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真夜中のマクドナルドより

マクドナルドをご存知ですか。多くの方が知ってるんじゃないでしょうか。あんまり「え、マクドナルド?メジャーリーガーとか?」ってならないですもんね。みんなよく知るハンバーガー屋さんです。

もはや社会の暗黙知として扱われているのではないか、と言った程度に世の中に浸透しているお店です。そう考えるとすごいチェーン店ですよね。

私もマクドナルドというお店をいつから認識したかその最初の記憶が分からないくらいに深くこのハンバーガーショップであるマクドナルドは脳みそに焼き付けられています。

普段夕方以降にどこかコーヒーでも飲みながら物書きとかをこなす時には、街のコーヒーショップを使うのですが、夜も10時を過ぎると多くのお店は閉まってしまいます。さあどうしたものか、というのが今日です。

10時くらいまでコーヒーショップでパチパチとしていて、お店が閉店しても少し残してしまったことがあるので、マクドナルドに入りホットコーヒーを頼み、奥まった広いテーブルのあるスペースに腰を落ち着ける。人はもうまばらで10席分ある長机を独り占めする。

真夜中のマクドナルドは不思議な雰囲気があります。

妙にゆっくりとした空気。24時間営業のハンバーガーショップ世界線は昼間の満員電車とはおよそ真逆の時間の流れ方をしています。

一分一秒を無駄にしない!という気概を持って秒刻みで電車が波のように押し寄せては引いて行く山手線、かたや真夜中のマクドナルドはその真逆です。昼間にはカツカツと革靴を鳴らして階段を駆けるサラリーマンも、真夜中のマクドナルドに行き着いてしまえば、じっくりと身を革張りのシートに埋めて、甘い飲み物などをこくこくと味わっている。

その他にも夜になっても話し足りない女の子や、レポートの終わらない大学生、自らの意思なんか無視されて、知らぬ間に夜中に漂流してきたボトルのように、マクドナルドに身を寄せる。

昼間の山手線と、夜中のマクドナルドのどちらが好きかと言われれば、マクドナルドだなと思います。いや好きとか嫌いとかじゃないと思うんですけどね。

世の中には陰と陽の二つの世界があって、どちらもが均衡を保つために存在していて双方がお互いの範疇のバランスをとるために世の中に働きかけている。ポテト(L)を揚げたりして。

夜中も僕らの街にはどこか光が灯っていて、ぼんやりと当て所なく、身を寄せている場所がある。そんなことを事実として知っているだけで、どこか救われるような気がするんです。

頑張って毎日昼の世界で忙しく生きて、少しあっぷあっぷしている方ほど、深夜のマクドナルドはおすすめです。夜中のマクドナルドは昼間、頑張った分だけ、少しゆっくりとした時間が流れている。ポテトを咀嚼する速度も、心持ち昼間よりもゆっくりになる気がします。

釣り合いをとるとはそういうことだと思います。明るみにずっと出ているということは疲れるもの。

早寝早起きは大事ですし、規律のある正しい生活は尊いことだと思います。でも疲れた夜にマクドナルドの明かりに引き寄せられて、マックシェイク(バニラのSサイズ)をつつ、と啜って、1日分の色々なしがらみをはあ、と吐き出して、机に突っ伏して、伸びをする夜があってもいい。声が出てしまっても大丈夫です。深夜のマクドナルドでそんなこと気にする人なんていないのですから。

大人になるにつれて、少し洒落た店に行った方が、なんかいい気がする。年相応ってものを弁えなきゃいけないな。というふうに思う気持ちもどこかに潜んでいることがあるかもしれません。もちろん大人として自分が思う大人の振る舞いをすることも大事です。

でも少しそんなことに疲れた時に、ふらりと立ち寄り喉にゆらりとした速度で流し込むマクドナルドのマックシェイクは沁みます。
「クーっきくぜ!!」って感じではなく、「んーはっあぁ」って感じで効きます。

いやはや、真夜中のマクドナルドで文章を書くとなんだか文章もゆっくりとした雰囲気になるものですね。


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