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カラオケ行こ!を見にいきました

近頃Twitterのフォロイーさん方がちらほら口にする「カ!」という単語。なんか映画らしいがなんの検索避けだこれと思っていた矢先、本屋で「カラオケ行こ!」という漫画を発見しました。隣には実写映画放映中のポップ。

これか〜〜〜〜〜めっちゃ見たことある絵柄だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

たしか一月下旬のことだったと思います。

そこから一ヶ月以上経ち、受験戦争の勝利を胸に、私はやっと、やっっっとこれを浴びることが出来ました。

結論から言うとすごく良かった。
良かった。思ったよりハートフル。ちょっと泣いた。

前情報は男と少年が出てくることのみ。カラオケに行くのかどうかも分からない。なんなら漫画の表紙を見て男は会社員だと思っていました。まさかヤのつく自由業の方だとは思わないじゃん。

舞台も大阪だとは知らなかったから、地元だとわかった瞬間めちゃくちゃ親近感が湧きました。聖地巡礼できるじゃんと思ったけど、調べたらロケ地は関東らしい。全然ちゃうやん。


主人公は、黒塗りクラウンを乗りまわすブラック企業(笑)勤めの成田狂児さん(39)と、変声期に悩むボーイソプラノ中学生岡聡実くん(15)。2019年設定だから聡実くんは私より歳上なんですね。

聡実くんは合唱コンの帰りに狂児さんとエンカウントを果たします。知らない人についていっちゃ駄目だよ聡実くん。でもたしかにシャツに刺青透けてるお兄さんに「カラオケ行こ!」って言われたら断れる気がせんな……

狂児曰く「社長主催のカラオケ大会でビリになったら下手くそな刺青を彫られるんや」と。「だから合唱コンでいちばん上手かった君に歌を教えて貰いたいんや」と。
めちゃくちゃ萎縮してる聡実くん(かわいそう)。そりゃそうだ。誰だって急に社長もとい組長と構成員たちの裏社会エピソード聞かせられたらそうなる。

でも聡実くんは優しい少年なので、よく分からないお兄さんの歌う「紅」にコメントしてあげます。

「高音がきもいです」と。

聡実くん、大人しくて真面目な子だと思ってたらめちゃくちゃ毒舌だった。そういうのすごくいいと思う。

というか、作品を通してみんなキャラが立ってて面白かった。ちょっとしか出てこないのにどういう人なのか分かるようになってて、しかも、こういう人、いるよな。と思わせてくれるから、取っ付きやすい。狂児さんの名前の由来のシーンとかは特にそう。昭和感たっぷり。紅のルーツであるカズコさんはパチンコに行くタイプの女っぽい(偏見)。
どこまで原作通りなのか分からないけど、作者の手腕がすごい。原作が読みたいよ〜〜〜〜

謎の邂逅から紆余曲折を経てカラオケに通い詰める二人。目に見えて距離が縮まっていくのがキュートでニヨニヨしてしまった。狂児さんのタラシっぷりがすごい。
関係ないけど、劇場で友人らしきお二人の間に座ってしまったので気まずかったです。ニヤニヤしてる笑とか思われてたらどうしようかな。同じところで笑ってらしたから大丈夫かも。

Twitterを見ていて察しましたが、狂児さんってなんか、なんかすごいですよね(語彙力)。魔性の男っていうか。ただもんじゃねえ足なっっがお兄さん。
気さくっぽいのに得体の知れなさが拭えない感じが怖いです。
薬をやって組を抜けた奴を「宇宙人なってしもたわ」とあっけらかんと言い放つところでなぜかゾッとしました。デフォで笑ってるのに眉間のシワが消えないの怖すぎ。綾野剛さん役作りすごすぎ。それでいて音叉を虎柄に塗っちゃうお茶目さがあったり。阪神好きなのかもな。かわいいな……



色々あって組の構成員たちに歌のアドバイスをすることになり、ちょっと怖い思いをした後の聡実くんの、「狂児さんだけとならカラオケ行ってもええですよ」が爆萌えでした。ツンデレかもな。かわいいな。狂児さんもそう思ってるよね。かわい〜〜〜〜〜〜〜

組の人たちの選曲が高校生か?って感じで面白かったですね。白日って2019年にあったか?と思って調べたら5年前の曲だった。白日って……そんなに前……えっ……?時間感覚……

そして終盤のスナックに聡実くんが飛び込むシーン。あんなに萎縮していた子犬ちゃんが、社長もとい組長から毅然とマイクを受け取り、何回も聴いた狂児さんの「紅」を激唱する……まさか人生で紅を聴いて泣く日が来るとは思わなんだ。声変わり中のかすれ感がもう良くて良くて……イントロの和訳がここで効いてきてぐっときました。記憶の中のお前は俺の心の中で光り輝いとる……俺を慰める奴はもう居ないんや……ウオオ……狂児…………(泣)

まあ、誰も死なないんですけど。

なんやねん。焦ったわほんま。

カ!がギャグ路線の作品で良かった。人が死ぬ作品得意じゃないんですって。だって取り返しつかないじゃん……

ラストの、変わってしまったものや失われてしまったものの哀愁と、でもたしかにそこにあったものを再確認する聡実くんが良かった。ちょいちょいいい事を言う映画を見る部の少年が味を出していましたね。巻き戻しはできないけど、残るものはあるんだ。


数年後の描写、狂児さんの腕のタトゥーが聡実くん大好きっぷりをほのめかしていて良かったな。中盤の聡実くんの発言を回収しているのが気持ちいい。
組長に、嫌いですよあんな奴ってあっけらかんと言い放ついい笑顔の狂児さんが目に浮かびます。絵の巧拙が関係ない文字を彫らせているあたりもちゃっかりしている。

出てくる大人がみんな成長期の繊細な少年に優しくて、いい世界だなと思いました。ごめんなが言える狂児さん、いいひと。文面から滲み出るオジサン感がむしろ良いよね。

とりあえず原作が読みたいです。「ファミレス行こ!」も気になる。
劇場に見に行って良かったな。


おわり

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