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Uberが作り出した経済圏とは

時価総額およそ13兆円、ライドシェアサービスのUber(ウーバー)。

そんなUberをインフラとして派生したビジネスが近頃続々と出てきている。そして、それらのビジネスは関係する全ての人をハッピーにするようなものばかりなのだ。

これから新しく事業を創っていく上で、参考にしたいポイント満載なので綴っていこうと思う。

Uberの、そもそもの特性を活かしたビジネス

Uberはそもそも「自家用車で、タクシー運転手ではない素人が、人を目的地まで運ぶ」というイノベイティブな点が評価されてここまで伸びてきた。
つまり、このビジネスの基本軸は「"何か"を動かすという特性」を活かしている。

この特性を活かしたビジネスとして、以下のものが挙げられる。

Uber Eats "料理"を動かす

・Uber Rush "宅配便"を動かす (2018年3月に提供終了)

Uber Health "患者"を動かす

さらに、昨年これらとは少し違った視点から"何か"を動かすサービスのリリースがあった。

ウーバーの運転手に広告収入を与える企業「Firefly」が25億円調達

Fireflyはこのサービスを通して、"心" を動かしている。←

Fireflyは、画像の車のようにUberの車の屋根にスクリーンを設置して、地域ごとにターゲティングされた広告を配信している。動く広告である。

週に最低40時間勤務するフルタイムのドライバーが対象になる。Gunayによると、ドライバーは平均で月に300ドルを稼げるという。

Uberがこのビジネスを許容しているのは、ドライバーがFireflyを利用することで稼働時間が増えるからトランザクションを稼げるという理由によるものだと理解しているが、僕は単純にこの広告ビジネスによって、ドライバーの所得が上がるという点が好きだ。

"動かす"とは全く違う文脈のビジネスも産まれた。

Uberの基本的なビジネスの特性は「"何か"を動かす」ことであった。
しかし、それらとは全く違う文脈のビジネスも産まれた。

それは車内特有の"スキマ時間"を活かしたビジネスだ。

代表されるのがCargoだ。
Cargoは菓子類やヘッドフォン、化粧品サンプルなどの商品が詰められたボックスを提供している。その箱が車内のアームレストに置かれていて、QRコード決済で商品を購入することができる。

Cargoの売上からドライバーたちは副収入を得る。アイテムの購入額の20%がドライバーにもたらされ、1決済につき1ドルのトランザクションフィーも得られる。しかも、無料のサンプルを渡す場合も、1ドルが得られるのだ。Cripeによるとドライバーたちは平均で月に100ドル程度をCargoで稼いでおり、乗車距離が長い場合は300ドル稼ぐケースもあるという。

ドライバーはまたも収入アップすることができる。
利用客は目的地に着く前にコンビニに寄らずとも飲料や軽食を購入できる。
食品メーカーは新商品の検証をすることができる。
関わる人たちみんながハッピーになるのだ。

Uberに乗るのが楽しみになる、そしてお得に

最後に紹介するのがJoyride Triviaだ。

ウーバーの乗車中に10問のトリビアクイズに回答し、賞金額が20ドルに達したら稼いだお金をペイパルアカウントに移して、利用できるというもの。

このサービスも、車内特有の"スキマ時間"を活かしたものだ。スキマ時間にクイズに答えるだけでUberに無料で乗れるようになる。「毎日使う交通手段だからこそ、少しでも料金を浮かせたい」と思う心理を利用した賢いビジネスだ。

【まとめ】 インフラを作れ、箱を作れ

Uberは、一般人の自家用車を囲い込み、"何かを"動かす特性を活かしたビジネスで定常的に収益を出し、車内特有の"スキマ時間"を潰すためのビジネスまでも産み出させた。Uber社自身が想像してない視点からもマネタイズが起こり、結果的にUberはウハウハ、ドライバーやサービス利用者は今まで以上に生活が便利になり、みんなハッピー
はたまた、これからUber車内でしか購入できないお菓子が登場すれば、よりUberのトランザクション数は増える。Uberという交通インフラ車内という箱の特性を活かしたビジネスはこれからも増え続けるだろう。

こういった、
⒈ インフラ・箱を築いて、定常的に収益を上げ、
⒉ その中身とされる派生ビジネスを許容する。
というビジネスフレームワークが旨味満載で好きだ。

例えば、会議室という箱でも容易に考えられる。
⒈ 会議室シェアビジネスで定常的に収益を上げ、
⒉ 会議室内にサイネージ広告を設置したり、自前のコーヒーや菓子を置く。

Uberほど日常で欠かせないシーンではないが、
単発な切り売りビジネスではなく、
閉ざされたビジネス空間ならではの集中力や喉が渇くという特性を活かした派生ビジネスが容易に発想できる。

できる限りさまざまな視点からUXを想像して、特性を活かした旨味満載のビジネスを展開していきたいですねー。(自戒の念も込めて)

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