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電力小売の反省と肉体改造

電力小売事業の撤退を通じて

創業当時からやりたいと思っていた電力小売事業の撤退は自分でも色々と事業との向き合い方について考えさせられた。

その電力小売事業での一連の出来事を通じて感じたのは、

1. 自分でコントロールできるもの(プロダクト)
2. 自分でコントロールできるが、環境の影響も受けるもの(売価、原価)
3. 自分でコントロールは多少できるが、環境の影響が大きいもの(法制度)
4. 自分でコントロールできず、環境に左右されるもの(疫病、戦争、天災)

をしっかりと理解した上で、コントロールできるものをいかに評価・改善し、コントロールできないものをいかに観測・管理する(または埋め合わせる)かということの重要性だった。

今回の電力事業で言うと、コロナウィルスからの経済復旧で天然ガスの需要が一気に膨れ上がり、ガス価格が高騰。日本での電力のエネルギーミックスの中では、ガス火力発電は3割か5割を占めており、その影響がダイレクトに電力の市場価格に跳ね返ってきたのだ。

当然、長期的に見れば脱炭素の流れで石炭火力からガス火力、さらには太陽光や風力とい再生可能エネルギーへの転換は想像するにに難しくなかった。だが、コロナウィルスの拡大からの脱炭素を全面に打ち出した経済復旧の中でその流れは、3~5年は加速されたのではないかと思う。

そこに加えて、ウクライナ戦争が始まり、ヨーロッパにガス供給の重大なパイプラインからの安定的な供給懸念からガス価格の高騰はさらに勢いを増した。ガス価格の高騰を追いかけて、電力会社のガス火力発電所の応札価格をスポット価格をベースにすることが認められ、ガスのスポット価格の高騰=日本の電力市場の高騰という構図が出来上がってしまった。

そうまさに上記の3と4の中で、自分達ではどうしようもない展開がどんどん進んでいってしまったのだ。

要するに、複雑系の問題に対処する上で、コントロールできないものへのリスクの認識とそれに対する対処が十分にできていなかったというのが自分自身での反省だった。

自分のエネルギー収支のコントロール

この教訓を何かの実践に活かせないかと考えたときに、兼ねてから実践してた自分のトレーニングを題材にして実験してみたいと思うようになった。

それで、3ヶ月の間、自分自身のエネルギー収支について、コントロールできるものを評価・改善し、コントロールできないものを観測・管理することで肉体改造を実践。

目標がないとやりづらいので、自分のエネルギー収支を管理して、体重53kg/体脂肪率 9%を3ヶ月で切ることを目標に設定。始めた当時は、体重60kg、体脂肪率14%だったので、体重7kg減/体脂肪率5%減が目標だった。

1. 自分でコントロールできるもの(食事・運動)
2. 自分でコントロールできるが、環境の影響も受けるもの(会食)
3. 自分でコントロールは多少できるが、環境の影響が大きいもの(仕事)
4. 自分でコントロールできず、環境に左右されるもの(体質)

自分のエネルギー収支の場合では、コントロールできないものとは、体質であり、コントロールできないわけではないが拘束時間を含めて外部の環境の影響が大きいものには仕事がある。また、自分の意志だけでは完全にコントロールしきれないものとしての会食。一方で、日々の食事や運動については、自分の意志次第でどうにでもなるのでコントロールできるものだ。

定量化して観測することが大事

実際に自分のエネルギー収支をしっかり管理し、当初立てた目標を実現すべく日々取り組む上で、なんと狙った通り、3ヶ月で目標を実現。

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定量化して観測することで改善のスパイラルを回していけることを強く実感した。

それはどういうことかというと

・定量化して観測すると、分析したくなる
・分析すると、仮説を立てたくなる
・仮説を立てると、実践して結果を知りたくなる
・結果が出ると、継続してさらに結果を出したくなる

という連鎖が生まれるのだ。これは自分自身のエネルギー収支のみならず、いろんな複雑系の問題に対処する上で有効な手段なのではないかと思う。

電力小売事業において考えても、より小まめに顧客単位のユニットエコノミクスやCPAをモニタリングしていれば、目の前に起きている変化に敏感に反応することができ、改善するための初手を打つタイミングが速くなったのではないかと思う。

シンプルなKPIを明確に設定し、それを追いかけることの重要性。事業を立ち上げてまもないタイミングでは、いろんな課題に対処する必要があり、おざなりになりがちではなるが、この基本に立ち帰ることの重要性を改めて痛感させられた。これを電力事業で実践したとしても、電力小売への参入を踏みと止まるということにはならなかったかもしれないが、撤退の判断はより迅速にできたかもしれない。

ここで得た学びを経営管理手法の進化に役立てたい。


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