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階段の上から盗聴する振動の予告。「↑↓」から「dot(水玉模様)」に入っていく感じ。

犬と暮らしておられるご家庭では、宅急便が来ると犬が激しく鳴くこともよくあると思うが、我が家では犬は黙っていて人間が大声をだす。

何故なら犬のエネルギーが激しく玄関へと突進して、扉の、辺と辺の交わるところへと向かい、ちょっとでも油断をするとそこから絞り出されるから、何とかそれを止めようとして叫ぶのである。犬は終始黙っている。
そこは落ち着いてリードつなげない?という話なのだが、救いがたい不器用さを修正し修正しここまで来た頭の先についた指なので、その辺のコーディネートがどうもうまく行かない時がある。訪ねてきた方としては、扉がそろそろと開いたかと思ったら、その隙間から黒いのがうにゅーっと出て、駆け抜けて行き

Damn it!!!(対訳: ちくしょう!)

と、人間の怒り(自己に向けての怒りなのだが)の熱風が吹いてきて、ものすごく怖いと思う。

ト、前回はそういうことがあって、隣の建築現場の技師さんが、責を負う必要のないことについて気の毒に謝られるところを、いやいや違うんです、のやりとりがあり、黒いのはぴゅんと斜め45度の角度で上に向かうことがあった。黒いのには足がついていて、四本全部使って階段をちゃんと上っていく。

昨日は犬を堰き止め得た。それで技師さんが詩人に振動の話をされているのが、平和な調子で聞こえた。詩人が対応し、自分は階段の上にいる図だ。
それは大きな振動の予告であった。

先日の振動の話し合いにおいて、大きな振動は前もって知らせてほしいとお願いしていたので、それで来てくださったのだ。

技師さんと詩人の会話を階段の踊り場から盗み聞く。

家内が飛び回っていた頃はそこを拠点にしていたものですから

(もはや過去形)

そんな声が聴こえる。先日、振動がひどい場合は、都心の社宅に避難するからと振動予告をお願いしていたのである。

そうだ。以前もあった。詩人が会社に勤めていた頃、上司に電話をする声を聞いていたことが。あの時は階段の下からだった。
(以前は人間よりも階段が多く住む家に住んでいた)

My wife fell down the stairs and sprained her ankle…
(家内が階段を落ちて足をくじきました)

それで病院に連れて行くという内容だ。
fell down the stairs…
そんな完璧な英語が話せる人だったんだ…と痛みの向こうで聞いていたことを思い出す。

今夜から我々の取ろうとしている行動は、上下振動から逃げて、点が一つである今の場所から点の群へと入って行くことだ。点は感染者の数だ。軽症者受け入れのホテルは埋まったと報道される。

夕方、近所のご高齢の男性がお見えになる。振動の説明を会社がしてくださることを、自分は犬の散歩の立ち話の際にほんの数人の、近隣の方々に告げていた。拙宅のベランダから、うちよりはるかに大きいそのお宅が遠くに見える。ご高齢の女性がゆっくりとゆっくりと、郵便受けに歩み寄ってくるのが見えることがあった。門柱に手を添えると黙って工事現場を見、そしてまたゆっくりとゆっくりと家の中に消えて行かれた。

訪ねて来られたその近所の方に、建設会社の担当者の連絡先と振動計の振動の結果をお伝えした。
「こういうのは専門ではないもので」
矜持を感じ
「ご専門は何なのですか?」
と問うと
「わたしゃ、防衛です」
と仰る。では上空を駆け抜ける轟音についての何らかの解決策をお持ちの、あなたはヨーダ(?)と伺いたい気もするが、「では」と帰られる。

今日焼いたパンは何故、潮が引いた時、さっきはなかったのに水面の下から現れた岩の形になってしまったのだろう。イーストだってちゃんと入れたのに。

昼:短歌七首をFAX(!!)しながら笹かまぼこ
夕食:ぐちゃぐちゃな鶏ハンバーグ(「へぇ不思議だな」)、刺身こんにゃく

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