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一枚のアルバム、その重みについて。

1.はじめに

音楽を聴く。その方法は時代と共に変化してきました。
近年は定額制(サブスクリプション)音楽配信サービスによって音楽を聴くことも増えてきたようです(リンクは解説サイト)。
私は音楽を聴くはじまりがLPやEPレコードでした。そのためか、どうしてもサブスクには馴染めず、ダウンロードが時折、大抵はCDを購入しています。ポータブルミュージックプレーヤーに「曲を入れて聴く」ことがほとんどなので、効率が悪いのは重々理解しているのですが。

レコードをテープにダビングしていた頃から、ウォークマン派です。スマホに音楽を入れて聴くことにも、未だに馴染めません(どこまでロートルなのか、と自分に苦笑いしながら)。

以下、レコード時代~サブスクと時代を経て、私がどう音楽と向きあってきたか、回顧的ではありますが綴ってみようと思います。
 

2.アルバムに針を落として


私が学生時代~新社会人時代、LPレコードは一枚2500円程度でした。私の薄い(苦笑)財布には結構な金額。1ヶ月の収支から「何かを削り」、そのお金でレコードアルバムを購入していました。
交通機関を使わず数時間歩いて移動する、(今なら決してしませんしダイエット目的でもお薦めしかねますが)お昼など食事を一食抜いてみる。そして、本来そこに使ったはずの金額を貯めていき、そのお金で一枚のアルバムを買う。……今思い返すと「何ともケチくさい(苦笑)」節約方法でした。ここで言い訳をしてしまうと、アルバムを買う→それを再生する その環境を得る=オーディオセットを買う、その予算もそこに含まれていたのです。
 
あの頃、オーディオセットは(マニア向けではない一般向け商品であっても)それなりに高価なものでした。社会人一年生となった私は初ボーナスに学生時代からの貯金を合わせ、十五万円ほどのオーディオセットを購入しました。部屋の住人より大きな顔をして、狭い1Kのアパート、その部屋に鎮座していたパイオニアのオーディオを、今も懐かしく思い出します。

上記、「ホームオーディオ」タブをクリックすると、当時のオーディオ製品の説明と画像を見ることができます。

当時買い集めたLPは、今もレコードプレーヤーと共に私の書斎にあります。ミニコンポにレコードプレーヤーを接続して、時間があるときには黒い円盤にそっと針を落として一枚のアルバム、その音に耳を澄ませる時間は、21世紀、令和の今も、私にとって必要な時間なのです。

はじめて「自分のお金で買った」アルバムはハイ・ファイ・セットの
『ハイ・ファイ・ブレンド・パート1』でした。20世紀の名盤シリーズとなり、CD化もされたようです。


3.針を落とさなくなっても、音は刻まれる。


上記であげたハイ・ファイ・セット。そのメインボーカリストであった山本潤子さんが所属していた伝説のフォークソンググループがあります。知る人ぞ知る「赤い鳥」です。

赤い鳥の詳細はWikipediaに拠ったほうが分かりやすいようなので、以下に貼ります。

新居潤子さん、山本俊彦さんと結婚して山本潤子さんとなる希代のボーカリストは、赤い鳥→ハイ・ファイ・セット→ソロ活動 と歩みを進めていきました。赤い鳥・ハイ・ファイ・セット・山本潤子さんについては別途記事に纏めることとして、話題を「アルバムの重み」そのものに戻したいと思います。

私は現在、赤い鳥のベスト盤「赤い鳥-SUPER BEST」と山本潤子のベスト盤『ゴールデン☆ベスト』を所有しています。今の私にとって、この二枚のアルバムを購入することは、それほど懐の痛むことではありません(当然ながら)。ですが、「存在の重み」はレコード一枚を購入するのに四苦八苦していた若き日と変わることはなく、いえ、あの頃以上に重みを感じるようになりました。

赤い鳥は解散し、山本潤子さんは活動休止中。今現在、生で彼らの歌声・演奏を聴くことは叶いません。ゆえに、音楽媒介は私にとって至宝なのです。
無論、以前に記事立てした宇多田ヒカル元ちとせなど、現在活躍中のアーティストであっても、地方在住で中々ライブに出向くことのできぬ私。アルバムは宝物です。
サブスク。便利ですし、プラス面が多いと思っています。父母の世代と自分の世代で歌に対する捉え方が違うように―レコードが富裕層の財産にも似た娯楽だった―今は私の時代と違い、音楽を聴くことは日常の中に溶け込みBGM的に聴くことも多い。それは進歩だと。いずれにしても、音楽を楽しむ心がある、それが大切なことだと想っています。そして、それが無くなった世界を目にしたなら、私は寂しさと虚しさを感じるだろう、と。

その上で、「大人になったら赤い鳥のような素晴らしいアーティストのアルバムを購入しよう。そのために節約しなくては」、そう拙く思った十五歳の私に叱られぬよう、大切に「私の至宝」を聴いていきます。この耳が音を捉えてくれる限りは。
それでは今回はこれにてお暇を。思い入れ多き拙文、お付き合い頂いた貴重なお時間に感謝申し上げます。

何度でも打ちあげようよ
美しい 願いごとのように

紙風船/赤い鳥 歌詞より:作詞:黒田三郎,作曲:後藤悦治郎


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