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(こんな時だから)岡山のおすすめ/行きたい

※2018年9月、2022年8月に加筆修正しました(主に「大手まんぢゅう(饅頭)」「むらすずめと藤戸饅頭」「美咲町の奇祭 護法祭」など)

平成30年7月豪雨で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

私の実家は岡山県岡山市(最寄駅:JR東岡山、被害の多い高梁川水系とは異なる県南東部)にありまして、市内では多少の土砂崩れや用水路の冠水などもあったようですが、7月12日現在、大きな問題はなさそうです。被害の多い地域への支援に動かれている方が多い様子です。心配の声をいただきました皆様、ありがとうございました。

2017年度より、仕事でも岡山県の地域アーツカウンシル事業「おかやま文化芸術アソシエイツ」に関わっています。来週前半にもイベントで岡山(倉敷中心市街地)入りの予定でしたが、会場が避難所になるということで年始に延期となりました。

こんな時だからこそ、岡山県はそもそもこんなところ!という私的なおすすめや自分もこれから行ってみたいと思っていたスポットなど、まとめてみました。倉敷美観地区なんかは被害の被害の大きい真備地区と同じ基礎自治体でありながらエリアが全く異なり、今すぐ訪れるにしてもほとんど問題ない状況ですので、むしろ観光へ! 詳しい情報を知りたい方は、わかる範囲でお答えしますのでお気軽にお訪ねください。

もしお役に立ちましたら、ぜひサポート(noteの投げ銭機能、最下部にボタンあり)をお願いします! 空いた時間で、真備でこのような活動をしている知人(アーティストの滝沢達史さんら)の支援(クラウドファンディングページ立ち上げなどのための撮影)のほか、継続的にボランティア活動などを行っていく予定なので、そちらで活用させていただきます。

備前

岡山県は、歴史・地勢的に備前(南東部)・備中(西部)・美作(北東部)の3エリアでよく説明されます。備前は私の実家がある岡山市、備前焼の窯元が多くある備前市、瀬戸内海の直島や豊島への玄関口となる玉野市などが含まれます。

和気 閑谷学校 http://shizutani.jp/

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江戸時代前期に岡山藩主池田光政によって創建された特別史跡。現存する世界最古の庶民のための公立学校だと言われています。質素な印象ながら上質な木造、備前焼でつくられた瓦、丸みを帯びた石垣などが美しく、350年以上も前の建物だとは思えないくらいです。森美術館「建築の日本展」では確か、建築そのものの特徴はもちろん、地域活動等のため庭が広くとられていたり、火災時の延焼などをふせぐため裏山が整備されていたりと、敷地も含めて地域の公的施設にあるべき先進的な考えの元に設計されているといったような説明がされていました。

備前焼の窯元が集まる 伊部 http://www.touyuukai.jp/

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新幹線で東京から岡山に向かうと、茶色い煙突がたくさん見えるエリアがあります。そこが備前焼の窯元が集まる伊部。車がなくても、最寄りのJR伊部駅から徒歩圏で十分に楽しめます。駅の2階が購入もできるギャラリーになっていたり、隣に備前焼ミュージアムがあったり、駅前から徒歩10分圏内くらいには、窯元直営のお店が軒を連ねていたりもします。少し離れますが、陶芸体験のできる備前陶芸センターもあり。安く買いたい!気軽に楽しみたいという方は毎年第3日曜とその前日に開催される備前焼祭りもおすすめです。画像提供:岡山県

ベネッセアートサイト 犬島 http://benesse-artsite.jp/

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ベネッセアートサイトの施設がある直島、豊島、犬島、女木島のうち、直島と豊島は香川県になります。犬島だけが岡山県で、しかも港(宝伝)が駅から遠いのでなかなかアクセスし辛いです。しかし、精錬所跡地、三分一博志の建築、柳幸典の作品が一体化した精錬所美術館だけでも訪れる価値があります。小さい島なので、その他の作品も30-60分で見ることができます。最近できたくらしの植物園も、どちらかとえば荒々しい犬島の風景の中に和やかな空間をつくりだしていて素敵な場所になっています。写真は維新派の演劇公演の時の様子(2010年)。

西大寺 会陽(はだか祭り) http://www.saidaiji.jp/eyou/

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岡山県内では最も知られているお祭りだと思います。冬の一番寒い時期に裸で男たちが棒を取り合うという、ありがちな筋書きだったりするので、県外や地元の祭り好き以外は実際に見に行ったり参加したりする人がそこまでいない印象ですが… 今年はじめて見に行ったのですが、棒をとりあう(上から落ちてくる)ための場所取りで大騒ぎするくだりまではさておき、そこから誰が持っているのかを探りながら(所定の場所に届けるまでに奪ってもいいらしい)、裸の群衆が一変、無言でうごめく異様な雰囲気が予想外でおかしかったです。いろいろと作戦があるようで、参加してみるのも面白いのかなと思いました。画像提供:岡山県

吉備中央町 重森三玲記念館 https://www.town.kibichuo.lg.jp/site/kanko/36.html

岡山空港の近くの吉備中央町は、京都の東福寺方丈庭園、松尾大社庭園などの作庭として知られる重森三玲の出身地。記念館近くの個人邸や寺院にも三玲作の庭や茶室が残っているそうです。重森の原風景だとも言われている豪渓の景色も素晴らしいです。

移住者などによる新しい動きがみえる 宇野

岡山駅から電車で1時間弱で宇野港のある宇野駅に着きます。ここまで来てしまえば、直島や豊島へ行くには高松港よりも便利な場所。のどかだけれども、島暮らしほど不便じゃない。瀬戸内国際芸術祭などの影響も後押ししたのか、移住者や、新しいことをしようと動きはじめた人たちの手で、ゲストハウスやショップ、アトリエなどが少しずつ増えてきています。宇野港を一望でき、様々な方の活動拠点になってきている東山ビル、衣・食・住とコーヒーのBollard、窯焼きピザがカウンターで楽しめるBase、宇野港前から少し離れてしまいましたが直島や豊島の情報がしっかりわかるゲストハウス虎所[lit]、少し変わった姿の方や面白写真を撮る方をよく見かけるゲストハウスUOIなど! 2022年に開業したKEIRIN HOTEL 10も面白いです。

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岡山市

少し多いので、備前とは別に見出しを立てます。

旭川にうかぶ 後楽園 http://okayama-korakuen.jp

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金沢の兼六園、水戸の偕楽園にならぶ日本三大名園。他よりもぐっと知名度が落ちる気もしますが汗、一級河川の旭川(桜並木も素晴らしい!)の中州にうかぶたたずまいや、コンパクトながら様々な景色が楽しめる庭のつくりがなかなか素敵です。岡山駅から路面電車で数分の「城下」で下車、川辺や出石町のまちなみをゆっくり歩き、景色を楽しみながらのアクセスがおすすめです。

天神山文化プラザ、岡山市民会館などのモダニズム建築

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「城下」から後楽園へ行く道すがら、少し寄り道をすると天神山文化プラザ(前川國男)、岡山市民会館(佐藤武夫)など、1960年代のモダニズム建築を見ることができます。写真の天神山は、ホールやギャラリー、練習場をそなえ、県民・市民活動の拠点となっている文化施設。私が高校生の頃は図書館が入っていて(現在は新築移転)よく通っていましたが、よく見ていませんでした汗。おかやま文化芸術アソシエイツの事務所もここにあります。

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岡山市民会館は旧NHK岡山放送会館・旧内山下小学校跡地をオープンスペース(公園)として一帯整備する方針が2022年3月に岡山市から示され取り壊し予定ですが、文化資源として生かした方がいいと考える声が増えてきています。こちらのアカウントで周知イベントなど情報配信をはじめました。協力者も募集中です!


次回は2022年秋!岡山芸術交流 http://www.okayamaartsummit.jp/

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2016年に初開催された岡山市や石川文化振興財団ほかによる芸術祭。初回では、上であげた後楽園や天神山のあるエリアなど、いわば岡山中心市街地のいちばんかっこいいエリアにコンセプチャルな現代美術作品を多く配置し、他の地域芸術祭と一線を画しています。

岡山駅近の イオンモール岡山 http://aeonmall-okayama.com/

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2014年末に開業。別にイオン好きではないのですが、郊外型ではなく、駅直結で地下2階地上8階建て(駐車場も一体)という都市型モデルということでどんなもんなのか。必ずしも順調ではなさそうですが、興味のある人はいちど見ておくのも良いと思います。

元祖集合店鋪 岡ビル百貨店 http://www.okabiru-ichiba.com/

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こちらも駅近く(イオンと同じく5分くらい)ではあります。戦後復興の動きの中で、当時(1951年)では全国的にめずらしい、1階が店舗で2・3・4階が住居という職住一体型の大型施設として建てられたそうです。老朽化が進み、テナントもだいぶ空いてきていますが、岡山唯一の小売市場として頑張っています。気軽に入れるお店としては、セルフで楽しめる松下うどんなどがおすすめです。

ものづくりやコミュニティに関わるお店がならぶ 奉還町

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いかにもな寂れた雰囲気の商店街なのですが、ぽつぽつとテナントが入れ替わっていて、飲食店、セレクトショップ、ギャラリー、ゲストハウスなどなど。ものづくりやコミュニティに関わる小さな場がだいぶ増えてきました。ゲストハウスとりいくぐるもあるNAWATEHAHU 本と手しごとONSAYA COFFESatelliteなどがおすすめです。画像提供:岡山県

S-HOUSE MUSEUM http://s-house-museum.com/

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個人コレクターである花房香が設立し、2年を迎えたコンテンポラリー・ミュージアム。展示する作家を固定し、10年計画で作家ごとに毎年新作を加えて展示し続けるなどのコンセプトは国内ではとても珍しいものです。例えば瀬戸内国際芸術祭などにも参加し、その場でしか見ることのできない作品を多く手がけている現代芸術活動チーム目【め】は、各地での展示後に役目を終えた作品パーツの一部をコラージュして1つの空間をつくりあげていて、ファンには興奮ものです。元々は個人住宅として建てられたという現SANNA(妹島和世+西沢立衛)による建築を周防貴之が回収したという空間の雰囲気もあいまって、小規模ながら非常にエキサイティングな場が生まれています。岡山駅から数十分、車かバスで移動する必要があるのと、週末のみの開館なので注意。

ラーメン屋で食べる デミカツ丼 http://okayama-demikatsudon.net/

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岡山の食といえば、ばら寿司、鰆、牡蠣、白桃、シャインマスカット、きび団子、えびめしあたりがあげられがちですが、ソウルフード的なものとしてこれをあげておきます。卵とじのカツ丼とも、名古屋の味噌カツ丼とも異なり、はデミ(ドミ)グラスソースをかけたものになります。お店でメインをはるというよりは、ラーメン屋のサイドメニュー的においてあるところが多くて、それぞれ独自の味を出しているのも面白いところです。岡山駅構内の、城下近くのやまとあたりの味が好きです(でも写真は野村)。

雄町の酒米

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お酒があんまり飲めないのですが、私の実家の町名が実は「雄町」と言いまして、日本酒好きの方には酒米の銘柄としてとして知られている発祥の地です。瀬戸内気候だからこそ育てやすい、稲穂の背の高い品種になるのですが、それを品種改良して育てやすくしたのが、シェアで先を行く山田錦と五百万石だそうです。残念ながら雄町自体に酒蔵はたぶんないのですが、県内を中心にいくつかの地域で雄町を育てていたり、酒米としてお酒をつくったりしています。写真の備前・赤磐地区の蔵元、倉敷の「燦然」、真庭の「御前酒」あたりの商品をおしておきます。総社ではヨイキゲンという蔵元が「碧天」「福幸」などで使っているようです。

大手まんぢゅう(饅頭)

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甘酒などでつくった薄皮に上品な餡を包んだお饅頭で、雄町などにある工場だと出来立ての暖かいものを買うことができます。もちろんそのままでも、冷やしても美味。一応、日本三大饅頭などと呼ばれているそうです。きびだんごはありきたりだなと思っている方は、岡山駅など各所お土産やさんにあるはずなので、是非ご入手ください!(倉敷だと藤戸饅頭というのがあるせいか、あまり見かけないです) 

備中

今回被害の大きかった、倉敷真備地区や高梁川水系が含まれる県西部です。

倉敷 美観地区と大原美術館

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「岡山へ観光に行く」とうとまずだいたいは、岡山(市)でなく倉敷なんですよね汗。地元民も誇りに思っている、白壁やなまこ壁の屋敷や蔵、掘割りと柳並木などが美しいまちなみです。そして美術に携わるもとのしても外せないのが、このまちをずっと支えてきた大原家の象徴である大原美術館。1930年にできた、日本初の西洋美術中心の私立美術館と言われています。日本初の私設美術館特に近代の西洋画のコレクションは、教科書にのっているような名画しかないと言ってもいいレベルです。近年では、日本の現代美術作品の収集やアーティスト・イン・レジデンスも行っています。ほかでは大原家が設立を支援し日本で2番目にできた民藝館 倉敷民藝館、狭小ながら新古問わず岡山・倉敷・文化関係の本をそろえる蟲文庫、いい意味で倉敷っぽくない古道具屋さんWOMB BROCANTE、美観地区の入口にありながら商売っ気なくて大分の小鹿田推しの民芸ちぐさなどがおすすめです! 写真提供:岡山県

玉島のクリエイティブリユース拠点 IDEA R LAB http://www.idea-r-lab.jp

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岡山の仕事でもご一緒している大月ヒロコさんがご実家のある地域を拠点に展開しているクリエイティブリユースの拠点。北前船が寄港し栄えていた玉島地区に、廃材などをつくったものづくりで新しい風をふきこんでいます。写真は、西尾美也さんがアーティスト・イン・レジデンスをしていた際に取り組んだプロジェクト「町を縫う」お披露目の様子。

下津井の吹上美術館(旧)と瀬戸大橋

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瀬戸大橋を渡るのではなく望むのであれば、玉島と同じくかつて北前船寄港地として栄えていた下津井の鷲羽山などがおすすめなのですが、そんな下津井吹上地区には吹上美術館という、有志で運営されていた、岡山の実力ある美術作家を紹介するアートスペースがありました。過去形にしていたのは、なんと近くの島に移転し松島分校美術館として再オープンを準備中だからです。これからの展開を楽しみにしています。景色もいいし笑。

むらすずめと藤戸饅頭

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倉敷の定番お土産は、「むらすずめ」という、カステラのような生地を薄く焼き、餡を包んだお菓子です。お土産やさんには、吉備団子とむらすずめがたくさん並んでいると思います。もう少し、地元目線で選ぶとなると、大手まんぢゅうによく似た「藤戸饅頭」というものがありますが、生産量や賞味期限の関係であまりたくさんは出回ってないようです。

高梁・吹屋のまちなみ http://www.takahasikanko.or.jp

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高梁は安藤忠雄の建築で知られる成羽町美術館と、高梁駅へ人を送りに行ったことがあるだけなのですがこの景色。かつて名産だった赤色顔料であるベンガラ(弁柄)にちなんだまちなみです。高梁も倉敷と同じく広い基礎自治体なので、地域により災害の度合いが異なります。こちらを見る限り、吹屋は大丈夫そうですが、雲海で知られる備中松山城など当面休館の施設が多いようです。元気になったら行きましょう! なお、高梁駅なのですが蔦屋(TSUTAYA)が運営する図書館を含む複合施設が一体整備され、スターバックスも入りとても今風になっていたのにびっくりしました。画像提供:岡山県

美作

県北東部は、実はいちばん足を運ぶ機会が少なくてこれから知っていきたいと思っています。

奈義のまちづくりと 奈義町現代美術館

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磯崎新がうたう第三世代の美術館を実現したことで知られる奈義町現代美術館。最近ではそれを有効活用したイベントも積極的に行うようになりました。写真は3月末に行われた子ども向けイベントなぎこどもアートデイの様子。人口減少に向かう日本において、地方自治体の生き残る戦略的な術は、教育と文化政策に力を入れ、子育て世代の移住定住層を厚くしていくことだと言い切る平田オリザさんが、2016年に奈義町の教育・文化のまちづくり監となっています。厳しくなる時代の中で新しい取り組みを地方行政が担っていくためには、職員のあり方も変えていかなければいけないということで、採用試験に演劇ワークショップも取り入れるなどしているそうです。出生率など短期的な成果が既に出始めているようですが、まちがどのようになっていくのかをフォローしていきたいです。

西粟倉 http://www.vill.nishiawakura.okayama.jp/

真庭や西粟倉では、藻谷浩介『里山資本主義』で巻頭事例にもとりあげられた木質バイオマス発電などをいちはやく取り入れるなど、官民様々なレベルのまちづくり活動があります。まだあわくら温泉 元湯に泊まったことくらいしかないのですが、奈義と並んで注目していきたい地域です。

真庭

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旧遷喬尋常小学校でなつかしの学校給食体験を提供していたり、韓国出身の地域おこし協力隊がキムチづくりで地域をもりあげていたり。仕事で携わった「食でつながる地域」のレポートをご覧ください!

美咲町の奇祭 護法祭

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ゴーサマなる村人から選ばれたひとりに神様が憑依して夜中に走る! という、謎感あふれるお祭りです。毎年8/14に二上山の頂にある両山寺で開催されています(8/15には別の場所で開催)。20〜22時くらいまでは盆踊りや太鼓、福引など、いかにも地元のお祭り感しかないのですが、夜が更けていくにつれ、神事的な雰囲気になります。明かりが消え、焚き火明かりの中でゴーサマが走る(=お遊びになる)、そしてそのあとを10数人の子供も走る(24時をまわるのに)。形は変わりながらなのでしょうが、300年以上続いているそうです。

勢いでまとめたので多少の誤りや現状への配慮が不足があるかもしれません。岡山に興味を持っていただけたら何よりです。2022年は瀬戸内国際芸術祭と岡山芸術交流が開催されますので、岡山にいる時間を増やしていろんな方を県内でご案内できたらなぁ、とも思っています! ご興味いただける方は、引き続きフォローをよろしくお願いします。

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