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アメリカでスタートアップを始める方法:「Day 1からグローバル」にチャレンジする起業家のためのガイド〜会社設立編〜


はじめに

スタートアップ起業家・起業準備中のみなさん!
初めまして。STRIVEでVCやりながら、アメリカ起業を2021年秋からチャレンジしてきたHaruka Takamori(高森 遥)です!

今はImmiPass(イミパス)というアメリカの移民起業家向け会社設立+ビザプロセスを効率化する事業を立ち上げ中です!

最近、Day1からグローバル!という言葉、なんだかよく聞くようになった気がしますよね。うちのスタートアップも、まさにその一例で、日本にいながら、オンラインでアメリカの顧客獲得し、全部オンラインで立ち上げました。
そんな中、私は特にいろんな困難にぶち当たったので、自分の経験をみなさんに共有することで、より皆さんのDay1からの体験を少しでもスムーズにできればと思っています!

アメリカのスタートアップ起業環境

  • 他の国・地域で比べられない環境: アメリカ、特にベイエリア(サンフランシスコ、サンノゼシリコンバレーあたり)はスタートアップ立ち上げるためににとても成熟したエコシステムが出来上がっています。

  • 個人的に感じた違いは以下の観点からだが、具体的な話はもしご関心ある方いたら別のブログでシェアします。

    • 人材の密度

      • まずは、各大手テック企業のHQが集まっているので、エンジニアがとにかく多い。スキルも高いし、プロダクトへの理解が深いです

      • インド工科大学から90%くらいの人が後からアメリカ移住するくらいに、世界中の優秀なテックタレントが集まっています

    • 事業環境が整えている

      • とにかくプログラムの数が多く、質の高いメンターに出会いやすい

      • 特にシリアルアンとプレイナーの層がいることから、起業経験者からのリソースボリュームがあります

    • 豊富な資金源

      • VC、エンジェル投資家の数が断然多いし、日本のVC資金量との差分は足元2023年実績ベースで40xもの違いがあります

移民起業家のための米国会社設立マスターガイド

会社設立の基本ステップ

1. 会社設立のタイミング:

売上が立つタイミング=会社を設立するタイミングと考えます。一社目のCruzzieでも、有償顧客とってから会社を設立したが、その理由は会社設立に労力がかかるからです。

2. 事業形態の選択:

C Corp(株式会社): ベンチャーキャピタルからの調達を視野に入れるなら、C Corpでの設立が一般的です。

3. 設立州の選択:

デラウェア州: デラウェア州は、優しい法律や税制面の優遇措置があり、法人設立に最適な州としてスタートアップに人気です。

法人設立プロセス

  1. 自分でやるか専門家に任せるか:

  • アメリカの会社設立は法律事務所に頼むか、Stripe Atlasのようなサービスを利用する選択肢もあります。私はStripe Atlasを使ったが、コスト低い割にそれなり課題があったので、このプロセスについては今後別でブログでよりDeep Diveして説明します。

2. 設立において最も重要なのは83(b)Electionの手続き:

  • 83(b) Electionとは: 83(b) Electionは、Vesting(べスティング)付きの株式(一定期間の経過によって権利を確定させる契約条件)と関連した課税を事前に手続きを済ませることで、課税の可能性を避けれるものです。具体的には、通常のべスティング時点で課税される原則から外れ、株式の取得時点(会社設立時点)で課税されるようにできる手続きです。

  • 83(b) Electionの手続き: 創業者創業株式を購入してからの30日期限以内IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)に印刷した書類にサインし、その書類をアメリカのIRS住所に郵送するだけです。

  • 83(b)のプロセスに期限が設けられるため、定まった期間以内にきちんと対応を済ませないと、将来的に税金が膨れ上がる可能性があります。

法人設立における法務アドバイザーの依頼と費用

  • 法律事務所の役割と雇うタイミング: 創業初期では必ずしも法律事務所を利用する必要はありません。個人的にはStripe Atlasを一通り使いこなせるのであれば少なくとも調達までのタイミングでは法務弁護士を雇う必要があまりないと考えます。

  • 法律事務所を雇った場合の費用: 法人設立だけの費用は様々で、小規模な事務所では約5,000ドルから始まることもあれば、大手となると70,000ドル以上かかることがあります。(ちなみに私たちの場合は15Kかかりました)

法人設立後のステップ

  • 銀行口座を開く: Stripe Atlasを使うならMercury口座設立のガイダンスがあるのでそれに従えば簡単に設立ができます。

  • Stripeをのアカウント設立: オンライン決済流用の場合、ペイメント用のStripeアカウントも用意しておきましょう。

私が会社設立をする時にあった頭を狂わす問題

日本にいながらアメリカの会社を立ち上げる中で、あまり参考にできるリソースがなかった中、YCで採択になった、台湾発スタートアップのHeptabaseの創業者Alanのブログを読んでいたので、彼がHeptabaseの設立過程をブログにしたものを参考にしました。具体的にはStripe Atlasをっての会社設立をしたが、実際やってみるといくつかの問題にぶち当たった。
1. ITINと83(b)の必要性:

  • ITIN必要か問題: Stripe Atlasのガイダンスによると、83(b)申請には米国の住居者はSSN(Social Security number・社会保障番号)が必要で、非住居者はITIN(Individual Taxpayer Identification Number・個人用納税者番号)が必要とのことだった。

  • ITIN準備のジレンマ: しかし実際手続き進めようとしたとこ、ITINを取得するプロセス自体に30日以上かかるということがわかりました。そうすると、創業者が株式購入してから30日以内に済ませておかなければいけない83(b)手続きの期限に間に合うはずがないというのもわかった。

  • 税理士と弁護士の間で起きた確認のジレンマ: ITINの必要性と申請方法を確認するために日系の税理士、弁護士さんに意見を尋ねたとこ、税理士からは「弁護士に確認してください」、弁護士からは「税理士に確認してください」とまさかの局面に陥った。

  • 現地の大手法律事務所を雇い、事態が明確に: 流石にことに時間と労力もうこれ以上にかけたくないと思ったので、アメリカ現地の大手法律事務所を雇って解決を図った。結論、創業者二人とも日本ベースならば83(b)の手続きにITINは必要ないことがわかった。

  • 前述の通り、次のブログでは、非米国居住者としてStripe Atlasを使った法人設立と83(b)の申請方法について弁護士に教えてもらったことを含めて詳しく解説します。

アメリカでの会社設立からの学び

もうすでに初期的アイディア検証ができて、お客さんに課金するまたはサービス提供の契約書を結ぶということが見えそうな段階まできたら会社設立をします。会社設立にはStripe Atlasの活用か、法律事務所を雇うかでできるが、すぐに調達を動くことなければStripe Atlasを使うだけでは十分に思えます。

  1. Stripe Atlasの活用:

    • アメリカ国内にいればStripe Atlasですぐ問題なく会社設立できます。海外にいる場合は、83(b)のプロセスを正しく処理できるようになればStripe Atlasの方が遥にコスト低く初期プロセスを済ませることができます。

  2. 法律事務所を雇う時のポイント: 

  • 弁護士との無料初回相談を活用

    • ほとんどの法律事務所は初回のオンライン相談を無料にしています。無料相談を提供しない場合は使わないようにしましょう。

  • ネットワーキングで良き弁護士を紹介してもらう:

    • ネットワークを活用して弁護士に紹介してもらいましょう。

  • スタートアップ系の対応経験を精査:

    • 法律事務所のスタートアップ対応を専門としているかを確認します。

  • 事務所の規模はコストと対応速度と関係する:

    • 小規模で手頃な法律事務所を利用すると、人員体制以上の案件を抱える可能性もあるので、対応が遅くなる可能性は大手事務所と比べて大いにあります。

    • 私は大手を雇ったので該当問題にあったことはありませんでしたが、周りで小規模のとこを雇った起業家の話を聞くとレスの遅さで困ることはあるとのことです。

  • アサインされる弁護士人数と時給・費用感をいち早く確認:

    • 皆さんの企業にアサインされる担当弁護士の人数、職の階級、それぞれの階級の時給はいくらなのか、を早い段階で確認しましょう。

    • 通常費用は時間ベースで計算されますが、この時間の計測というのはまたざっくりしまものです。シニア級の弁護士が対応に少しでも関わることになると、一時間800ドルなどの時給費用になりかねないので、必ずどなたが対応してどのくらいかかるかを確認しながら交渉できるものがあれば交渉しましょう。さもなきゃ想定外の請求が必ずきます。

  • 費用に関してできるだけ交渉をしよう:

    • アメリカではほとんどの事務所さんは値引きの交渉を受け入れます。なぜなら、最終的にFeeに不満を抱えて弁護士事務所を変えることは向こうのスタートアップ界隈では日常茶飯時ですから。

    • 同時に、法律事務所側としてもお客さんの選択は事務所によって発生することがあります。私たちは選ぶ側だけではなく、選ばれる側でもあることをある程度意識しておくと良いでしょう!


結論

自分は正直、事業を開始する時に、右も左もわからずの状態で日本で事業を立ち上げました。
みなさんももし当時の自分のような状況になりそう、または今から情報収集するフェーズに入るのであれば、このガイドを通じてお役に立てれることを願います。また、今後もこの領域でみなさんのサポートをしたいのでImmiPass(イミパス)という、アメリカでの起業プロセスを効率化する事業を立ち上げております。ガイドを通じてわからないことや、疑問に思っことなどがあれば、いつでも無料相談受け付けます!

↓ImmiPass(イミパス)について

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