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『冨樫義博展-PUZZLE-』は冨樫ファンマストバイイベント

平日某日。
今年10月28日より開催中の『冨樫義博展-PUZZLE-』へ行ってきた。もっと早いうちからいけば良かったなとちょっぴり後悔するほどすげえ良かったです。

◆動機

元よりぼくは冨樫先生のファンだし、最近連載再開されたハンターハンターもものすごく面白くて数時間感想を費やしてしまうほどに大好き。今週もどうにかして早バレを回避し、土曜日に早売りジャンプを入手し、ポケモンの誘惑に打ち勝って感想を書いていた。

このイベントも存在は知っており、元より興味はあったのだけれど、喉から足が出るほど行きたいというほどではなかった。まあ、事前にあまり情報入手していなかったのと、この手の展示会は行ったことがないのもあると思う。
けれど4年ぶりのハンター連載再開なこともあって自分の中で再びヒートアップして「うわあ行きてえ!!」「もうチケットは平日しかないのか~!!」と急に興味を持つようになった。あとTwitter情報によると有益な資料が見られると知ったのが動機ブーストとなった。

◆会場

六本木駅(東京メトロ)を出て南西に進み、Googleマップを頼りに会場へ向かうと、このようなハシラが見えたらもう会場は近い。尤も最初は森タワーをオフィスのほうと間違えてしまったが。いつの時代も田舎者精神が抜け落ちていないなぼくは。

あとはもうこの中へ入っていけばOK。螺旋階段を上り、事前にファミマで購入したチケットを受付で引き換え、エレベーターで52階まで進むリアル天空闘技場体感ショーを味わっていく。といっても52階までは1分もかかるかかからない速さであっという間に到着したのだが。
ところでチケットは今現在もう既に11月分が全日完売の状態であり、それだからか平日にも関わらず大勢の客がいてびっくりした。まあ土日はもう取られちゃったしな。有給使うなりして今のうちに行きたいという人はさぞ多かったのだろう。

巨大キービジュアルの右手が入口。残念ながら写真撮影はここと内部の1ヶ所しかない。だのでぼくの拙文でなんとかうまくその魅力を通し、誰か一人でも「ウヒョ~冨樫展行きてえ~!」という販促効果が生まれたら幸いである。

◆入場

入場するとまず目についたのは歴代冨樫作品キャラクターのパズルピースが埋め尽くされた、凝った展示だ。これがなんの意味を秘めているのか。本作のタイトルにもなっている「PUZZLE」。それは本展示会が「キャラクター」「設定」「ストーリー」「描写」「特異点」五つのポイントに分けられて展示という説明がされている。冨樫先生が決めたのかどうかは分からないが。

こういうのを見ていると、一体どんだけ時間かけてこの展示場セッティングしたんだろう…と気になってしまう。大人になるとアレコレのコストとか時間とか想定したくなるんだよな。どのイベントにも言えることだが。

そして、冨樫先生の書き下ろしメッセージが展示されていた。あの独特の冨樫文字(とぼくはいつもそう呼んでいる)に、涙目がやけにかわいい冨樫犬のイラストが添えられていた。冨樫先生ホント腰無理しないでくださいね。

◆展示

主に『幽☆遊☆白書』『レベルE』『HUNTER×HUNTER』の三作品に大きく分かれて展示。その他冨樫先生が生み出したクリーチャー特集、連載前のデビュー読切、今回の描き下ろしキービジュアル原稿、数名ゲストによる寄稿、本展示会で初公開された衝撃描き下ろしイラストが展示されているという、まさにこの展示会が冨樫義博ヒストリーの具現化と言ってもいいくらいディープな内容だった。マジのガチで。

当然生原稿は展示されているがこれが尋常じゃないくらい多い。そりゃあ画業35年やっているのだから多くて当然なのだが、生原稿すべてを舐め回すように堪能するなら3,4時間くらいかかる。今回あいにく客が多すぎてなかなか列が進まず(そりゃあ見入るしかないよね)、気になる原稿以外はさっと見てしまったのは断腸の想いに浸れるのだが、まあ、そんなわけだから早い時間帯に来訪することを強くオススメする。夜だとRTA状態になっちゃうから。

生原稿以外には作品解説があり、これは当作品を知らない人でも魅力が伝わり読みたくなる活力があった。生原稿と併せ、今回のをきっかけに是非とも冨樫先生の作品に触れてみるのもいいだろう。大体「あっこれかぁ!」という名シーンの宝庫だった。
また、ルーズリーフに描かれたネームも一部展示されていた。幽白はもう30年前の作品だから、その当時の資料が特別展示されているのはなんだか感慨深くあるし、鉛筆で描かれていると生原稿よりも生だなと感じられた。だってルーズリーフのほうが漫画原稿用紙より身近なものだから。
他にはやけにでかい水見式のコップがあった。

そしてこちらが唯一の撮影可能スポット。Twitterでこればかり見かけたので「あっこれかぁ!」ってなった。記念にどうぞ。

◆迫力

今回の展示で一番印象的だったのは、やっぱり生原稿は迫力がダンチですごすぎる。ジャンプ本誌よりも大きい漫画原稿用紙が展示されているから当然なのだけれど、中でも見開きページはコミックスとは断然印象が違い過ぎたのが意外な大発見だった。
特にGI編のレイザーさんとのドッジボールは読者にボールが向かってくるような迫力があってびっくりした。他にも「なんだこれは!?」ってなるものが数えきれないくらい多いから、これは実際に見ていただきたい。たかが原作で既に何度も見たシーンだとはマジに侮れない魔力を秘めているのだ。散々ネタにされたゴンさんのアレも、改めて見るとかっこよすぎて名シーン以外の何者でもなかった。

他にも印象的だったのは、もうこればかりは多すぎるので特に印象に残ったものを挙げておく。

鴉の「トリートメントはしているか?」の髪の美しさ。

ジャンプ本誌では気付かない執念深い黒ベタの塗りっぷり。

メルエムの「この瞬間のために生まれて来たのだ…!!」のホワイトの使い方。

特に三つ目のメルエムのソレは、10年前にジャンプ本誌で読んだときも「すげえ作画力入れているなあ」と印象深かったのだが、これはホワイトを使っていたからだと判明しており、まあそうはなりますよねと納得なのだが、あまりにも芸術すぎる匠のある使い方だった。アナログ原稿の温かみを強く感じられた。

というか、今回の展示で一番力を入れていたのはメルエムとコムギの最期なんじゃないかな。あそこめっちゃ力入れていたもん。そこに至るまでは展示の壁はだったのだけれど、視覚もを失い僅かな命を闇の中で生きるふたりを反映するように黒の世界へ一転する。例の独特な台詞シーンも相まって、今展示の感動的なエモーショナルを提供した。マジ必見です。

◆資料

冨樫メモに基づいた念能力設定資料が今回初公開された。これはハンターファン必見だ。「あいつ○○系だったの!?」「えっこうだったの!?」「なんそれ!?!?!?」という情報を知ることができる。
また、王位継承編の登場人物まとめ(※第390話時点)も分かりやすく展示されていた。これこの場でしか見れないのか~、片手に読みたいなあ、そんな人に朗報がある。

それらの資料はこの公式図録に収録されているのだ。
ハンターの公式ガイドは2004年に刊行されたハンターズガイド以来なので、この公式図録はぶっちゃけマストバイアイテム。2500円もするけど、本展示物の生原稿や紹介文、冨樫先生の書き下ろしメッセージもこの図録一冊にまるごとまとめてあるので、余韻に浸れるように読み返せるから絶対買ったほうが良い。なお肝心の在庫についてはどっさり用意されていたから品切の心配はしなくていいだろう。
因みに物販は展示物の後にある。ここではチケットが必要になるのでなくさないように注意。

◆特典

展示物を見終わった後に入場特典がランダム配布された。こちらは天空闘技場のチケット。他には暗黒武術会やレベルEの甲子園のチケットがあるらしい。

裏面には来場記念証って堂々と書いてあるな。

◆雑感

その他思ったこと雑感や注意点とかテキトーに。

・当然だが展示場内はトイレがない。上述した通りすべて見終わるのに数時間かかるし、途中で引き返すこともできない。事前にウボォーさんみたいにたくさんオシッコして、コルトピみたいにたくさんウンコしておこう。

・レジ袋は10円だが、本展示会のロゴが使われている貴重品だったりする。欲しかったらもらっておくといい。

・コラボカフェ的なものもある。あいにく時間と金銭余裕がなかったので今回割愛。

・冨樫先生の処女作「てんで性悪キューピッド」は冨樫先生の中では「あれはウ冠の富樫さんが描いた作品」という扱いになっている逸話があるのだが、なんだかんだ言ってフツーに展示されていた。まあデビュー作も紹介しているんだし、謎の空白期間を作るのもな。いちおう文庫版も出ているんだし。ていうか、初めて存在を知った人は展示されていたまりあのケツを見てどう思ったのだろうか。

・この日一番印象的だったのは、8さいくらいの男の子がポックルさんのトラウマシーンをまじまじと眺めていた。一体なにを思っていたのだろうかものすごく気になって仕方なかった…

・というか有名なシーンばかり網羅されているので、こうしてまとめてみるとトラウマ博覧会じゃねえか。


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