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カフェが人を繋ぐ。果実味あふれるコーヒーが生んだ、中目黒のコミュニティ

 ※2018年10月掲載記事

オニバスコーヒーが大切にしているのは、お客さんとの距離感。カフェは、人と人が自然と繋がっていく場所。その真ん中にあるのはまさに、居心地の良いコーヒーだ。

国内サードウェーブコーヒーの旗手

今やすっかりカフェ激戦区となった中目黒。ハイセンスなショップが並び、週末に情報感度の高い人が集まる一方で、庶民的な一面をもつ商店街もあり住宅地としても人気。そんな街だからこそ出店したというのが、国内サードウェーブコーヒーの旗手「オニバスコーヒー」。

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<オニバスコーヒー 中目黒店。軒先にカウンターやベンチがあり、2階にはカフェスペースも>

同店は奥沢で産声を上げる。そのころはまだサードウェーブコーヒーなんてあまり知られていなかった時代。店主の坂尾篤史さんが、オーストラリアでカフェの魅力にとりつかれ、帰国後にバリスタ世界チャンピオンの店で修業。やがて2012年、満を持して「オニバスコーヒー」をオープンしたのだ。

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<坂尾篤史さん>

ちなみに、オーストラリアは独自のカフェ文化が根付く国。特徴は、外資系やチェーン店以上に“街のコーヒー屋”が愛されていること。2011年の“あの日”を機に、ボランティアに参加するなどたくさんの人と出会った坂尾さん。「コーヒーで、もっと人と人をつなぎたい」。そして、やるなら自分らしさを。それはコーヒーの味わいにも。答えのひとつが豆の買い付けであり、自家焙煎だった。

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<アメリカ・DIEDRICH製の半熱風式ロースター。豆の個性をデリケートに引き立たせてくれる>

「『オニバス』はポルトガル語で“公共バス”。バスのように、生活に溶け込むような存在になれたら。同様に、日常的に人と人をつなぐコーヒーを提供したいと思っています」(坂尾さん)

一杯ずつ丁寧に。真心込めたコーヒーを、手渡しでぬくもりとともに。そんなワンシーンを思い浮かべると、自然と住宅地のある街が出店候補地になったそう。

「お子さま連れからお年寄りまで、近所の人でもふらっと立ち寄れるような。そしてお客さんとの距離感もできるだけ近い方がよかったんです。だから目黒のこの店舗も、もともと古民家だった物件をうまく活用しました。古木や和を感じられる素材を用いて、やわらかい雰囲気を生かしています」(坂尾さん)

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<中目黒店は2016年にオープン>

フルーティーで、酸味や甘味を感じる魅惑的な味

「オニバスコーヒー」は世界中から高品質な生豆を仕入れ、時には現地へ赴く。そうやって吟味した豆の個性を生かすことが、味の特徴だ。そのため、必要以上に焙煎はしない。ライトな浅煎りで、挽き方もドリップの場合は中挽きだ。

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<豆の特徴や産地のイメージを、格子のアートワークで表現している>

豆は大きく2タイプがあって全7種類。一定の方向性をもたせたブレンドが3種と、より豆の個性が豊かなシングルオリジンが4種というラインナップだ。淹れ方は、ハンドドリップか、エスプレッソマシンかを選べる。そのなかから、同店で最も新しくメニューに加わった「グアテマラ」を作ってもらうことに。

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ドリップ時に所作を見ていると、ティースプーンでかき混ぜている。これはちょっと珍しいかも。と思って話を聞くと、さまざまな哲学を教えてくれた。

「混ぜることで内部空間にお湯が行き渡り、味をより引き出せるんですよ。あとは、品種や国によって豆の繊維が違うので、それに合わせて豆の量や抽出スピードを調整しています」(坂尾さん)

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<「ハンドドリップコーヒー HOT」490円>

「豆は果実」と坂尾さん。飲んでみると、確かにフルーティーなアロマを感じる。苦みはほのかで、それ以上に酸味が印象的。そして甘味すら覚える魅惑的なフレーバーだ。これが豆の個性!

「どれもオススメですけど、グアテマラは現地で買い付けているので、トレーサビリティの面ではイチオシですね。味としては、ミルクチョコレートのニュアンスのなかに、オレンジ、マスカット、青リンゴなど。そしてバランスのよさも特徴。ドリップでもエスプレッソでも、しっかりと“らしさ”を出してくれます」(坂尾さん)

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取材時にも、お店には老若男女さまざまなお客さんが出たり入ったり。場所柄もあるのか、外国人もけっこう多い。ここ中目黒店は駅から近いので、立ち寄りやすいのも魅力。街歩きの一杯に、リラックススポットにと、思いおもいのシーンで活躍してくれるはず。

取材・文:中山秀明
撮影:濱田晋

ONIBUS COFFEE 中目黒

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