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「ジャイアント食堂」になった八戸市美術館の「ジャイアントルーム」

何だかんだで3回目くらいの八戸市美術館。居間シアターのジャイアント食堂をじっくり体験させてもらいました。備忘録的に写真と印象だけアップしておきます。

ジャイアントルームを中心に丸一日開館&多数のプログラムを実施

八戸市美術館は通常は10:00-19:00開館。エントランス・ショップ・フリースペース(打ち合わせやイベント利用をすることもある)・稼働壁を兼ねた収納/倉庫(一部)などを包摂する空間「ジャイアントルーム」は、特に何も行われていない時も解放されているようですが、今回の企画は時間も8:00-21:00に設定しこれを使いたおす意図であることは明らか。演出・構成を担当したのが、これまで何度か作品を見たりレビュー、インタビューなどを担当させてもらったこともある居間theaterさんでした。

外にはのぼりを設置。ゆるめなデザイン、イラストつきの矢印も貼り出し。
レールに沿って動く収納つき可動壁を大きく両端に寄せ、仕切りとしても使えるカーテンは装飾的に使用。キャスター壁に絵画をかけ、テーブルと椅子を食堂風に配置。
長さを短く調整できるカーテンを手すりにかけて使用
取り外された部分(可動壁にセットしやすい仕様になっている)
メニュー(出店者の紹介)と「台本」が机に置かれていました
寄せられた稼働壁は微妙に裏導線が確保される位置に
手前のホワイトボード面はお絵描きスポットに
ジャイアントルームとつなげて使うことができる「スタジオ」。仕込み多めのプログラムに使われていました。小田桐咲さんのカンフー体操教室でスタート。
BeFM「まりなのラジオでおよよよよ~♥」の公開収録
奥の大展示室「ホワイトキューブ」は次回展の設営中で立ち入りできないけど見える状態
「ブラックキューブ」にはイントロダクション映像。くつろぎスポットになってました。
窓際に設えられた席で過ごす人
電源もある一角で過ごす常連風の方々
貸し館に適したサイズの「ギャラリー1」では学生のポスター展を開催中
右手の可動壁は2枚が回転するだけなのですが多くの方はこれで十分という典型例
ジャイアントカラオケタイム
𡈽方大さんらによる「エルゴン? パレルゴン! 額縁をつくろうワークショップ」
大人気の様子でした!
屋上の食堂感!天気も良すぎで利用率低めの様子でしたが昼寝をしている人も
キッチンカーエリア。祭りの時は山車が2台入るサイズになっているとのこと。
椅子や椅子的に使える場所がたくさん。
奥の方は人の流れがゆるやか
日差しが強い時間帯は人気スポットに。その様子を撮影する建築家2人。
メインと逆サイドの入口。館内の出店写真はここくらいしか撮ってませんでした。
「ジャイアントビンゴ!」が最初の集客ピーク
幕間などに「インストーラー」が現れキャスター壁を動かして空間を変化させたりする
パフォーマンス風に赤いテープを貼ってまわつたりしているところ
午後いちの青森・八戸武術クラブ(カンフー演武)
ここか館鼻岸壁朝市公認アイドルpacchiのライブ辺りが集客ピーク?
夕暮れはじめの時間帯。徐々にスタンドライトが立ち、カーテンが垂れて頭上に迫り、キャスター壁は緩やかに列をつくり空間が広がる。
「マリに行きたい二人」の生演奏や大谷能生さんのDJにJasmineさんのベリーダンス。大谷さんのアクロバティックな演奏にも即興的に合わせるダンスに笑いも起きる不思議な雰囲気に。
額を持つ居間・山﨑さんの動きと、居間・稲継さんのマイクを通した台詞の読み上げ(内容は美術館やジャイアント食堂の狙い的なもの)が加わる。
「パフォーマンス作品を見る」一体感のある雰囲気ができ、とてもいい時間でした。
トリのトルホヴォッコ楽団は安定感あるパフォーマンス。目がけて来た方が多そうでした。

最後の最後の方はこんな感じだったっぽいです。館長のツイートより。

1日体験してみての印象

ジャイアントルームというパブリックスペースの基本機能+αに食堂という基本機能を与えながら、1日の時間軸の中でその性質をゆるやかに変化させていく(あるいは、来館者のアクテビティにより変化「していく」)。

ひそかに用意されていた台本がその象徴なのですが、完全にコントロールができない環境の中でも、(人により響くものは違えども)強度のある時間、公共施設としての美術館の可能性が生まれていたと思います。正にここでしかできないやつ。

アートファーマーさんの建築ツアーや、設計をJVで担当された西澤徹夫さんのツアー(関係者に便乗)にもこのタイミングで参加できて、理解が深まりました。

居間シアターはすみゆめでも企画を仕込み中とのことで秋が楽しみです。編集させていただいた関連インタビューはこちら

(2022.6.28.追記)ちなみに小規模多機能型アートセンター系の基本設計プロポには、アーツ前橋の仕事(普通にイベント、記録、広報物制作など)をいただいていた2014年頃から興味があり、建築チームにお誘いいただいて参加したこともあるのですが勝てたこと無し。秋田はそこまでの話では無かったのでまた挑戦してみたい。

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