家庭環境はおかしいとも感じ、それでも自身のことを他人事のように綺麗な笑顔で語る姿に涙を流す訳でも、哀れだと慰める訳でもなく、毅然とした態度を貫く。
私は雛のこういうところにも好感が持てる。

「そういえば、さっき小耳に挟んだんだけど、この遊園地には初デートでここに来ると必ず別れるっていうジンクスがあるらしいよ」

ねえ、ナイトパレードを観て良い雰囲気の時に笑顔で放つ言葉じゃないよね?!

「ジンクスが本当になるかどうかは分からない。
……それでも俺は、君とここに来てよかったと思う。
楽しかったからね」

許した(ちょろすけ)

“楽しかった”が見つけてもらえるのを待ってる藤吾の心の欠片で、この言葉は嘘でも演技でもないと信じたい。

そういえば、このジンクスが話に出てきたのはこれきりだったから、
思ってたほど深い意味はなかったな。

帰宅後、色々考えた末に辿り着いた雛の答えは『先輩は可哀想だから偽物でも愛情を捧げてあげよう』というもの。
『心』を見つけることから同情心にすり替わってしまっているのは、果たして大丈夫なのだろうか。
向けられているのが同情だって、藤吾ならすぐに気付きそう。

scene19 恋人らしく在るために

あ!乃亜だ!今日も可愛いね!雛にもナイスサポートありがとう!

乃亜のオタクの顔が出てしまった私に対し「俺と恋をしたいならもう少し経験を積んでからね〜☺️」と言わんばかりの、これからは登校も昼食も2人きりですれば良いとの提案。

みんなで食べた方が美味しいよ!!ねえ!!乃亜!!乃亜〜!!
駄々をこねるはるきちをスルーし、藤吾と2人でいたいと雛が頷いたため、本日より2人きり行動が増えることに。

『俺は嫌いじゃない』と手作りお弁当をぱくぱく食べてくれたり、初めてのスーパーに興味津々の藤吾を微笑ましく眺めてみたり、昨日のデートから明らかに変化した雛の様子。
もちろん、聡い藤吾もその変わりように気付いていない訳がないはずだが、敢えて深くは聞いてこないスタンスらしい。

藤吾も藤吾で、時折様子がおかしい。

大丈夫かしら、この子達。

scene20 2人の契約

いや〜〜〜〜こりゃ、理想の彼氏ですわ。

演技じゃなければなあ…文句なしに雛を託せるのに…
寧ろ、演技をしてない本来の藤吾が雛の恋人になったらどんな風になるのか凄く気になってきた。

いつもと変わらないように見える藤吾だが、デートをしたあの日からキスをしてこなくなった。
雛の心に残る不可解な違和感は解消されずに物語は進んでいく。

そんなこんなで今回も書き上がりました『恋と野獣』!

自分のシンデレラより雛のベルの方がいいかと優しく笑う円、お前は今、どんな気持ちで…………(2回目)

ところで。
澪と藤吾の間にある謎の『契約』
この内容について、澪に聞いても全く心当たりがない様子だった。

ここでようやく藤吾から真相が明かされます。

幼い澪が藤吾に持ち掛けた”世界一の役者になるために手伝ってほしい“というひと言。
それが空っぽだった藤吾の唯一の光であり、人生の道標となり、そして契約となった。

まさかのひとりよがりで一方的な全貌に文字通りぽかんとしちゃった。

契約を果たすべく、澪を支えるためだけに役者になった。
だから、自身の演技の向上は求めていないし、必要な水準のお芝居をこなせれば良い。

なるほど…段々と見えてきた気がする、姫崎藤吾という人間が。
澪のためにしか動かない、それならば。

「私のために、本気になってくれませんか?」

ほぼ無意識に口をついた言葉だったのか、我に帰るも藤吾はしっかり聞いており、珍しく戸惑いの表情を浮かべているじゃないですか。

雛と藤吾の関係が確実に変わり始めている。

scene22 外れた歯車

うわ。不穏なタイトルゥ!

あれから、恋人役にのめり込み過ぎないように心掛ければ心掛けるほど、藤吾と過ごす時間がどんどんと息苦しいものになってしまう。
見かねて声を掛けてくれたのは澪。
もうほんと雛がお世話になりまくってます…

さて。
そんな助っ人感溢れる澪ですが、開口一番ド直球に核心を突いてきました。

「お前たちが本当に恋人同士だとは、俺には到底思えない。……本当のことを言え」

や、や、やっぱり〜〜!!

これは乃亜も気付いてるねえ。

この会話をきっかけに、雛は藤吾の心を動かすことが出来る可能性のある澪への嫉妬心に気付いてしまう。

自身の中の気持ちをすぐには受けとめられず、今日はひとりでご飯を食べると走り出す。
それを見つめるモブ女子…そこのモブ女子よ、ステイだ。

そんな制止は届かず複数人のモブ女子とエンカウント。
女の子達は嫉妬の言葉を雛に向けるんだけど、それが先ほど澪へ感じた嫉妬と切ないくらいリンクしてて。

藤吾に恋をしている女の子と偽物の恋人である自分の嫉妬が同じものなのかも、雛はまだよく分からない。
自覚してないだけで、雛の中には既に藤吾への恋心がしっかり芽吹いてるはず。

自分の気持ちと向き合う気力すら起きない雛は彼女達の行為に延々と耐えていて、そろそろ私は我慢ならねえうちの雛になんてことしてくれてんだ悠翔呼びますよ(落ち着け)

乙女ゲームにおいて、呼ばなくても颯爽と駆けつけるのがヒーローという名の攻略対象。

藤吾も例にもれず現れ、やっと雛を助けてくれた。
俺の大切な雛を傷付けたんだからと、ちょっと驚く行動に出た藤吾ですが、これでモブ女子達は雛に近寄らないだろう。

まさか、この先輩トリオのファンの子達が嫉妬ムーブかます展開、澪と乃亜√ でもやるんかな。そんな何度も雛が傷付く姿見たくないよブラハくん。

帰宅した雛を誰よりも心配してくれたのは悠翔。

たとえ恋人であろうと、大切な幼なじみで家族である雛がこんな傷だらけになっていたら許せない。そんな男なんですよ、悠翔は。
だからこそ、私は悠翔の雛への想いはブラハで1番信頼している。

悠翔への信頼感の話の深堀は悠翔√ ですることにして。

藤吾ですよ藤吾!
ここに来て、澪との契約より雛が大切みたいな素振りを見せてきて、しかも2人で話していたことにも妬いてるみたいで、どうしたん?!

スチルの藤吾の必死な表情、こんな顔初めて見た。
誰かが求める『姫崎藤吾』役ではなくて、今浮かべているのは姫崎藤吾自身の顔。

「……ずっと、君のことばかり考えていた」

「君のことを考えるたびに気分が悪くなって、心臓が抉られるみたいに痛くなる。
……こんなのは知らない」

あのね、藤吾。
それが『心』だよ。

「……俺から離れて、俺の知らない内にこんな傷を作って。
……許せない。」

あのね、藤吾。
それが『感情』だよ。

2人とも気付いてないから代わりに言うけど、もうこれ藤吾の中にある凍った心、溶け始めてるよね?
その知らない痛みや気持ち悪さが感情だって誰か教えてあげてくれ。

Ending3 暗闇に溶ける

藤吾の嫉妬はその正体を明かさぬまま独占欲となって雛に伝わってしまう。

『君は俺のものだから』と離れることも避けることも、澪と2人になることも禁じてきた。
おっとーー?これは中々暴走してないか?!

雛もそんな要求を飲み込めず異を唱えるが。
藤吾は強引な手段で雛を自分のものにしてしまい、それ以来アパートから彼女は姿を消した。ん?!消した?!藤吾が隠したな?!

余談ですが、ここで雛が反論した途端、藤吾がスッと冷たい雰囲気に変わった時の声音。
これがほんとにまとう空気の温度が凄く下がったような声音で演じられていて、背中が冷えた。声優さんってすごい。

藤吾が雛と共にいると気付いていながらも何も出来ず、それでも無事を願う澪が良い奴過ぎて泣けてきた。
無名女優とか言ってきたこと、水に流すよ…ありがとうね…

アパートメンバーの予想通り、藤吾と一緒に日々を過ごしていた雛。
もう思考も放棄しており、藤吾さえ居てくれれば他には何もいらないと、時折感じる心の痛みの理由も考えることをしない。
そのまま、ずっとずっと藤吾と甘くて退廃的な永遠を過ごしていくんだろうな、というのがエンド3でした。

雛を独占したいと思って実行に移した時点で、彼女への感情を宿した心が藤吾にもあることに、……ならないのか、誰も気付いてないのか分からないけど。

もう一歩で心が見つけられそうな気はする。

こういうエンド、好きな人は好きだろうな〜。

scene23 仄暗い喜び

もうぼくたまきのところにかえりたい。

人前で!!!!強引に!!!!
ちゅっとかするんじゃないよ!!!!
しかも稽古場!!!!

この独占欲と執着心が演技なのかそうでないのか、雛には判別がつかない。
ちなみに、今回は分岐で、演技でないとしたら嫉妬心という『心』を宿しているのでは?ということには気付いております。
それと同時に、澪にだけ向け続けられてきた執心が自身に向き始めていることへの喜びも自覚。

それがタイトルの仄暗い喜び。
歯車はまだ当分狂ったまま回り続けます。

scene24 届かない想い

演技か本気か分からない独占欲。
それは日増しに大きく激しくなっていく。

切ないのか虚しいのか嬉しいのか、はたまた全部か。
雛の感情はごちゃごちゃに散らかってしまっている。

もしかしたら自分の中にある嫉妬が演技か本気か分からないのは藤吾も同じなのかもしれない。

ある日の放課後、普通科の子が文化祭のクラリス役を観て以来雛のファンになったと声を掛けてきた。

吉田くんとやら、もうすぐ独占欲つよつよ騎士が迎えに来るから早くお帰り。

クリスマス公演にエールを贈りその場を去った吉田くんと入れ替わりで現れた独占欲つよつよ騎士。
ウ〜〜ン、やっぱり嫉妬してる😇
いつからこんなに嫉妬心つよつよ彼氏にジョブチェンジしたんだい。

特大嫉妬心からか、図書室であることもお構いなしに雛に触れる藤吾。
どうしたものかと思っていたところに、救世主澪が!ここ最近のお前はおかしいと藤吾を一喝!

こうして、おかしいよって指摘してくれる友人がいるのは幸せなことだと思う。
澪がまともで優しい人で良かった。
完全にはるきちの心の拠り所となっている。
この後の宇賀神√ は安心して進められそうだ。

藤吾はここで今の自分の心を揺さぶる相手は澪ではなく雛だときっぱりと言い切ってみせ、雛はここ最近の執着が演技でないことを理解。

自分の次に雛に寄生してるだけっていう澪の言葉は的を得てるよなあ…
『心』を見付けるどころか、雛に執着するあまり役者としての未来も閉ざそうとしていて、とうとう澪にも見限られてしまった。

もう藤吾には雛しかいないじゃん。
雛は雛で『先輩をこんな風にしてしまったのは私』って責任感じちゃってるし、藤吾は雛を選んだ割には彼女の話も聞かないし、なんだこの聞かん坊は。
とりあえずお前ら、一旦落ち着け。
糖分足りてないのかもよ。おまんじゅうでも食べよう。

scene25 大罪

始めに書いておきます。
このsceneで明かされる真相に対して、どうしても辛辣な言葉が出てしまっているところがあります。
でも、藤吾のことは推してるし、藤吾の行為に関してまだ落とし所を決めかねている…といった感じです。
それでも大丈夫という方は、このまま一緒に物語を見届けましょう!

さあ、気を取り直して。

素敵乃亜のスチルありがとうございます!!!!

会いたかったよ乃亜〜〜( ;ω; )

雛を助けてあげて〜〜( ;ω; )

見限られちゃった澪を除くと藤吾の事情を知ってて頼れそうな人はもう乃亜しかいないんだよぉぉ( ;ω; )

乃亜に駆け寄り泣き付くはるきちは直ぐにひっぺがされましたが(乃亜さん「暑苦しいな〜僕は雛ちゃんと話してるんだから」)
雛はこれまでの全てを打ち明ける。

「藤吾ってさ……自分はあまり愛された経験が無い癖に、自分が大切に思っている相手には、これでもかって程に尽くすんだ」

「子どもの頃、お母さんの浮気を手伝い続けてたのもそう。
澪を役者として成功させるために、邪魔になる他の役者を蹴落としていたのもそう」

「……君が今されているのも、そうだよ」

乃亜って、ぽわぽわしてる様に見えて、周りや親しい人のことほんとーーによく見てるし、本質を理解してることに度々驚かされる。

藤吾の歪な愛情。これはもう『心』が彼の中で顔を出し始めてるに違いない。
違いないんだけど、まだゴールではない。

雛は乃亜の言葉から“他の役者を蹴落とす”という部分が引っかかり、その詳細を尋ねてしまう。

乃亜の念の押し方、話すのを渋る素振りから私の中でとあることが繋がってしまった。
繋がってほしくなかったし、思い違いであってほしい。

思い出してみよう。
澪に次ぐ才能があるとされていた子役が誰だったか。
その子が子役を、芝居を辞めた理由はなんだったか。

思い返してみよう。
共通で彼を見た途端、様子がおかしかった澪を。
真夜中、彼の足を本気で心配していた澪と、それをひっそり陰から見ていた藤吾の場面を。

繋がってしまった…

次の瞬間、真相を藤吾に直接問う雛の姿が。

笑って肯定する藤吾。

まてまてまて。
ハピエンに辿り着いたとして、雛は家族同然の悠翔を傷付けた藤吾と、この真相にどう折り合いを付けて、本当の意味で恋人に選ぶの?
過去は変えられないし、藤吾も反省するどころか澪との契約だからの一点張りだし、普通に考えたら無理ではと思ってしまうんだが…

それでも、藤吾を拒絶しきれない雛は許せないその相手に抱きしめられながら涙を零す。

どろっどろだな!!
許せないと思ってるのに、感情が欠けてるからと振り払うことも出来ないもどかしさ。
怒りと絶望と、憐れむ気持ちと、人にしてあげたい、支えたい気持ち。
負も正も関係なく感情がごちゃごちゃにかき混ぜられては吐き出せず雛の中に溜まっていく。

昼ドラもびっくりのどろっどろ展開だな!!

scene26 幼なじみの優しさ

案の定、心が擦り減って削られていっている雛。
もう全てを放棄し、望まれるがまま、流れに身を任せてしまっていた。
これは非常に良くない風向きだ。
唯一の可能性である雛が諦めているこの状況では藤吾の暴走は止められないし心を見付けるなんてできない。

当然、那由多と悠翔はめちゃめちゃ心配してくれていて。

「……雛。もう姫崎先輩の側にいるのはやめな」

そ れ な 。

ほんとにそれよ。
もうやめよう、この周回では違う人を選ぼう。
藤吾とは来世に期待ということで…

諦めずにカウンセリングしろ?
はーい…(´・_・`)

ここで悠翔は澪にとあるお願いをする。

scene27 心

悠翔のしたお願い。
それは、澪の力で雛を藤吾から遠ざけること。

突然の展開に訳が分からず、帰ろうとするも。

これが悠翔の願いだということ、自分が雛へ藤吾の話をしたせいで彼の狂気に蝕まれていることに責任を感じていることを伝え、更には「あの馬鹿の幼なじみとして……頼む」と震えながら、あの澪が頭を下げていて、その誠実さと優しさを見た途端泣けてしまった。

どこまで真っ直ぐで真面目な人なんだ、宇賀神澪。

雛も澪の真摯で切実な想いを感じ取り、そのまま彼の実家へ身を寄せることを決断。

うん、予想通りとてつもなく豪華なお屋敷だ!

一方。
待ち合わせ場所で雛を待つ藤吾へ、悠翔と那由多は雛をプログラムから降ろすこと、そして悠翔にいたっては“雛を傷付けるなら容赦しません”と宣戦布告めいたことを告げるも、藤吾はあまり…というより全然話が通じてない。
なんだか前より話の通じなさ具合が度を超えてない?!
心が、見つけてあげる前に砕けかけてる気がする。

「自分の感情に気付かない振りをするのはもうやめろ。
お前には、ちゃんと人の心がある。
俺は、それを知っている」

宇賀神澪しか勝たん。

この√ のMVPは圧倒的に彼。

藤吾からしたら、雛を隠された!どうして!という気持ちかもしれない。
けれども、(雛を守りたい一心の悠翔はともかく)澪は藤吾のことだって守りたくて行動しているし、その想いも彼なりに伝えている。

振り返れば藤吾√ における澪の行動や言葉には藤吾自身に未来や才能、忘れてしまった心を思い出し大切にして貰いたいという願いが常に根底にあった。
図書室の一件で見限られたと思ったが、そんなことはなく。
壊れていく2人を放ってはおけまいと、雛と藤吾を物理的に引き離すという多少強引な手段を用いても2人の心を守ろうとしている。

藤吾√ だというのに澪の好感度は上がるばかりだ。
雛のご飯をなぜか食べないという点だけは未だ謎過ぎて気になるけど。

澪が必死で救おうとしている藤吾さんですが。
段々と雛に惹かれ、とっくに『恋』という感情の芽生えを自覚しておりました。

しかし、本当の想いを伝えるということは勝負の決着が着いたと同義。
もっと共に過ごしたいがために、その想いを心ごと仕舞い込み、雛を拘束し続ける。
その行動が雛を失う今に繋がってしまい、何より隣に彼女がもういない現実に数年振りの涙が藤吾の頬を伝う。

はるきち的に藤吾が心を見つけて最初に見せる感情は笑顔より涙のイメージだったんだよね。
大切な人を想い、その人を失ってやっと目に見える形で表れた感情。
できることなら、雛も一緒にいる瞬間に見つけてあげたかった。

一方で、代わる代わる雛へ会いにくるアパートメンバー達。

乃亜の差し入れが可愛過ぎる。

うさぎ形のおまんじゅうって。
私が……ウォッホン。女の子が好きそうなチョイスを巧みに掴んできますわね🐰

「……うさぎちゃん、ぴょんぴょ〜ん」

可愛すぎん??

ちょっとふざけてみせつつも、雛を気遣う優しさが垣間見えて好きが溢れてしまった。

その後、守り甲斐がないという話のくだりも、誰ひとり雛の前で藤吾の話題を出さない中で唯一乃亜だけは彼を案じる雛への正直な気持ちを口にして。
(私は乃亜が好きなのでフィルターが掛かっている可能性は大いにあるが)そうして紡がれる一見辛辣な言葉に雛も動じない。
雛と乃亜だから成り立つ会話だな、なんてことを感じた。

雛がアパートを去った後、藤吾は精神的な負担から部屋で寝込んでいるらしく。
ひとり孤独に無気力な日々を過ごす藤吾の傍にいたいと涙をぽろぽろと零す雛に乃亜が問いかける。
それは、とても大切な問い。

「君は……本当に、藤吾が好きなの?」

「……え?」

涙でぼやける視界の真ん中を、
有村先輩の真剣な眼差しに射抜かれる。

私は悩み、そして……

「…………はい」

「私、は……姫崎先輩のことが……好きです」

自分の想いを、伝えた。

離れて初めて自覚した想い、というやつなのかな。
ずっと流されるまま、望まれるまま一緒にいて、苦しさに泣き疲れた夜もあった。
でも、いざこうして離れて過ごしていても気付けば雛の心の中は藤吾で溢れていて。
そうした本人も気付かない内に膨らんでいた想いが、乃亜の問いかけによりようやく形になった場面。

雛が藤吾を好きなことはよーーーーく分かった。
でも、悠翔に関しては雛の中でどう決着つけたんだろ。
やっぱりそこだけが気にかかって悶々。

そんなこんなで、藤吾に会うため乃亜と部屋を飛び出し駆け出す!
そのまま乃亜とハッピーエンド……ここは藤吾バッド?そうだっけ?(すっとぼけ)

Ending4 「愛してる」

命だいじに!!!!!!!!

乃亜と(由衣と)部屋に辿り着いた時には、既に覚めない眠りについていた藤吾。
乙女ゲームに登場する皆さんは頼むから命を大切にしてくれ…

澪と雛宛の手紙の内容も、”自分を忘れて自由になって欲しい“といったことが書かれていたけど、2人はこの先ずっとずっと彼を忘れるなんてこと到底出来るはずがないし、縛られ続けてしまうに決まってる。
澪も雛も優しいから。そして藤吾を心から想っていたから。
しかも、手紙の最後で2人を『大切な幼なじみと、初恋の相手』と表現するのも、『愛してる』と伝えるのも、(こういう言い方が合ってるかは分からないけど)ずるい。
2人の愛情もちゃんと受け取ってほしかった。
愛されていることを感じてほしかった。

さらに言えばこのエンド4のタイトルよ。
こんな悲しくて欠けていて冷たくて、それでも純粋で一途な「愛してる」少なくとも私は知らない。

scene28 愚かなふたり

やっとハピエン軸です。ふう。

藤吾は雛の声で目を覚ます。
そしてここぞとばかりに流れる恋と野獣メインテーマ。
この曲が流れる演出にはるきちがとんと弱いの知ってるでしょ?!

「ただいま、先輩」

たったひと言で泣いてしまった。

先輩が大好きだと、これまで伝えられなかった分も、離れていた時間を埋めるかのように雛の中にも在った『恋』を伝えていく。

「……バカだね、雛は」
「こんな俺のところに戻ってきたりして……本当に、バカだ」

こんな優しい“バカ”あります?
あるんだなあ、ここに!

「……おかえり、雛」

私もこの瞬間だけは悠翔のことを頭の片隅に置いて、2人の優し過ぎる再会に涙を拭うのであった…こんなん泣ける……

この場面の藤吾が、個人的にトップクラスで愛しい。

scene29 決断の正しさ

さくらんぼ頬張る乃亜が可愛くてにっこりしたった( ◜ᴗ◝ )

そろそろ『乃亜の話が多すぎませんか』といったツッコミが寄せられそうだが、その辺りは大目に見てほしい。

だってさーーもうさーー澪もそうだけど、乃亜も大活躍で出番も多くて嬉しくて嬉しくて…
雛に想いを伝えられたか気に掛けてくれたり、知りたいに応えてくれたり、うさぎのおまんじゅうくれたり、たった1人藤吾に会わせようと行動してくれたり(これは由衣にも感謝してる)乃亜の知らなかった部分に近付けた気がして余は満足なり。

クリスマス公演に出たいと申し出た2人へのアパートメンバーの反応も優しくて優しくて、もうお前ら全員まとめて大好きだよ!!

藤吾もやっと感情が灯って、今ならきっと素敵なお芝居ができる気がする。

scene30 王子の涙

さてさて、やってきましたクリスマス公演当日!

藤吾は何やら舞台とは別のことで緊張しているらしい。
私には分かるよ、舞台が成功したら伝えるんだよね、雛に。(藤吾の肩ぽんぽん)

「この舞台の中で、俺は俺なりに
精一杯ベルに恋する王子として生きてみるよ」

成長したね……( ;ω; )

あんなに演じる役に同調出来ないって言ってたのが嘘みたいだ。
“役として生きる”
演じるではなく、生きると言えた藤吾は、もう立派な役者だよね。

感心している間に舞台が幕を開け、王子を演じる藤吾のスチル。

その表情は『姫崎藤吾』ではなく、『ベルに焦がれる王子』で。

「……何故私では駄目なんだ?
貴女の瞳が私をすり抜け、あの野獣を見つめる。
そのたびに、この胸が刺されるが如く痛む……」

「こんな痛みは知らない……!知りたくもなかった!」

この台詞。
嫉妬と独占欲を初めて見せたあの日、雛を介抱している時の台詞とリンクしてて、藤吾もあの日感じた気持ちを思い返していたのかもしれない。

混合演劇で雛がクラリスとして流した涙。
その意味する感情をあの時は分からなかった藤吾が、今度は王子として一筋の涙を零す。

最初から最後まで完璧な回収。
本当に見事過ぎる。

大成功で幕を閉じた公演の後。
いつも数多の√ で(と言ってもはるきちの中ではまだ2人分だが)告白を見守ってくれているクリスマスツリーくんが今回も登場。

そんなクリスマスツリーくんのもとで藤吾は雛への『恋』や、関係が終わることを恐れるあまり本当の想いを告げられなかったことなど胸の内全てを伝えていく。

その中には未来への不安、雛と共に生きても良いのか躊躇う気持ちも含まれていたが。

「先輩が自分のことを信じられないと言うのなら……
私のことを信じてくれませんか?」

「私を信じて、一緒に生きてくれませんか?
感情にあふれた未来を……」

真っ直ぐに藤吾との未来を望む雛。
この言葉を聞いた藤吾の表情を“不格好”と表現していて、ようやく彼の心の奥底で膝を抱えて泣きながらも感情を捨てずにいた『姫崎藤吾』を見付けてあげられたんだと感涙。

この後の雛の告白を聞いた藤吾の返事からずっと、本当にずっと涙で画面が滲んでいた。

普通に抱きしめるんじゃなくて、『君が愛しくて堪らないって、この心が叫んでる』のを、聞こえる?って抱き寄せるんだよ。
しかも、スチルの藤吾の横顔がそれはもう美しくて。
雛が愛しいって心の声が確かに私にも聞こえた。聞こえたよ、藤吾。

「……ありがとう、雛。
俺の心を見つけてくれて……」

こんなにしめくくりを飾るのに相応しい台詞ある?
シンプルだけど、藤吾√ における最高のアンサー。

Ending2 心のある日々

心を見つけてからの藤吾はよく笑う。
幸せそうに、愛しそうに、とてもよく笑うようになった。
それも、作りものじゃない心からの笑顔。

雛もつられて笑う。

幸せ過ぎる世界線だ……( ;ω; )

感情を失っていても、ううん、失っていたからこそ、嬉しいことや楽しいことが何もなく無感動な日々を淡々と過ごしていた藤吾。
それが今は毎日が楽しくて仕方ないとはにかんでいる。
人はこんなにも変われる。
藤吾の場合は変わるっていうより生まれ変わったと言っても良いくらい。

そんな彼の決意。
ひとつめの“主演の舞台の仕事を受ける”で表明した想い。

「澪から離れて、これからは自分の芝居をするよ。
俺にしか出来ない演技を探して、それを磨いていきたいんだ」

これ!!
澪がずーーーーっと藤吾に望んでいたことじゃんね!!
澪と藤吾が今度は切磋琢磨し、お互いを高め合うライバルとして役者人生を歩んでいく光景が目に浮かんだ。

ふたつめは“悠翔に真実を話す”こと。

正直、私はもうこの話は出てこないままハピエン終わるかと思ってた。
でも、きちんとここで藤吾が向き合おうと決めたことが分かって燻っていたものが少し落ち着いた気がする。

Ending1 恋人の未来

おっとーーーー?!
開幕、悠翔に全てを打ち明けていてびっくりしたぜ。

「……もう過ぎたことです。
こいつのことを幸せにしてくれると約束するなら、許しますよ」

悠翔が優しすぎて泣いた。

役者として羽ばたきたかったに違いないのに。
当時、未来を閉ざされてどれだけ泣いたか、苦しかったか、無念だったか。
それでも、雛を幸せにしてくれるなら、と笑って許せる悠翔も絶対幸せになってほしい。

悠翔の優しさから僅かに感じた違和感、これは何かの伏線かしらね。

時は移ろい、アパートを旅立つ日に。

引っ越し準備の様子を見に行けば、箱の許容量を超えてめっちゃ本やら衣類やらを力技で詰め込もうとしている藤吾が…!

人を雇う楽さよりも、新生活の準備を自らの手ですることを選んだと聞いた雛さん。

「先輩、偉いです……!
勝手にアパートをリフォームしていた人の発言とは思えません」

そんなこともあったねえ…
あの頃の雛といえば、“演技以外の先輩達の魅力ってなに?”なーんて思ってたのに今やその先輩達のひとりと恋仲ですからね。
しかも学園公認、名物ビッグカップル。
人生何が起きて、誰と恋に落ちるか分かりませんな。ふぉっふぉ。
(きっと同じことを宇賀神√ でも言う)

感情を取り戻した藤吾の笑顔が、眉を下げてくしゃって笑う風に描かれていて本来はこんな風に嬉しさや喜びを表現する人なんだなと改めて感じる。

アパートを出たら当たり前だが2人は離れて暮らす。
仕事も軌道に乗り、忙しくなるだろうし共に食事をしたり、いつもの時間に部屋を訪れ過ごすこともなくなる。
それでもこの2人なら合間を縫って会えるようにするんだろうけど…などと考えていれば。

「俺の部屋の合鍵。君専用だから持ってて」

姫崎藤吾と書いて抜かりないと読む。

全く心配いらなかったね!
藤吾からの言葉はこれだけでは終わらない。

「だから、俺が君に相応しい強さを身につけるまでは、この合鍵を使って欲しい」

「そしていつか……。
俺が本当に成長できた時、一緒に暮らそう。
……待っててくれる?」

「はいっ!もちろんです」

もうこれはプロポーズでは。

お幸せに!!(恒例セルフ紙吹雪)

終わったと思った?
まだ続く藤吾の快進撃。

「……そろそろ俺のこと、名前で呼んでくれないかな」

お幸せに!!!!(紙吹雪増量中)

Special Stage

この展開、デジャヴだな〜〜!!(円のSpecialStageをちらちらちら)

落ち込む雛に声をかけてくれる澪と乃亜。
乃亜はともかく、『藤吾が触れてこない』なんて悩みを聞いたら澪はどんな反応をするのか…

「……くだらん」

そうなるよね!
すっごい真剣な悩みかと思っていたらしい澪は「聞いてやるなんて言って損をした……」とか「俺は悩みを聞くとは言ったがノロケを聞くとは言ってない!」とぷんすこして席を立とうとし、腕を掴んで雛がそれを阻止。
ここでちょっぴり気になることが。

雛が掴んだ腕に出てるじんましん。
共通だったかな?
その時も五十里のおばさまに囲まれた時に出てた気がするから、女性に触れられることがトリガーだと予想してたんだけど…
お芝居中の相手役との触れ合いは大丈夫なら別の要因かしらね🤔

何だかんだしっかり相談に乗ってくれた先輩達、頼もしいぜ。

心を見つけて以来、雛を見つめる眼差しの優しいこと。
蕩けそうとはまさしくといった2人の姿に、なぜか赤面するはるきち。

もう2人の未来にはなんの心配もない。
自信を持って、色んな感情をめいいっぱい感じて、
これからの素敵な人生を共に歩んでいってほしい。

総評

宇賀神澪、優勝です。

この√ では、澪と乃亜の出番がいつもより多いことは前もって予想できたんだけど、
まさかここまで活躍するとは思ってなくて。

藤吾を救うことは雛だからできたとは思ってるよ。
でも、その雛が彼を変えられるかもしれないと感じたきっかけって、澪なんだよね。

澪の助言で、共通で芝居の楽しさに目覚め、変化できた。
その変化を見て彼女に心を許し始めた澪。

この状況が作られなかったら、藤吾は雛にあんな提案しなかっただろう。

藤吾√ 自体が、澪の奮闘と乃亜の助言なしには成り立たなかったとも思う。

幼なじみである3人が普段の様子からは想像できないくらい、
しっかり絆で繋がってることも分かって彼らへの解像度がめちゃめちゃ上がった。

上がったといえば、澪の好感度ね。
もうこれは、爆上がりです。

この好感度を手土産に(?)sideAラスト、宇賀神√ へ突入したいと思います!

当たり前なんだけど、藤吾√ 以外だと澪に執着したままの登場になるのが、
やりきれない。
円も藤吾もみんな救える√ ってZも含めてないのかな。
真相√ である悠翔√ では大団円を結構期待してるんだけどな。

悠翔で思い出したけど、どうしても腑に落ちないことがあって。
そうです、脚の話。

あの悠翔の脚の原因が藤吾である必要性、あったかな…

まあ、藤吾の異様な澪への執着を雛が痛感するには十分過ぎる話ではあったけども!
その割には雛の許せない!のターンがあれだけだったし、
ED3と4で描かれた部分もあっさりしていた様な…?

あのあっさり寛大過ぎる心で許した悠翔に感じた違和感。
あれがもしかしたら、今後大きな意味を持ってくるのかもしれない。
こういう明かされなかった謎は、大体真相√ ですっきりしたりするし。
ねっ!悠翔√ !

心が息を吹き返した藤吾は雛と共に、これから沢山のことを経験して、
様々な感情を吸収して、泣いて笑って誰よりも表情豊かな人生を送っていくんじゃないかな。

それでもって、“皆が憧れる芸能界の仲良し夫婦No. 1”って呼ばれるんだ。
それに対して、幸せそうに喜びのインタビューを受ける様子をアパートメンバーが微笑ましそうに見守ってるんだ。

ではでは、こんなに長い感想を読んでいただきありがとうございます🥹

次は、宇賀神√ でお会いしましょう!