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【#シロクマ文芸部】お料理教室♪②

「雪化粧のように粉砂糖を振りかけてくださいと言いましたよね?」

と溜息をつく先生。料理が上手くなりたいと通い始めた会員制のクッキングスクールなのに、私の腕前はドカ雪のまま。

「沢渡さんを見てごらんなさい」

私の横でサラサラと美しく粉雪を降らせるガタイの良い男性。

「先生、松苗さんもそのうち上手になりますって」

とニッコリ微笑む。

「まあ、松苗さんは理解はしているから」

味は失敗しないものね、と先生は笑いながら去っていく。くぅ!私だって繊細な見た目の料理を作りたいのよ!

少し涙目になりながら後片付けを始めていると、

「松苗さん、これ美味しい」

と沢渡くんが私のドカ雪スイーツをつまんでいた。

「あ!あ!なんで食べるのぉ!」
「え?捨てちゃいそうだったから。もったいなくて」
「捨てないわよ!」
「……他にあげる人いた?ご、ごめんっ」
「い、いるけど……」

沢渡くんには家で作り直してもっとちゃんとしたものをあげようと思っていたのに。一緒に作っていたから好みもわかってきたし。でも沢渡くん、なんでも完璧にこなすから渡す自信がなくなっていて。

「ご、ごめんね。食べちゃって。美味しそうだったから」

と申し訳なさそうにさっきまで作っていたお菓子を渡してくる沢渡くん。

涙を拭いながら見ると

「SUKIDESU」

のローマ字が粉雪で描かれていた。

「!」

涙が止まらなくなった。
オロオロする沢渡くん。
爆笑する先生と他の生徒さん達。

雪化粧が街に施されたある冬の日、松苗さんと沢渡くんはお付き合いを始めることになりました。

なんとなく毎週ショートショートnoteで描いた2人が気になってシロクマ文芸部にも登場させてしまいました。

小牧幸助部長、今週もありがとうございました🙌

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