私は今この街にいる。あなたに励まされたからここにいる。そう思う人が私以外にもたくさんいたことを知り、私は更にあなたを好きになった。あなたに向けられた言葉がこの街に舞いあがり、あなたの帰りを待っている。

慈愛に満ちた言葉が、心に深く染み渡る。多くの人を励まし、癒やしてきたその人は、先日、節目の誕生日を迎えた。おめでとうを言えた事が何より嬉しい。そんな日を与えてくれて有難う。私は感謝の思いに満たされた。

ぐっすり眠っているのかな？なんて思うと起こしに行くのも悪いから、皆と話しながら待っていたんだ。おはよう。いや、おかえりなさい。全ての条件が揃うからこそ言える言葉がある。おかえりを言わせてくれて有難う。

手から器を滑らせても其の人の言葉は滑ることがない。漠然たる平原のように果てしなく無敵なユーモア。越後の雪が温かさに誘われ水になるように、私の心も溶けて顔がほころぶ。今日は其の人の誕生日。嗚呼、目出鯛。

両手をパンッと叩いて開くと、物語がふわっと動き出す。棚にある本だけが物語じゃないと知り、子供の心には羽根が生えた。空を想い想いに飛び回る。手のひらでゆるっと踊る言葉は、種となり、皆の心に花を咲かせた。