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盛りまだ まわりは盛れど 慌てずに 咲くを急がず 房実るを待て
蜜の味 人の不幸を 言うけれど やはり旨しは 目の前の蜜
萌ゆる春 凜と一本 乗り出して 命の息吹き 尽きぬ花色
燃えと萌え いずれも赤く 空に花 広げた花びら 青空を焼け
明日かな きょうでも良しと イトザクラ 膨らむその身に 添える手も染め
薄桜の 花片の海にて 横たわる 浮くは松かさ 波は春風
顔見せぬ 桜うしろへ 身を屈め 落ちる雨粒 差し出す傘先
水滴に 打たれて揺れる 雪釣鐘 雨にて地鳴らす 春の足音
鮮やかに 緑へ鎮座す 紅椿 豊かな朝陽に 寒気も忘れぬ
春晴れ間 あすは雨ぞと はやジワリ 感ずる湿気に 色増す桜花
露払う 夜明けの風と 揺れる枝 朝陽差す花 抱くは水玉
たっぷりと 空気はらみて 羽広げ 朝陽包んで 温しモクレン
逆さにて 古き枝より 起立する 苔の足場に 桜軽やか
別れなど 言の葉の乗る ハナニラも 人の数だけ 心に受け口
雨上がり 見上げる木々より 露落ちて 花打ち弾ける 粒や玉滴
風雨去り 陽に誘われて 足下の 水面の桜 船に雨乗せ
ゆったりと 優美に佇み 目を誘う 芳香微かに まとう石斛
青ざめる 夜明けの桜桃 曇天に 揺れつつ待つは 刹那の陽光