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飛行機の窓から

飛行機に乗って空を飛んで下を眺めると、そこがどこなのか、風景が記号的なものから解放されて、わからなくなり、ただの島と、海と、空だけの世界に変わる。

石牟礼道子さんの何かの文章を読んでいたら、日本列島は空から眺めると水に洗われた様というようなことが書いてあったのを印象深く覚えている。

だから地上にいる時はいかにも大地の上に乗っかっている気でいるが、じつは“水で洗われた”ような島に乗っている。

ぼくは日本列島から出たことがないのでわからないが、大陸に乗ると、人の気質は随分変わるのではないかという気がする。

宮本常一の『空からの民俗学』という本がぼくは好きだが、そこには航空写真から読み取れるさまざまな人の生活が書かれている。

彼の中に蓄積された膨大なフィールドワークの知識は、“写真を読む”可能性をひろげて、それを読む人に見せてくれる。

その知識もまた記号的なものではないよね。人の眼差しと、人の肉声が響き合っているのを感じて、しみじみ聞き入る。

(つづく)

「道草の家・ことのは山房」のトップ・ページに置いてある"日めくりカレンダー"、1日めくって、3月22日。今日は、とある建築物の話。

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