長期連載作品って絵柄がだんだん変わるよねって話(の皮を被ったはねバド!の話)

はじめに

 日記です。あとで「はねバド」についてと「東京喰種」をちょっと語るので両方読んだ方が良いかも。あんまりネタバレはしないように気をつけます。

 タイトルについて、すぐに思い浮かぶのはやはり「こち亀」でしょうか。この間24時間限定で200巻無料キャンペーンをやってて、久々にちらりと読みました。そのときは180巻くらい?から5巻ぶんくらい読んだ気がします。200巻で完結(201巻がこの間発売されましたが)したので、もう終わり頃の方ですね。そのあたりを読んだあとに最初の方(1~10巻とか)を読むと、否が応でも「絵が違うな」と感じてしまいます。

 こち亀は1976~2016年の40年間(!)もジャンプで連載されていたものであり、まあそんだけやってたら当然だろう、という気はします。40年もやってたらむしろ変わって当然でしょう。しかも、自分がこち亀を初めて読んだとき(確か地元の小さな図書館に置いてあった)は60巻くらいで、そのときはもう既によく見慣れたもの(後半と同じような作画)で安定していたような気がします。最初の20巻ほどはいわゆる昔の漫画というか、線が太くて両さんがもっと濃い顔で、中川はもっと爽やかハンサムを全面に出していたような…(手元にあって確認しながら書いているわけではないので曖昧ですが)。

 別に写真を出して見比べようとかいう趣旨ではないので、自分で調べて見てもらいたいのですが、こういうタイトルにあるような絵柄の変化って、良い悪いではなく普通にありますよね。先も言いましたが長期連載なら当然で、それはアップデートだったり、慣れだったり、作風の変化だったり(その場合は担当編集との打ち合わせやマーケティングのような要素も加わると思いますが)するわけで、長期やってればその機会は当然多くなるわけで、絵柄の変化は必然だと思います。こち亀だけじゃなくて、ナルト、ブリーチ、ワンピースなんかも最終巻あるいは最新巻を読んだあとに1巻を読むと、だいぶ変わったなあと思うわけです。

 本題

 で、なんでこんなことを思ったのかというと、やることがいっぱいありすぎてなんにもやる気が起きなくて、ふと自分の部屋の本棚に「はねバド!」と「東京喰種」(トウキョウグール)があるのが目に留まり、(現実逃避して)読み返したのがきっかけでした。この2つの作品、最後まで読んだあとに1巻を読み返すと、あまりの変化にもうびっくり。東京喰種に関してはreまで読まなくても、無印の最終巻ですらかなり変化してます。それで更に今石田スイが連載してる「超人X」を読むとひっくり返ります。「この人はいったいどこまで自分をアップデートすれば気が済むんだ…」と思いましたね。もちろん終わりはないのでしょうが。はねバドは全部読んだあと1巻読むと、「あれこれ違う漫画か?」って思うくらい変化しています。今日ははねバドがメインです。

はねバド

 でもこの絵柄の変化は作者が意図してしているようで、インタビューによると、「女子高生部活モノ」から「スポ根モノ」に変化させる意図で変えたとのこと。まあ読んだ人なら、「そんなの解説されなくても絵見たらわかるわ!」ってなります。4巻で「ちょっと変わりだしたな…」と思ったら5巻はもう別物です(写真)。良い意味で。こう…パッと見て「あっこれはこういう路線の漫画だな」ってわかるのって良くないですか?それが5巻から超明確になってますよね。でもそこから更に試行錯誤してるみたいで、8巻くらいからまたちょっと変わってます。1~4が可愛い系、5~7がガチンコスポーツ(スラダンの後半みたいな)、8~で安定したのかな、という印象です。まあ7巻はインターハイ県予選決勝っていう一区切りの巻だからね。

 8巻以降で安定したとは言え、益子とか登場シーンと試合以降でまた全然違いますが…(キャラクター的にもその変化は意図がある気もしますが)。はねバドのすごいところは、絵柄が変わっているのにキャラの魅力が損なわれてないことや、絵柄の変化が全部良い方向に行っている(個人的には)ところだと思います。正直どの絵柄もめっっっっちゃ好き。前半の可愛い女の子も、中盤の鬼気迫るスポーツマンの顔をした女の子も、後半の可愛いとスポーツが両立できて、かつものすごく緻密に書き込まれた絵も最高に好きです。

 終わり方は「あれ、世界は…?」と思わなくもないですが、インタビューでは刹那的な高校生の部活を描きたい、その後をやると高校生感がないと言っていて、なるほどな~という気はします。でもヴィゴには世界狙うって話でトレーニング受けてなかったっけ…?ネットで評判を見ると「コニー戦前で燃え尽きた」「最後あっけなさすぎ」とか言われてるのチラホラ見かけますが、個人的には最後の試合は、「バトミントンでしか遊ばない子ども」同士がただ「遊んで」いるだけであって、色々複雑な因縁のある2人がバドミントンを通じて心を通わせているシーンなので、逆に多くを語らず、姉妹水入らず的な雰囲気で良かったと思います。キャラクターそれぞれのドラマ的にはキレイに終わったと思いますし。まあ確かにスポ根モノとしては準決勝がピークだったと言われてもわからなくはない…となってしまいますが。それでも絵は最高だしドラマとしては超おもろいからいいんだよ。

 お気に入りのキャラは逗子総合の監督です。最初の方は選手を怒鳴りつけるイヤな監督として描かれてますが、段々とスピードワゴンのようなポジションになって、角の取れたキャラクターになっていくのが好きです。マジで最後読んだあと5巻読むと「お前そんなキャラだったっけ…?」ってなる。マジで。

さいごに

 ほとんどはねバドの話で終わっちゃいましたが、絵柄の変化って本当に良し悪しではなくて、作者の戦略と成長をビシバシ感じられるし、あとから読み返すと年輪みたいに軌跡を辿ることができるので、読んでいて楽しいですね。自分はクリエイターではないので、作風の変化を指摘されることが、作家の側からしてどう感じることなのか(気分が良いものなのかどうか)わからないところが多いのですが、少なくとも自分ははねバドや東京喰種のような変化(というか成長)はバトルマンガの主人公が成長してる過程を見てるようで大好きです。濱田浩輔先生またあの絵でマンガ描いてくれ~~~~~。一生待ってる。

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