"The Truman Show"感想

こんにちは。
今回はロンドンに関係ないのですが、
映画『トゥルーマンショー(原題: The Truman Show)』をNetflixで見たので、その感想を。

もし、まだ映画を見たことがない方がいらっしゃれば、
今すぐここから引き返して、
あらすじや何も前情報なく、映画を見ることをお勧めします
。笑
トゥルーマンショーは、あらすじも全く知らないまま見始めた方が、面白いと思います。
主人公トゥルーマンと同じ目線で、物語を楽しめるかと。

もう見たよーんて方は、どうぞ良ければこのまま読み続けて下さい。笑



…さて。
見終わった後の、爽やかだけど、ちょっと何かまだ胸がつっかえてる感じ…、何なんでしょうね。

整理する意味も込めて、
映画を見て思ったことを羅列していきますね。

①自分がトゥルーマンの立場だったら…と思うとめちゃくちゃ怖い
まぁ、まずはこれにつきますよね。
自分の24時間、365日すべてが全世界へ放送されてる訳ですから…。
でも、私は、
「自分のすべてが他人に知られてること」以上に、
「自分が生きている世界がすべてフェイクだった」という事実の方がゾッとする
なと感じました。
毎朝挨拶するお隣さんも、親友も、愛する妻も、全員用意されていた演者・エキストラで、そして、ビーチや太陽でさえも偽物…。
親友がトゥルーマンにかける優しい言葉は、番組から指示された台詞だった描写もありました。
自分が関わってきたすべての人たちが、実はリアリティショーの為に演技をしていた…なんて衝撃的すぎますよね。

②ジム・キャリーをはじめとした、俳優さんたちの演技がすごく良い。
とにかく表情豊かなジム・キャリーが、トゥルーマン役にハマりすぎている!!笑
表情豊かなキャラクターにしたいからジム・キャリーが抜擢されたのか、
ジム・キャリーが演じたからこんなにも表情豊かなキャラクターになってしまったのか、
順番は分かりませんが…。笑
リアリティ番組"The Truman Show"としても、トゥルーマンがこんなにも感情や表情が豊かだからこそ、視聴者の支持を集められたのかもしれません。
だって、トゥルーマンが寡黙で、落ち着きがあって、感情をあまり表に出さないタイプだったら、ここまで視聴者を惹き付けない気がします。

トゥルーマンの妻メリル(正しく言えば、トゥルーマンの妻メリルを演じているハンナ)を演じるローラ・リニーもさすが…。
この絶妙に"なーんか取り繕っている感じ"を出すのが上手。
良き妻を演じながら、さりげなく、リアリティ番組のスポンサー商品を宣伝するのは天晴れです。
彼女が唯一"素"になるのが、トゥルーマンと一緒に車で橋を渡るシーンですかね。あとは、キッチンで取り乱すシーン。
まぁ確かに、トゥルーマン以上に、彼女の方が精神的に病みそうですよね…。真実を知っているだけに。。仕事とはいえ、24時間"妻"を演じなくてはならないって…。

そして、このThe Truman Showの産みの親、番組プロデューサーのクリストフを演じるエド・ハリスも、印象的でした。
最後にトゥルーマンに語りかける様子は、まるでトゥルーマンの実の親のようで、親離れする息子を引き留めようとする様でした。
トゥルーマンが初めて歩いたとき等、思い出を語る時のクリストフの表情は、親そのもの。 
まぁでも、息子を愛するあまり、完全にコントロールしたがる毒親とも言えますが。。

③リアリティショーとは…?
でも、私が疑問に思ったのは、
「なぜトゥルーマンはローレン(シルヴィア)と恋に落ちてはいけなかったのか?」です。
映画の冒頭で、The Truman Showのプロデューサーであるクリストフが、「The Truman Showこそリアルだ。」と述べていました。
でもそれならば、用意したキャストと結婚するように仕向けるよりも、
トゥルーマンが自然と好きになったローレン(シルヴィア)と付き合うことを許容する方が、リアルでは…?とも思ってしまいます。
もしかしたら別れるかもしれない。失恋の痛みを感じるかもしれない。その方がリアルなのになぁ…とも思いました。
まぁローレン(シルヴィア)はトゥルーマンに真実を伝えようとしたので、結果番組から降ろされてしまったのですが…でも、そもそもその前から、メリルが恋人としてお膳立てされてる感じでしたもんね。
リアリティショーといいつつも、"番組の意向からははみ出ない範囲で"…ということですね。現代のリアリティショーにも通ずるような…。

④2023年、この映画から学ぶこと。
この映画がリリースされたのが、1998年とのこと。20年以上も前になるわけですが、未だに高い人気を誇っています。
20年前に比べると、携帯やスマートフォンの普及などで随分技術が進歩し、ストリーミングの普及でリアリティショーの数も増えた気がします。
それでもこの映画に現在も惹き付けられる理由は、この映画の大きな要素『プライバシー』と『リアル/フェイク』が、我々の現在の日常と密接に関わっているから…な気がします。
私たちはこの映画を見て、まず「自分のすべてが、全世界に晒されている」ことの恐怖を感じると思うのですが、
一方でSNSの普及で、私たちは自ら自身を晒しているわけです。
近年ではインスタやTicktokが主流となり、自分の顔は勿論、日常の様子やライフスタイルを自ら発信することは珍しいことではありません。そして、発信した自分の情報が、全く知らない誰かに見られていると。更に私たちは、より注目を集めたり、賞賛して貰うために、加工したり、話を盛ったりする訳です。
「私は自分(or自分が運営するビジネス)を売り込むために発信している」なら、どうぞ嘘をつかない範囲でそのまま続けて下さい…という気持ちですが、
ただなんとなく自分の日常を発信している人(私も含め…)は、プライバシーのことを今一度考えてみてもいいかもしれない。
「鍵付きにしてるから大丈夫」という意見もあると思うのですが、鍵付きであろうと無かろうと、発信した時点で全世界へ発信するのと同じと私は思ってます。(偉そうにごめんなさい☆)

そして、この映画の一番のレッスンは、
「どんなに完璧なセットや権力があっても、人の気持ちまでは支配できない」
てことでしょうか。
トゥルーマンが終盤、
「You never had a camera in my head!」
(僕の頭の中までは見えないだろ!)
と言っていたのが印象的でした。

確かに、トゥルーマンはこれまでその豊かな表情で視聴者を惹き付けてきましたが、
結局トゥルーマンが実際何を考えていたのかは分からないですし、
彼が最後外の世界に出ることを止められなかったように、人の気持ちを縛ることはできない訳ですね。

そしてトゥルーマンは外の世界へ一歩踏み出し、
そのトゥルーマンを向かえに行こうと駆け出すシルヴィア。
二人が会えたのか、その後どうなったのかは、分かりません。
"The Truman Show"というリアリティショーは終わってしまったのですから。

でも、それで視聴者たちが、
「じゃあ次何見る??」
と早々に切り替えるのが面白かったです。

結局、他人の人生話なんて、自分の人生においてはちょっとした娯楽に過ぎないわけですよね。


…と、整理できずにダラダラと述べてしまいました…。(いつものこと)

あくまで一個人の感想なので、悪しからず!

では。


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