恋と料理の相乗効果

難易度の高い対談構成の仕事があって、うんうんと頭を使いながら、洗濯機を回したりして、そわそわと過ごす。夜に、すこし久しぶりに恋人が家に来てくれる。会えてうれしい。といっても、10日くらいぶりなんだけど、ぼくはそれを「久しぶり」とすんなり書いているところは、どうにも胸がよじれる。

だれかのために料理をするのは、とてもたのしい。あれこれと献立を考えるのは、日常にある知的な喜びのひとつだ。

寒いからお鍋にしよう、前に食べたあの味が美味しかったからこれにして……あぁ、彼女が好きなサーモンがお買い得だから、昆布茶ですこし締めておいてオニオンスライスを添えて……ポン酢がないけどお正月の柚子が残っているから、絞り汁にお醤油とオリーブオイルで代用できるかな。

そんなふうに、誰かを思い浮かべながらつくったご飯を食べてもらって、「美味しいねー」と微笑んでもらうことは充実感も達成感もある。恋と料理の相乗効果は、すごくすごく豊かな人生の過ごし方のひとつだとおもう。ぼくにとっては恋をする理由のひとつに挙げてもいいほどの楽しみがある。もちろん、つくってもらえることもうれしい。

なにより、料理は飽きない。工夫をすれば、今日も、明日も、明後日も、ぜんぶちがう試みをしながら、あれこれ話したり思ったりすることができる。「男をつかむには胃袋から」なんてベタな恋愛アドバイスがあるけれど、あれは何も「男は料理をしないから一緒にいる理由ができる」とか「味を思い出すから寄ってくる」みたいなことだけでなくて、シンプルに「毎日の喜びと会話のネタが増えていく」という良さがあるんじゃないだろうか。

こんなこと一度も考えたことないし、いま思いついたまま書いているけれど。そのうち、クリームシチューをつくる予定です。

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