046エベレスト

#046「エベレスト 3D」

映画館に観に行って、最近になってDVDで見直したら、色々思うところがあったので。
先ずは、タイトル何か良いの無かったのかな。3D以外に言い様無いんだろうけれど、末尾に3Dって付くのはなんというか、とにかく無粋よね。

エベレスト登山に完全に素人は居ないとは言っても、自力で登る力の無い人達が、大金を払ってツアーに参加していることに驚く。
山には世界中のツアーの沢山のお客さんが押し掛けていて、酸素やルートが取り合いになったりしている。そんな馬鹿な。
それだけの環境なので、天候が悪くなったり、誰かが具合悪くなったり、トラブルも多く、その一つ一つが命取りになる。

それぞれのツアーガイド達は、エベレストのプロだけれど、そういうお客さんたちを多く抱えて登れるほど甘くもない。自分達の客を、頂上まで登らせたいという気持ちと、山の人達なので当然助け合う。良くも悪くも。
人はきっと、目の前にあることの方に強く反応してしまう生き物なのだ。と、つくづく思う。下山の時間になっても頂上を目の前にしたら、リスクは目に入らないし、山の仲間が遭難しかけていたら、自分の危険は省みずに登って行ってしまう。

で、この映画は1996年の遭難事故を扱ったものなので、遭難してしまうんだけれど、それが、何と言うか本当に小さな身勝手な行動や、誰かのエゴの積み重ねによって引き起こされている。その身勝手さは性格に依るもので、映画の冒頭のなんでもない会話や振る舞いにも細かく現れていて、最初からなんとも言えない気持ちになる。

でもね、正しい振る舞いが何であったかなんて、終わってからは幾らでも言えるし、その危機を回避出来たとしてどんな未来があるのかなんて、誰にも分からない。だから、後悔しない様にその都度全力で。山に入った人達は、きっと後悔は無かったのだと思う。
冒険は、残された人にとっての悲劇なので、教訓でさえない。
戦争を冒険と並べるのは余りにもモラルが無くて申し訳ないけれど、「アメリカン・スナイパー」でも同じことを思った。

ジェイク・ジレンホールは相変わらず絶妙。