夜は無敵だ。一切の社会を排除して、ぼくたちだけの空間をつくることができる。夜通し世間からはみ出して悦を求めたり、みんなで悪さをしているような気になることで満たされる。その根底には無常観や真っ当であることへのコンプレックスがあるんだと思う。朝まで友だちの家でゲームをしたり、一人でレイトショーを観たり、クラブでアホみたいに遊んだり、フジロックの深夜のレッドマーキーだってそう。

そしてその無敵が終わる寂しさが好きだ。徐々に明るさを取り戻す空の色は、寝ずに遊んだ疲労とともになんとも言えない達成感をもたらしてくれる。そこに流れる特別な空気は祈りに似ている。スター状態はいつまでも続かない。日常はまた訪れる。無敵になれることを知っているぼくは、無敵だ。夜明けはぼくにとって数少ない自己肯定なのかもしれない。

グッドバイ / サカナクション