064オーバーフェンス

#064「オーバー・フェンス」

自分に嘘を吐かず、自分のままで居続けることは本当に難しい。何かと折り合いを付ける為に、思っている事を隠したり、誰かがしているのと同じに見える様に笑って誤魔化したりしているうちに、自分を見失ってしまう。
見失った自分が社会を上手く泳げて仕舞うと、自分にとって自身が必要なくなってしまうし、誤魔化して見失った自分がうっかり愛されてしまったりするので、その何だか分からない自分を運営していくことになる。
そうやって何だか分からないうちに手に入れた世界を、守り続けないといけなかったりして、だけどみんなそうしているんでしょう?みんながしている様に見える、これが幸せってことでしょう?

本当は違う。
その瞬間が全てなのだ。過去と未来は繋がっているように見えて、実は全然関係の無い、全て独立した瞬間の積み重ねだったりする。
さっきまでこの世の終わりみたいな気分でも、次の瞬間に許せたりするから人を愛せるのだし、もう終わりだと思っていても、ある瞬間に全てが報われた様な気持ちになることだってある。
それらは一様には続かないけれど。

今した決断が、未来の自分を幸せにしたり不幸にしたりしない。
幸せも不幸もその時の自分の気分を観測しているに過ぎないのだから、そんなに心配しなくても良いよ。と、思う。

くるくる変わる、人の表情を見ていたいのだ。
愛している人にこそ、自由に表現して欲しい。