「便利過ぎる時代」に加速する少子化

今の時代、とても便利になりましたね。

私は、20世紀の時代をそこそこ長く生きてきましたが、それゆえに今の時代の便利さは目を見張るものがあります。

20世紀の時代になくて、21世紀の時代に広く普及したこととしては「ネット環境の充実化」があげられます。

ネット環境が普及し始めた当初は、ネットを利用するためにはパソコンが必須であったため、ネットを利用するハードルは高かったのですが、2000年代後半になると、携帯電話でありながらネットが使える「スマートフォン(スマホ)」が登場します。

スマホは従来型の携帯電話(ガラケー)と比べると画面が広く、慣れると操作性も良いこと、さらにパソコンでしか使えなかったネットがスマホで利用できるため、日常生活の便利さは格段にアップします。

ちょっと分からないことがあったらスマホで簡単に調べられるし、ほしい商品があるときも、スマホでササッと操作すれば自宅まで配送してもらえます。

さらに、電子書籍をダウンロードすれば本の代わりにもなり、YouTubeなどの動画サイトも視聴できるので、もはやスマホはテレビの代わりにもなっている状態です。

このように、スマホが1台あれば、日常生活のありとあらゆることをカバーすることができますが、それゆえに、現在ではスマホ無しで生活することはあり得ない状況になっています。

21世紀に入ってネット環境が充実化したおかげで、私たちは便利な生活を思う存分満喫しているわけですが、便利すぎることは、少子化を加速させているような気がするのです。

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それでは、なぜ便利すぎる状態になるほど少子化が加速してしまうのでしょうか。

その理由は、便利な状態に慣れてしまうほど、恋愛や子育てが面倒に感じてしまうためです。

少子化を改善するにはさまざまな方法が考えられますが、根本的な対策は、婚姻数を増やすことです。また、婚姻数を増やすためにはカップルが増えることが前提です。

つまり、少子化対策に有効な方法としては「カップルを増やすこと」となります。

ここで参考にしたいのが、国立社会保障・人口問題研究所が18~34歳の未婚者を対象として2015年に実施した「第15回出生動向基本調査調査」です。

主な調査項目の結果は以下の通りです。

・交際している異性がいない 男性:69%、女性:59%
・結婚に利点がある 男性:64%、女性:77%
・独身に利点がある 男性:83%、女性:88%

※以下、理由が1位のものを掲載
・独身生活の最大の利点:行動や生き方が自由
・結婚に対する障害:結婚資金
・独身でいる理由
【18~24歳】男性:まだ若すぎる、女性:仕事(学業)に打ち込みたい
【25~34歳】男性、女性ともに「適当な相手に巡り会わない」

出典:国立社会保障・人口問題研究所
第15回出生動向基本調査 第Ⅰ部 独身者調査の結果概要
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_report3.pdf

上記の結果をまとめると、独身は行動や生き方が自由な点が良いこと、出会いを求めているものの適当な相手に巡り会わないこと、それゆえに未婚者は交際中の異性がいない人が多い、ということになります。

行動や生き方を自由にすることは私も賛成ですが、目先の自由、つまり目先の楽しさだけを満喫する生き方をしていると、少しでもつらいと感じる道のりを避けてしまいがちです。

恋愛といえば楽しいイメージが強いですが、恋愛は思いどおりに物事が進まないうえに、断られたり失敗したりすることで精神的なダメージを受けてしまうことから、「恋愛は難しいもの」ととらえ、尻込みしてしまう人もいるのではないでしょうか。

しかし、苦労に苦労を重ねた末に恋愛が無事に実ったとき、その喜びは計り知れないものがあります。飛び上がるほど嬉しい感情を経験できるのが恋愛の醍醐味といえますが、それは即座に達成できるものではなく、ある程度時間をかける必要があるのです。

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便利な時代に生きている私たちは、思っていることが即座に実現することが当たり前のように感じています。

それはとても便利なことであり、いつでも快適な気持ちを味わうことができますが、心の奥底から喜びをかみしめられる経験を味わうためには、ある程度の道のりを、ある程度の時間をかけて行動する必要があるのではないでしょうか。

なぜなら、苦労を経験したときほど、喜びは倍増するからです。

便利な時代に過ごしている私たちは、恋愛や子育てを面倒に感じてしまうことがありますが、面倒な経験をした後ほど、思わぬところから喜びを感じることがあります。

例えば、子育てはとても大変で、子供の思わぬ行動や言動に振り回され、日々四苦八苦しながら子供と接してしまいがちですが、何年かが過ぎ、子供が徐々に成長していく姿を見ていると、子供が小さかったときに子育てに手を焼いていた頃が思わず懐かしく感じることがあるのではないでしょうか。

今後も、少子化はますます進んでいくとみられます。
少子化に終止符が打たれるのはいつになるのか分かりませんが、少子化の原因が「便利すぎる時代」なのであれば、恋愛や子育てをたくさん経験してきた大人たちが、「恋愛や子育ては、コツをつかめばそんなに難しいものではないよ」ということを、恋愛や子育ての経験が少ない人たちに伝えることが大切だと思っています。

また、恋愛や子育ての経験がない人が、恋愛や子育ての問題に直面して困っているのであれば、恋愛経験、子育て経験が豊富な人たちがフォローに入る、ということも必要なように思います。

便利な時代はどんなことも簡単に済ませられるように感じますが、恋愛や子育てのように、どうしても何らかのプロセスを踏む必要があるものは、便利な時代ほど面倒に感じてしまいがちです。

しかし、プロセスを踏む必要があるものほど、その先には大きな喜びが待ち受けている、ということを理解する人が増えれば、恋愛や子育てを楽しんでみたい、と感じる人が少しずつ増えていくのかもしれません。



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