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『公園のベンチ、啄木の歌』

いつものベンチでこの文章を書いています。ここのベンチで缶コーヒーを飲んだり短歌を作ったりしています。
啄木の歌にこんな歌があります。

公園の隅のベンチに
二度ばかり見かけし男
このごろ見えず
石川啄木『一握の砂』新潮文庫より

啄木もきっと行く宛てもなく時々公園に行って歌を作っていたのだろう。「あれ、最近あの男、公園で見かけないぞ」と啄木は思ったのだろう。啄木の歌の題材になったその「男」は仕事が見つかってあまり公園に来なくなったのかもしれないし、別の公園に行くようになったのかもしれない。読者がいろいろなことを想像することができる歌だ。

私は、いつも行く近所の公園で啄木のこの歌のことを考えていた。
水筒のお茶と缶コーヒーを飲みながら・・・。
2023・6・14  楠井花乃

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