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ヤマチクの「世界一大切なお客様」

こんにちは。熊本県南関町で60年間、「竹の、箸だけ」を作り続けているヤマチクの3代目、山﨑彰悟です。

2023年8月17日(木)、ヤマチクにとって「世界一大切なお客様」がいらっしゃいました。

私の投稿をご覧いただいて「どんなVIPが来るのだろう?」と疑問に持たれた方もいるかもしれません。この日やってきたのは、社員の子ども達です。

「しごと参観」をやろう!

私は常に「ヤマチクの仕事は世界に通用する価値ある仕事」と社内外で発信しています。
社員さんの子ども達もテレビ放送などでヤマチクの特集をみて「お母さん達はどうやらすごい仕事をしているらしい」とふんわり知っています。
でも普段、子ども達はお母さんお父さん達が働いている姿を見る機会がありません。見るのは疲れて帰ってきた姿だけ。


子ども達が学校で勉強している様子を親が見に行く「授業参観」のように、子ども達を職場に招待しよう。
普段お父さんお母さん達がどんな環境で働き、どのようにお箸を生み出しているのか見てもらおう。世界に向けてお箸を届けるお母さん達の仕事を体感してもらおう。
そう思い立って「しごと参観」という企画しました。
それに夏休みの「えにっき」のネタにもちょうどいいのではないかと。

早速、社員の子ども達に招待状をお送りしました。

はじめて見る「いつもと違うお母さん」

そして8月17日(金)、「しごと参観」を実施しました。
小学生から高校生まで、総勢11名の子ども達が「参観」に来てくれました。
みんな普段BBQなどで遊びに来ることはあっても、「お客様」としてもてなされるのは初めて。いつもと違う雰囲気にワクワクと緊張が入り混じった表情をしていました。

普段との雰囲気の違いを察する子ども達。

イントロの注意事項を終えて、工場の中を案内しました。
そこには見たことのない機械がズラリ。そしていつもとは違うお母さん達の姿が。
作業の説明も、お母さん達が直接しています。その説明を真剣に聞く子ども達。

お母さん達を見る真剣なまなざし。

実際に体験もしてみて、その難しさを実感していました。。
自分のお母さんが作業していると、子ども達は少し照れくさそうにモジモジ。
箸の成形、塗装、パッケージ。どの工程を見ても、子ども達は驚いていました。
「スゴイ・・。スゴイ・・。」
お母さん達も嬉しそう。

塗装を体験する子ども達。見た目以上に難しく母の偉大さに気づく。
okaeriのパッケージ作成も見学。
検品作業も体験。「どこがダメなの?」を連呼してます。


自分たちでお箸を作ろう!

工場の見学を終え、最後はお待ちかねの「お箸作りワークショップ」
自分でデザインを考えて、お箸を塗装していきます。
みんなお箸作りに真剣に取り組んでました。

カラフルなお箸に挑戦中
普段やんちゃなのに、めちゃくちゃ繊細なデザイン。
お姉ちゃん組は、色を自分で調色。

お母さん達は簡単にやってたのに・・。
見るのと実際に作るのは大違い。お箸作りの大変さや難しさを噛み締めながら取り組んでいる子もいました。

完成したお箸はお母さん達が仕上げて後日プレゼント。

ともあれ子ども達はみんな大満足の様子。
最後に今日の見たことや感想を、お母さん達へのお手紙に書いて欲しいとお願いしたら、みんな喜んで書いてくれました。その場で渡しに行く子もいて微笑ましかったです。

なぜ社員の家族が「世界一大切なお客様」なのか?


「しごと参観」を、今月の私の「最優先事項」として位置付けていました。
この日だけはお打ち合わせなどが入らないよう、完全にスケジュールをブロック。
ファクトリーツアーも他のスタッフに任せることなく全て自分で行いました。
準備もいつも以上に入念です。名札の仕様や準備するお菓子、書いてもらう手紙のデザインに至るまで事細かに指示を出しました。
「しごと参観」は売上につながる企画ではありません。でもここまで真剣に取り組むのは、社員の家族が「世界一大切なお客様」だからです。

子ども達のお箸作りをお手伝いするも「なんか違う」と言われる。

私の至上命題は、ヤマチクの仕事を、働く人たちが物質的にも精神的にも「やりがい」を感じてもらえる仕事にすることです。

「物質的なやりがい」は給与や労働環境「精神的なやりがい」とは自分の仕事に誇りや自信を持ち、自慢できることと私は定義しています。

この2つの「やりがい」は両輪であり、どちらか欠けてもダメだというのが自論です。働いている人たちが「やりがい」を感じない職場で、「いいもの」が生み出されることは絶対にありません。

社員の家族は、社員たちの「精神的なやりがい」を支える大切な応援団です。
働くことはいいことばかりではありません。大変なことにもたくさんあります。
猛暑の中ぐったりしたり、ミスをして凹んだり。
そんな心身ともに疲れた状態で、

「大変な仕事だろうけど、頑張ってね!」
「こんな使いやすいお箸作れるってスゴイね!」
「お母さんもお仕事頑張ってるし、お利口にお留守番するね!」

親や子ども達からこんな言葉をかけられたらどれだけ嬉しいでしょう。

逆に家族から、

「お母さんみたいな仕事は絶対したくない」
「そんな仕事、早く辞めて転職しなさい」

と言われたら、仕事に誇りなんて持てるわけがありません。

家族の理解と応援があるから頑張れる。

「もっと良い仕事をしよう!」
「家族に誇れる仕事をしよう!」

そうやってヤマチクの品質も仕事の価値も上がっていきます。
いわば、ご家族はヤマチクのお箸の品質を支える「精神的支柱」
親御さんやお子様達のおかげで、ヤマチクの事業は成り立っています。

だから私は社員の家族には頭が上がらないし、世界一大切にすべきお客様なんです。

後日談

「しごと参観」の翌日。社員さんがこんなことを教えてくれました。

「しごと参観があった日の夜は、いつも以上にお手伝いをしてくれました。働いてるところをみて、気を遣ってくれたんですかね。笑」

来年もまたやろうと思いました。


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