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無力と無駄を楽しんだ雪の日

あまり実感することがないと思いますが。
都会にいると、人間は万能な気分になってるんですよね。
暖かい家で好きな料理を食べ、どこにでも移動できて自由に楽しめる。

自然の中で暮らしてみると、自分が無力であることをちゃんと認識できます。1つ1つは小さな問題に過ぎないのですが、そういう経験の積み重ねが、自分の価値観を軌道修正してくれる気がします。トンカチでコツンコツンと叩かれるように、価値観の方向性がゆっくり変わっていくのです。


ほんの少しの雪に手こずる

例えばということで、すごく小さな話。
先週末、久しぶりに八ヶ岳の家で過ごしました。
3月になってから何度が雪が降り、家のまわりにも積もっていました。

玄関前。20cm近く積もっている

金曜日の晩遅くに、車で到着したんですけどね。
この程度の雪でも、車を駐車場に入れられないんですよ。

一見、大したことがないように見える雪(翌朝)

特に問題なのが、入り口を封鎖している多くの雪玉。
道路を除雪した際に、脇に寄せられた雪が固まったようです。せいぜい、20cmとか30cmくらいのサイズです。しかし、これが重くて、道路と一体化して氷になっている。手で動かそうとしても、頑として動きません。夜中なので、うるさい音で雪かきすることも憚られます。
無理やり車を進入させることもできたと思いますが、スタッドレスタイヤを履いているとはいえ、うちの2WDの車では若干の不安。近所の人が、大雪のときにタイヤがスタックして駐車場から出られなくなったという話も聞いていたので、無理は禁物です。
その晩は、別の空いているスペースに車を停めさせてもらいました。

翌朝。
日が昇っても雪が解ける様子はないので、雪かきに挑みます。
雪かき用のプラスチックのスコップでは全く歯が立ちません。今年の雪は水分が多くて重く、それが氷となって固まっているのでアイスバーンのようです。仕方がないので、土を掘るためのスコップ(安定の金象印)を突き立てます。ガリガリ音を立てながら、雪を掘り起こすことができます。

10分くらい格闘していると、近所の方が犬の散歩で歩いてきました。去年はほとんど降らなかったのに、今年は雪が増えたとのこと。
その後も5分ほど格闘して、なんとか車を入れられるようになりました。
写真で見ると少ない雪に見えると思いますが、こんな雪にも15分ほどの格闘が必要なんですね。人力で雪に立ち向かうことの大変さを経験し、除雪車という発明の素晴らしさを実感しました。

でも、雪は楽しい

雪が積もっていると、良いこともあります。
中学生と小学生の息子を連れて、外へ散歩です。この時期に人がほとんどいなさそうな、清里の美し森にやってきました。

美し森の雪景色。人間と動物の足跡の競演

家のまわりの雪は固くなっていましたが、ここの雪は降った直後の状態がキープされている感じで、ふわふわ。
雪遊びには持ってこいですね。

持ち上げられる限界の重さまで大きくした雪ダルマ

20分ほどかけて作った雪ダルマは、息子のキックにより20秒で壊れました。
作って壊す、創造して破壊する。
結果だけを見ると無駄なことですが、無駄なことが楽しいんですね。

その後は、建物の軒先にぶら下がっている大きなツララを見つけては、それをへし折って遊びました。

無力でも無駄でも、良い思い出ならラッキー

せっかくの土日に、家にずっといるともったいない。
親はそんな風に考えるのですが、子どもたちは賛同してくれません。家でゲームができればいいや、そんなつまらないことを言います。

かといって、週末のたびに面白い場所に連れていくのも大変です。
見どころがたくさんある八ヶ岳南麓ですが、1年間通い続ければ子どもたちを誘うネタも尽きてきます。

でも、とりあえず出かけてみるというのが大事ですね。
知らないところに行けば新しい発見があるし、同じ場所でもシーズンによって景色が全然違う。そういう小さな冒険ができれば、無力でも無駄でも本当にラッキーだったなと感じた週末でした。

雪遊び帰りに清里の森の農園カフェで。写真が下手ですが、スパイスの香りがすさまじい絶品。

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