一人で旅をするというのは同行者がいない分、土地に意識が集中する。保護すべき存在、労りたい存在、敬いたい存在、頼りたい存在、それら全てを無しに行動すると、感覚が研ぎ澄まされて、土地への既存の意識が変化する。親とその前の世代がつないでくれた土地との縁を私自身が結び直す4日間だった。

1人で、種差海岸に来た。太平洋に向かって手を合わせた。海は繋がっている。ただいまというほど、ここに来たことはない。それでもただいまと言う。馬の気持ちになれば(馬じゃないから推測だけど)ここは最高の牧場だ。人間の身にも美しさが限りない。冷涼な空気。母とその先祖のふるさと東北にいる。

「自らを灯明とし、他を灯明とする勿れ。法(宇宙の真理)を灯明とし、他を灯明とする勿れ。犀の角の如く、ただ1人歩め。」(お釈迦さまの言葉) 写真は本州最北端の弘法水(弘法大師空海由来の湧水)伝説がある6月初旬の折爪岳山頂にて。