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第十一章:マボとトロル兄弟!?1 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-(連続小説/児童文学)

「マボさん、ありがとう、頼んだよ~!」
チャッピが手を振ると、小人たちがそろって真似をしました。いよいよマボはトロル兄弟のところに向かったのでした。

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4人の小人がマボが入ったお輿を抱え、えっちら、おっちら森をかけています。といっても小人たちは呑気なもの、しばしば足を止めて、
「あ、ごらん。みやまきんぽうげがこっちに向かっておはようとあいさつしてるよ!」
「あちらも見てごらんよ。りんどうの美しいことときたら、ずっと眺めていたいものだねえ」
「そんなそばから、花の上を蝶々たちが楽しそうに飛んでいるじゃないか! ああ僕も蝶々になって、花の蜜をすえたらどんなに素敵だろう!?」
「君たちは花ばかり見てないで、あの樫の木の幹をご覧よ。リスがもしゃもしゃ、どんぐりの実を食べているじゃないか! ああ、僕もすっかりお腹がすいてしまった」 などと話しています。ですので、小人のお輿はなかなか前に進みませんでした。

お輿に入ったマボは相変わらず心の中で、キッチュを呼び出していました。時たま強い風が吹くと、思わずキッチュが来てくれたのではないかと思い、お輿の隙間から外をのぞきました。もちろん、キッチュは来てくれません。マボは朝から何も食べていませんでしたが、チャッピのお母さんが用意してくれたお弁当に手をつける気もおきませんでした。全然お腹がすかなかったのです。

そうこうするうちに、お輿もいよいよトロル兄弟の住処に近づいてきたのでしょう。あんなに楽しそうに話していた小人たちは、すっかり黙り込んでしまいました。

樫の木庵のマボ(第1巻 全話完結)|遥ナル (note.com)

マボ:5歳の男の子。臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。
モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。
ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。

ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。

キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。

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