許してあげて。でも、許せない。

そろそろ許してあげてもいいんじゃない??
こんな『私』を。

私はドラマや映画やアニメといった映像作品の類いがすごく苦手で、芸能人にもまるで興味がなかった。
映像作品では見なくともバラエティーに出演している芸能人を見れば顔や名前は覚える。
けれど、そこまで。
『この人おもしろい人だな。じゃあ、出演作品を見てみよう』とはならない。

そんな私が、Hey!Say!JUMPにハマった。
きっかけは妹ちゃんが伊野尾慧くんを好きになり、コンサートのDVDを買って『一緒に見よう』と言われたのが始まりだった。
そこから一週間、毎日、二時間弱のコンサートDVDを見た。
そしたら、彼らのキラキラしたオーラから目が離せなくなり、有岡大貴という推しもできた。
二十五歳を過ぎてジャニーズにハマり、コンサートにも行くようになり、部屋はグッズや写真やCDやDVDがあふれている。

ただ、そんな自分を『許せない』のだ。
『いまさらアイドルにハマるなんて、おかしくない?』
『二十五歳を過ぎて、雲の上の人を好きになるなんて変だよ??』
『そんなに写真やグッズを集めて、どうするの?』
自分の中で声がする。
私、おかしいの??

アイドルを好きになること自分を許せないとなると、ほかにも『こんな自分が許せない』という思いが噴出してきた。
今年で二十八歳になるのに、メロンソーダを好きな自分が許せない(子供っぽいから)。
三時のおやつが欠かせない自分が許せない(大人はお菓子を食べないから)。
電話が苦手な自分が許せない(セールスにもスマートに対応できないから)。
こうなると、芸能人に興味がなく、映画やドラマを見れない自分も許せなくなってくる。
名作と呼ばれる作品を読まない自分も許せない。
髪を伸ばせない自分も許せない(短いのが好きなだけなのに)。

こんなに許せない自分がいて、いったい私は自分に何を課しているのだろう??
いつからか『大人になったらこんな自分になっている』という理想が膨らんでいき、そうじゃない自分が許せなくなっていた。
精神疾患を患い、薬を飲み、自立することもままならず、日々悶々とする毎日。
『こんなの、私が求めた自分じゃない!』
そんな叫びが聞こえる。

『自分で自分を許せない』というのは溜まっていく。
理想が高くなくても、ある程度の人生設計を持っていればぶつかり、うまく消化できないものだと思うから。
じゃあどうしたらいいのか??
正直に言って、分からない。

ただ、私は今もHey!Say!JUMPが大好きで、この原稿をメロンソーダを飲みながら書いている。
そろそろ許してあげてもいいと思ってはいるけれど、そうはうまくいかない。
分かってるのは、そんな自分が許せなくても、好きなものはかんたんに嫌いにならないし、嫌いなものはかんたんに好きにならない、ということだ。

これからも私はHey!Say!JUMPを聴き続けるし、映画やドラマやアニメは見ないし、ドリンクバーでは真っ先にメロンソーダを飲む。
髪は短いままだし、精神疾患はかんたんに良くならない。
『許せない自分』を抱えながら、心のどこかで『もう、いいのに』と思いながら、生き続ける。
まあ、それも『自分』なんだよ、な。

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