今週のプリンセスクルセイドはお休みです

インカローズの苛立ち

インカローズは怒っていた。彼女は精神に乱れを感じると城の図書館に籠るのだが、今回はむしろこの図書館が原因だった。彼女は部屋の中央にある机に備えられた椅子に腰掛けながら、恨めしそうにガラス張りの天井を見上げている。柔らかな日差しが降り注ぐこの場所は、図書館の中でも一番のお気に入りだ。最近はそこにある変化が生じ、彼女にとってより特別な場所になっていた。そのはずだったのだが――

「一体どうなってるのよ

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『お知らせ』今週のプリンセス・クルセイドはお休み!? 今日から新エピソードだと思ってたのに! ……がっかりよね『プリクル』

ある研究所に残されていた音声記録

「あなたは……私達に?」

「いいえ」

「彼のために?」

「はい」

「そう。幸せ者ね……あの男は。まあ……それも当然かもしれないけど。なにせ、あなたは彼が……」

「はい……」

「……覚えてないの?」

「はい」

「それでも……彼のために? たった一人で?」

「はい」

「ふふっ……あなたは思ったよりもバカなのね。あの男と同じだわ。でも残念ね。もう間に合わないわ」

「いいえ」

「…

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ハードボイルド探偵バネントの日記 vol.8

火曜日 雨

 あいつがいなくなった。これを読んでいる未来の俺は、いきなり何を書いているんだと不思議に思っているだろう。いなくなったのは俺の同居人だ。未来の俺は、それならなぜさっさと探さずに日記なんか書いているんだと訝っているだろう。俺は今、必死に自分を落ち着かせようとしているところだ。

 ことのあらましを書いて事態を整理しよう。昨日の時点では、あいつはまだ普通に俺のそばにいた……と思う。実際の

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ハードボイルド探偵バネントの日記 vol.7

水曜日 晴れ

 俺の同居人は良いヤツだ。もしこれを読んでいる未来の俺がそいつのことをどうしようもなくキライだとかいなくなればいいとか思っているなら、それは明らかに俺(未来のほう)が間違っているのであり、やや冷静な判断力を失っているといえる。少なくとも俺(今の俺)はそう思う。

 俺は近くのスーパーで売っている日替わりトリプル弁当が好きだ。これは元々の値段が安く、さらに閉店間際にスーパーに駆け込め

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メモ: 新しい歯ブラシを買う。引き出しの中を整理する。壁をメモ代わりにしない。