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『きく』創作日誌 Day 7:場所の力

どうも。長谷川優貴(@hase0616)です。クレオパトラというお笑いコンビでネタをしたり、エンニュイという劇団を主宰して脚本演出をしたりしています。


『きく』について


「きく」は元々、2019年5月に三鷹SCOOLで公演した演目です。去年は、それを再構築し、かながわ短編演劇アワードに参加。しかし、陽性者が出てしまい出場できず。

で、今年リベンジしようと思っていたのですが、まさかの応募締め切りのど忘れで応募さえできずに終わりました(笑)なにしてんねん!

でも、僕はきりかえがはやいので、だったら出場するはずだった期間のあたりで普通に会場を借りて公演してしまおうということに至ったわけです。

この作品は大切な作品です。そして今回、最高のメンバーがそろってくれました。台本も叩き直しています。初演とも、去年のコンクール用のやつとも違う新しい「きく」が出来上がります。

今エンニュイは良い流れの中にいると思います。この公演に全力をかけて挑みます。たくさんの方に観ていただきたいです。

どのように作っていくのか、「きく」とはなんなのかなど、公演まで毎日のように創作日誌的なものを書こうと思います。

SCOOLという空間

今回の公演の会場は三鷹にあるSCOOLという場所です。

SCOOLは、吾妻橋ダンスクロッシングとHEADZが共同でプロデュースするインディペンデント・スペースです。
演劇・ダンス・パフォーマンス・音楽などのライブ上演、レクチャー、トーク、そして展示など、あらゆるジャンルの“Something New”の発信地となるべく運営していきたいと考えます。

SCOOLのホームページより

三鷹駅南口を出て、中央通りを直進して約3分程。すると右手に現れる茶色いビルの5階。

エンニュイが使わせていただくのはこれで三回目です。

僕はこの会場の雰囲気が好きです。真っ白い空間で新しいことを実験している感じがする。お客さんとして初めて観に行った時もドキドキした覚えがあります。

三鷹駅降りてからの広々とした道の感じも好きです。

会場の使い方

2019年に公演した時は、真ん中をアクティングエリアにして、客席で挟むカタチにしました。

「きく」というテーマなので、対面での話し相手の仕草や表情、目線などを意識しました。客席でアクティングエリアを挟むことで、演者の向こうに観客の顔が見えます。その緊張感から対話の体験をしてほしかったのです。

しかし、今回は入り口入って向こう側の横長のスペースをアクティングエリアにしました。横を使うことにより、色々な音の響きと、動きの伸縮性を出せると思いました。というのと、去年KAATで公演する予定で普通の劇場用で作ったからという理由もあります。

今回は再演ではありません。去年新しく作り直したものがベースとなり、今回の稽古から生まれた物、初演の良いところを混ぜた完全版であり、新作です。

劇場ではないスペースで演劇を立ち上げる


劇場は、演劇作品を上演するための最も一般的な場所ですが、エンニュイは、カフェや酒蔵、小さなライブハウスなど、通常の劇場とは異なる会場で公演してきました。

会場によって、作品の雰囲気や体験が変わると考えるからです。

会場選びは、作品の雰囲気やコンセプトによって決まることが多いため、テーマに合わせた選択をすることが重要です。しかし、エンニュイは逆です、場所が先に決まり、そのあとやることを考えるということが多いです。

このような非劇場的な場所での演劇公演には、様々なメリットがあります。例えば、演出家や俳優にとっては、従来の劇場にはない創造性や柔軟性を持たせることができます。また、観客にとっても、新しい体験や刺激的な場所での演劇は、より深い感情的なつながりを作り出すことができます。

演劇好きじゃない方は知らないかもですが、アートギャラリーなどの劇場ではない場所で公演する演劇はたくさんあります。

それは、予算の問題が一番大きいと思います。劇場でやる場合には、舞台監督、照明、音響、舞台セット、、、とにかく人とお金がかかります。

相当人気の劇団でない限り、黒字にはしずらいのが現状です。

そこで、舞台監督もいらない、照明音響もいらない、セットもいらない、人さえいればできる、ギャラリーなどのスペースを選ぶ人たちが増えたわけです。

しかし、劇場以外の場所での公演には、様々な課題も存在します。例えば、音響や照明など、従来の劇場にはある程度整備されているものが、非劇場的な場所ではない場合が多いです。また、座席やステージがない場合があるため、演出やキャストの動きを考慮して、会場のレイアウトを工夫する必要があります。

でも、それと引き換えに、物理的な制約を含め、あらゆる要素の「場の力」により毎回新鮮で予想外のものを提供することができます。

様々な動きが「その場所」と、どのように影響し合うのか。また、俳優と台本がどう「その場所」に馴染んでいくのか。

その日、その場所で、その人たちでしか体験できない公演が出来上がります。

そして、ギャラリーなどの非劇場スペースでの公演は、一般的に観客数が限定されるため、より親密な雰囲気の中で公演することができます。観客が作品により一体感を持ち、より深い感情体験をすることができるため、演劇作品の醍醐味をより味わえると僕は思います。

新しい表現の可能性を広げると同時に、演劇という芸術の世界を、より多様なカタチに変化させてくれます。

知らない会場に足を運ぶことはハードルが高いかもですが、必ず刺激的な体験が待っていると保証します。そして、「場所の力」とその会場がある「街の力」を楽しんでいただきたいです。初めての会場で演劇を観て、帰りに知らない街でふらっと入ったお店で美味しいご飯で一杯なんてのも良いと思います。そういう体験も全部含めて、演劇体験です。

素敵な思いでを作れたら幸いです。


読んでいただきありがとうございました。
また『きく』についての創作日誌を書いていきます。

興味を少しでも持ったら、観に来てください。
きっと刺激的な体験が待っています。


ラジオ始めました。毎日22時にアップしてます。

エンニュイperformance
『きく』公演詳細



2023年3月24日ー26日
三鷹SCOOL
〒181-0013
東京都三鷹市下連雀 3-33-6
三京ユニオンビル 5F
三鷹駅南口・中央通り直進3分、右手にある茶色いビル5階
【脚本・演出】
長谷川優貴
【出演】
市川フー、zzzpeaker、高畑陸、二田絢乃
以上エンニュイ
浦田かもめ、オツハタ、小林駿
(50音順)
【タイムテーブル】
2023年
3月24日(金) 19:00
3月25日(土) 13:00/18:00
3月26日(日) 13:00/17:00
※受付開始・開場は開演の30分前
※上演時間約80分(予定)
【スタッフ】
ドラマトゥルク:青木省二(エンニュイ)
制作・演出助手:土肥遼馬(エンニュイ/東京軟弱野菜)・四木ひかり
映像:高畑陸
主催・制作:エンニュイ

【チケット】

<券種・料金>
劇場観劇チケット(当日精算・日時指定・全席自由)(予約・当日 別価格)
・一般 前売り¥3300 当日 ¥3500
・U-25(要年齢確認証提示) ¥2800
・エンニュイはじめて割 ¥3000
※「エンニュイはじめて割」エンニュイの公演を初めてご覧になるお客様は前売り価格より300円引きでご覧いただけます。
※「エンニュイはじめて割」は当日券でのご利用はできません。

予約ページ


【エンニュイとは?】



長谷川優貴(クレオパトラ)主宰の演劇組合/演劇をする為に集まれる場所 。
名付け親は又吉直樹(ピース) 「『アンニュイ』と『エンジョイ』を足した造語であり、 物憂げな状態も含めて楽しむようなニュアンス」
2022年11月に新メンバーを加えて、組合として再スタート

長谷川からのコメント



「文字通り、誰かの話を「きく」ことを主題とする作品です。他者が話していること、そのイメージを聞き手が完璧に共有することはできない
人間は、自己が体験したことから想像することしかできない。誰かの話を聞いている最中、私たちの思考は徐々にズレていく。言葉から連想して脱線したり、集中力が切れて別のことを考えたりするそんな、「きく」感覚をそのまま体験するような上演にしました。
僕は母親が未婚の母で母子家庭でした。親戚もいなくて唯一の家族だった母が数年前に他界しました。その時に作った作品です。亡くなったばかりの時に心配してくれた方々と話をした時にズレを感じて、話を聴く時は経験などによって想像や処理のされ方が違うのだと体感しました。別々である人間に共感を期待してはいけない。共感よりも大切なものがあるということと、他人への想像力の大切さを伝えたいです」

あらすじ

「母親が癌になった」
一人の男の語りから話は始まる。
最近、言葉が溢れていて聞き取れない感覚に陥る。
「きく」ことによってその話を「背負う」。
聞いた話の足りない情報を想像で埋める。
「きく」ことの大部分は想像。
そんな「きく」ことを体験できる公演。

2019年の初演のエンニュイ第3回本公演「きく」の感想ツイートまとめ

3月の公演へ行くか迷っている方へのご参考に!

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