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変容の年2023年:「Nature Remoシリーズ」の値下げに込めた思い

皆さん、ご無沙汰しています。

2023年冒頭にnoteを書き、そこで僕はこのようなことを書いていました。

2023年は徹底的に結果にこだわり、「変容」した姿を結果で示す年にしたい。謙虚に現実を受け止め、その上で成長のために変容し続ける。そして、結果につなげ、成果を残したい。

早いもので2023年も5ヶ月が経ちました。年初に発表したHome Energy Management System(HEMS)であるNature Remo Eのオートメーション機能(エコキュートとEVPSの自動制御)の実現に続いて、2023年6月1日からNature製品の販売価格を改定し、値下げをいたしました。

■対象製品と改定後の販売価格
Nature Remo mini 2(Remo-2W2):5,480円(税込)
Nature Remo mini 2 Premium(Remo-2B2,Remo-2N2):5,980円(税込)
Nature Remo 3(Remo-1W3):9,980円(税込)
Nature Remo E lite(Remo-4W1):14,800円(税込)

これは、Natureとして、

①   電気料金高騰で苦しむご家庭を支援する(短期)
②   Nature Remoを普及させて需給調整のインフラを構築する(長期)

ということを目的に、目の前の利益率を犠牲にしてでも、日本の電力の未来に投資するという思いで実行に踏み切りました。

現状の国内電力供給の課題


今の日本で起きている電気料金の高騰は、化石燃料の調達費用の増加が主因になっています。化石燃料を持たない日本においては、ガス、石油、石炭という燃料資源は諸外国から調達するしか術がなく、2022年度においては20兆円を超える過去最大の貿易赤字となりました。石油製品や液化石油ガスも含めた燃料全体でみると輸入金額は77.0%増の35兆1924億円でした。輸入総額に占める割合は29.1%にも上ります。(出典:日本経済新聞)

貿易収支の赤字幅推移

根本的に化石燃料を持たない日本では火力発電所に依存した発電インフラを維持し続けることには相当の対外コストがかかるばかりか(そして炭素税の導入によりこのコストはさらに膨らみます)、将来的には日本のエネルギーセキュリティへの課題へと発展しかねない問題です。つまり、日本こそ、より抜本的な再生可能エネルギーへのシフトが必要な国なのです。

また、昨年から電力需給の逼迫も大きな課題になっています。今夏も、東京電力管内では、予備率が3.3%まで低下することが見込まれています(予備率が3%を下回ると需要と供給のバランスを整える「同時同量」の原則が崩れ、電気の周波数が崩れて正常な電力供給が困難になります)。これは、原子力発電所の再稼働がされない状況下で老朽化した火力発電所の撤退が続いていることから起きています。ここでも再生可能エネルギーを主体とした分散型の電力インフラをいち早く構築していくことで必要な電源リソースを確保することが有力な解決策になります。

もちろん、原子力発電所の再稼働ということも短期的な解にはなり得ますが、歴史的に日本では福島原発事故や広島や長崎での原爆被害を経験しており(僕自身広島出身ということもあり、幼いころから原爆の被害がいかに悲惨なものであったという話は聞かされて育ちました)、国民の原子力発電に対する反発が根強いのも事実です。だからこそ再生可能エネルギーを国内で普及させるだけではなく、それを日本の主力産業として育てていくことが大事なのではないでしょうか。

最大で42%電気料金を値上げ


2023年6月1日から、大手電力会社の電気料金が以下の通り値上がりします(出典:日経新聞)。値上げ幅は様々ですが、最大で42%もの値上げとなっており、かなり大きな影響が家庭に生じます(さらに、9月以降は、激変緩和対策という国からの救済措置が終了するので、さらに影響は大きくなります)。

電力7社の標準家庭の値上げ幅

このような状況下、「より多くの方にNature Remoをお届けし、節電に役立ててほしい」という思いで、今般価格改定を行いました。

Nature Remoのオートメーション機能を使って、就寝中に自動でエアコンを操作した場合、年間で4,000円ほどを節電することも不可能ではありません(もちろん、ご利用方法や電気料金プランによりこの効果は大きく異なります)。年間で4,000円節電することが出来れば、今回の値下げにより、Nature Remo mini 2であれば1年半、Nature Remo 3であれば2年半ほどで元が取れる金額となりました。日中も、GPSと連動したエアコンの自動制御や照明の自動制御も利用すれば、さらに電気料金を節約することもできます。

<年間4,000円ほど節約する場合の試算>

「前提」
就寝時間にエアコンの温度を2度上げる(夏)、2度下げる(冬)ことで、節電を行う。就寝中は手動で操作ができないため(ハイエンドのスケジュール機能を搭載していないエアコンを想定)、就寝中の自動操作に節約できた金額はNature Remoによる効果と言える。

就寝時間は、24:00-6:00の6時間とする。
夏と冬はそれぞれ以下の期間とする。

夏:62日(7/1〜8/31 の 2ヶ月間)
冬:59日(1/1〜2/28 の 2ヶ月間)

暖房の設定温度を2℃調整すると、約0.2 kWh/hの節電効果がある。また、6月1日以降、東京電力「従量電灯B」プランにて、電力量料金は以下となっている。
〜120kWh:30円/kWh
〜300kWh:36.6円/kWh
300kWh〜:40.69円/kWh

「試算結果」
夏:62day x 6h x 0.2kWh/h x 30円/kWh = 2,232円
冬:59day x 6h x 0.2kWh/h x 30円/kWh = 2,124円
合計:2,232円+2,124円=4,356円

東京電力管内では夏の予備率3.3%


前述の通り、関東では原子力発電所の再稼働の遅れ、火力発電所の定期点検等により、今夏の予備率は3.3%まで低下すると言われています。また、国内の火力の約3割は40年以上がたって老朽化しており、実際2022年では212件の故障など計画外の理由による火力の停止が発生しています。これは過去最高を記録で、現状電力の供給が極めて不安定な状況にあります。

この電力供給の余力を示す予備率というのは、最も需給が逼迫するタイミングで発生します。Natureは、スマートホーム製品を使って、家庭の家電をこの逼迫緩和のためのインフラ(バーチャル発電所)として活用するというビジョンを持ち、創業以来デバイスの開発・販売や電力会社の顧客向けにデマンドレスポンスの取り組み(電力需給逼迫時に、電力会社のお客様に対して電力需要を下げることに協力を要請し、実施された場合はそれに合わせて対価を支払うもの)を実施することに力を入れてきました。おかげさまで、既にデバイスの累積販売台数は55万台を超え、デマンドレスポンス事業の方でも、関西電力、NTTドコモ、TGオクトパス(東京ガスと英電力ベンチャーOctopus Energyの合弁会社)に対してサービス提供を行なって参りました。

日本のような国の隅々まで行き渡った安定的なインターネットインフラを持ち、化石燃料資源を持たない国においては、需要側のデバイスをグリッド(電力会社が管理する電力供給システム)に繋ぎ、「バーチャル発電所」を構築することは、ピーク発電所の代替になる有力手段です。Nature Remoが普及すればするほど、Natureの「バーチャル発電所」は大きく成長し、石油やガスなどの化石燃料が主体のピーク発電所に置き換わっていく可能性を秘めています。

まずは、「節電」から。今後は、「バーチャル発電所」へ。


Nature Remoはもともと日本の重要な社会インフラとして「バーチャル発電所」を構築するという構想で作られた製品です(なんでNature Remoを作ったのか。)。より大きなバーチャル発電所を作り上げるためには、まずはユーザーにとって便利で快適な製品として、受け入れてもらう必要がありました。そのため、とにかく顧客と向き合った製品開発を続けてきており、結果として非常に高いユーザー評価をもらえる製品に成長しました。

一方で、Nature Remoの普及の最大の課題となっていたのは、価格でした。そして今では目の前の大きな電気料金の課題が発現しました。加えて、ようやくNatureの構想してきた「バーチャル発電所」を創り上げる下地が日本でもできつつあります。だから今、NatureとしてNature Remoの販売価格を限界まで引き下げ、より多くの人に手にとってもらい、次なる事業展開に賭ける決断に至ったのです。

さぁ、まずはNature Remoを活用した節電に取り組んでみませんか。そして、Natureと一緒に、日本の電力の安定供給を守るためにも、バーチャル発電所を一緒に創っていきませんか。

変容の年として位置付けた2023年において、今回の価格改定を皮切りにいくつかの発表が控えてます。今後のNatureにご期待ください!

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