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うみべの女の子を読んでしまった

なんか期間空いちゃったな。

先日友人らと布教大会をしてきました。
布教と言っても、お互いに自分の好きなものを手に殴り合うだけの会でしたが、これがもう、めちゃくちゃに楽しかったです。

布教大会の何がいいって自分の専門外の良作品を浴びられるところだよな。自分じゃ絶対踏み込まない領域をたくさん知りました。漫画いっぱい借りちゃった。第二回もぜひ。


借りた本というのが2作品あって、ひとつがアフターゴッド、もうひとつがこの、うみべの女の子という漫画でした。名前と作者だけ知っていた。浅野いにお先生。おやすみプンプンとか、近々放映のデデデデとかの人ですね。

もうね、なんでこんな作品ばっか描けるんだろうねこの人。

ボーイミーツガールの巨匠というか、自分の中の少年少女をずっとそのまま生かし続けている人なんでしょう。青春というにはあまりによどんでいて、鬱漫画と呼ぶにはあまりに爽やかな作品でした。

私は一度プンプンを読んで挫折した者ですが、それは描写のキツさもありますが、共感しすぎてしんどかったところが大きいんですよね。今回も、どことなく、わかるかもな、これ……という気持ちがちらほらあって辛かったです。思春期に悪いひとに心を寄せる時期がある感じ、分かっちゃうな。やだな。黒歴史になってるのも一緒でますますやだな。小梅ちゃんの感じ、すごく小学生の頃の私だな……(最悪)

いにお先生のこと全然知りませんが、すごくエロティックな描写を入れる人だなと思います。しかもガッツリ描写されてるのに全然えっちじゃない。それがかえってリアル。生々しい感じの原因はここだ。

私が男女のエロに何とな〜〜くうっすらと忌避感を抱いているせいで、一番読むのが辛かったのが濡れ場でした。
やだなあ、これ。この世の名作といわれる作品なんてほぼみんなベッドシーンあるじゃん。何も見れないじゃん。(そんなことはない)


シーンの大半が薄暗い室内で、どろどろ致しているばっかりだったり、胸糞悪かったり、台風だったりを乗り越えてのあのラストだったので、構えていたより随分読後感は良かったですね。

ちょうど磯辺が髪を切ったあたりからぱっと画面が明るくなったのが印象的だったな。書いてて気づいたけどこれ磯辺視点の情景描写だったのかも。画力云々の問題ではない。漫画が上手い。
話は逸れますが、漫画って白黒のはずなのに、夕刻だなとか晴れた昼だなとか分かるようになっているの、何気にすごいことではないですか。日本人以外は汲み取れなかったりするのかな。だったら本当に面白いな。なんで漫画やアニメなんかは国をあげて保護されないんだろう。この国の人間はもうちょっと人が身を削って作ったものの価値を理解するべきだと思います。

磯辺少年が厨二病然と振舞っていたのがぱったり消えるところ、寂しくて良かったな。憑き物が落ちたように丸くなる人っていますよね。ちょっと会わない間に全然違う人みたいになってる人。そういう人は自分があって好きだけど、すごく残酷だなと思います。こっちなんてお構いなしに進んで行っちゃうから……海に向かって泣きじゃくる小梅ちゃんの素直さが愛しいですね。泣けるうちに泣いとけよ少年少女。

ラスト、小梅ちゃんが落としたSDカードを、また誰かが見つけて、拾って、誰かと出会って……みたいな連鎖が続くような描写が美しいなと思いました。きっとみんな成長して、少しづつこの夏ことを忘れていって、でもたまに思い出したりして。そんなときにもまたどこかで少年少女が出会いと別れを経験している……みたいな。めちゃくちゃ奥行きがある世界が、たったの二巻で構築されててすごい。こんなものが作りたいですね。

他にもいろいろ拾いたいことがありますがとっちらかってきたのでここら辺にしておきます。またいつか忘れた頃に出会えるといいな。良い作品を貸してくれてありがとう友人。NLで疲れてしまったから今度はBLを貸してください。


おわり

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