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風の音  3月14日

夜遅くになって、ごぉーごぉーと風が唸っている。

今日の日中は昨日に引き続き、ずっと気になっていた裏山の竹の手入れ。
手入れと言っても全くの素人が、小さなのこぎりを使って、
先日の雪の重みで途中で折れてしまったものや、
育ち放題になっている笹竹をどんどん切っていく。
草取りとはまた違うのだが、似ているところもあって、
やり始めると止まらない。
途中、竹を切り倒しながら奥へ奥へと竹藪に誘われるように進んでいくと、
いつの間にか笹の緑に全方位覆われて少し怖くなった。
その時もごぉーごぉーと風が吹き荒れ、それはどこか無作法に竹を切る
私に対する怒りなのではないか。そう思うと途端に背筋がゾッとし、
慌てて笹の緑の中から逃れるように日の当たるところへと急いだ。
美しいだけではない、自然に対するこの「怖い」という感覚は、普段は
つい忘れてしまっているが、大事なこと。
明るく安心できる場所に出ると、風になびく笹の葉はどうしてそんなに美しいのだろうかと思うほど、光を反射してキラキラとまぶしく輝いていた。
自分が置かれた状況やそのときの心情によって、物事の見え方や感じ方は変わってくるものだとつくづく思う。夫は出張で今夜は留守をしている。まるで荒れる波音のような風の音が耳に届いて、いい歳をしてまた怖くなる。今朝はヤマガラやシジュウカラが爽やかな声で鳴いていたというのに、暗闇に気持ちが吞まれていく。いくつになっても臆病者だ。

3月14日(木)晴れ 最高気温11℃ 最低気温2℃
雪に覆われたスノードロップだったが、雪が解ければ何事もなかったかのように、たくましく愛らしい姿をまた見せてくれた。あれ?世の中はホワイトデー。我が家にそれらしきものは見当たらない。